ツアー解説でおなじみの佐藤信人プロ。今回は日本プロでプロ初優勝した杉浦悠太について語ってもらった。
画像: 日本プロでプロ初優勝を飾った杉浦悠太(撮影/岡沢裕行)

日本プロでプロ初優勝を飾った杉浦悠太(撮影/岡沢裕行)

昨年、ダンロップフェニックスで、史上7人目のアマチュア優勝を果たした杉浦悠太選手。多くのゴルフファンの皆さんと同じようにプロ初優勝は時間の問題と思っていましたが、初出場となる日本プロ選手権でやってのけました。

同大会において、プロ転向後12戦目での優勝は歴代最速記録でもあります。しかしメジャーに優勝したことが重荷になることもないでしょう。この優勝がさらなる飛躍の転機となって、ごくごく近い将来、ワールドワイドで活躍している予感がします。

18年、福井工大附属高2年のときに日本ジュニアで優勝。その後ナショナルチーム入りを果たし、日大に進みます。22年、大学3年時の日本オープンでは3位入賞。優勝の蟬川(泰果)くんと3位以内にアマチュアが2人も入り、改めて日本の若手(学生)はレベルが高いことを印象づけました。

このときから杉浦くんは、金谷(拓実)くん、中島(啓太)くん、蟬川くんらに続く、アマチュアでツアー優勝をする候補のひとりだと多くの方も思っていたのではないでしょうか。

23年にはABEMAツアーの「ダンロップフェニックス in ふくしま」でアマチュア優勝を果たすと、それで得た出場権によりダンロップフェニックスで優勝。

そして日本プロでは、蟬川くんの猛追を振り切り、その成長ぶりを象徴するかのような優勝でした。杉浦くんの魅力は、なんといってもその安定感。実質的なプロ1年目である今シーズンは、開幕から11試合に出場して予選落ちは1回もなし。ショットの正確性、ショートゲームやパッティングの上手さに加え、プロ入り後、飛距離が俄然伸びています。

技術の高さもさることながら、フラットな空気感も魅力的です。言葉にするのは難しいのですが、どんな状況でも動じない、一流アスリート特有の"鈍感さ"とでも言うのでしょうか。かといって嫌な感じを与えるどころか、周囲をいい空気にする不思議な雰囲気を持っています。

日本プロ優勝後、小学生時代から通うアカデミーに顔を出し、小中学生と一緒に大声で校訓を読み上げ、一緒に走って汗を流したそうです。この辺の飾らない感じも、周囲をほっこりさせる彼の魅力なのでしょう。そんな人間性も含め、すべてにおいてバランスのよさを感じます。

決して恵まれた体格ではないですが、先述のとおり、ここにきて飛距離も大きく伸びました。ゆくゆくは海外に挑戦したいという杉浦くんの場合、今の実力とその伸びしろに加え、ゴルフの技術的なバランスのよさ、さらに周囲に好かれるであろう人間的なバランスのよさは、十分に世界に通用すると確信しています。

※週刊ゴルフダイジェスト2024年9月10日号「さとうの目」より

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