インパクトにかけてのしなり戻りで、分厚いインパクト可能にする1本
連載31回目は東京都世田谷区に工房を構える「InterCross by TRPX」の岡野友和さんがおすすめする1本をご紹介。岡野さんは18歳から研修生として活動し、2010年に「ANAオープン」に出場した経歴を持つ。2010年にPGAティーチングプロの資格を取り、自身の経歴や学んだ知識をフィッティングやクラフトに活かしている。
「フィッティングで特に意識していることは、トップからの切り返しからインパクトまでのシャフトの動きを大事にしています。手応えは良いけどシャフトが『もたつく』方に対しては自身とシャフトの動きがマッチしていない可能性があるので、異なるタイプのシャフトを試していただきます。シャフトが綺麗にしなっていないと、明らかに切り返しやフォローにかけて、シャフトの挙動に安定感が欠けることが多く、経験や知識を基に判断しています」と岡野さん。
意識していることは感覚だけに限らず、「弾道計測機器を使用し、『飛びの3要素』と言われるデータはかなり確認するようにしています。ただデータの最適値を参考にして組むことはせず、お客様の弾道のイメージや構えた見た目など、コミュニケーションをしっかり取りながら組み立てていきます。レッスンの有無や目指すスコアによって課題が異なるとおもうので、今のスウィングで打ちやすくなるクラブを作るのか、将来のレベルアップを見据えてクラブを作るのか、一緒に決めていくことが多いです」と感覚、データの両方を判断材料にしつつ、しっかりと要望を汲み取ることを大事にしているという。
「バルド『COMPETIZIONE 568 DRIVER HEAD SHALLOW』とTRPX 『The Air』がおすすめ」と岡野さん。「今回はつかまりやすいヘッドとシャフトを組み合わせました。ターゲット層としては主にスライスが出てしまうという悩みを持つ方に効果的だと思います。ヘッドスピードが遅めの方には、しなり戻りを利用して飛びの絶対条件であるヘッドスピードを上げられるシャフトのため、ヘッドスピードが上がったことによる飛距離UPが期待できます」(岡野さん)COMPETIZIONE 568 DRIVER HEAD SHALLOW』とTRPX 『The Air』がおすすめ」と岡野さん。「今回はつかまりやすいヘッドとシャフトを組み合わせました。ターゲット層としては主にスライスが出てしまうという悩みを持つ方に効果的だと思います。ヘッドスピードが遅めの方には、しなり戻りを利用して飛びの絶対条件であるヘッドスピードを上げられるシャフトのため、ヘッドスピードが上がったことによる飛距離UPが期待できます
●ヘッド/エヴァンジェリストジャパン バルド COMPETIZIONE 568 DRIVER HEAD SHALLOW(10度)
「同シリーズのディープモデルと比べると、ヘッドの弾き感はもちろんなのですがボールのつかまり感が向上したモデルとなっています。ボールが飛ぶうえではやはりボールを“つかまえる”ことが重要になってくると思います。またボールが上がりやすいイメージがでるので、打ち手を選ばないヘッドで、様々なニーズに対応できるモデルとなっています」(岡野さん)【価格(税込)/8万8000円】
●シャフト/TRPX The Air(SR)
「意外と手元側がしっかりしているので、46インチの長さにした時も振り遅れ感や、シャフトがもたついてしまう感覚が少ないシャフトです。インパクト後のボールの弾き感が強く、初速も上がりやすいです。またやや軽めのシャフト重量なので年配の方から飛ばしたい若年層にもマッチしやすいと思います。ドラコン選手にも使っていただいていることから、対応できるヘッドスピード帯はとても広いシャフトとなっています」(岡野さん)【価格(税込)/7万1500円】
手元のタメとインパクト直前の走りで、高弾道低スピンを打ちやすい1本(堀越)
ここからは堀越プロの試打結果とインプレッションをお届けしよう。
「今回試打するバルドのイメージは、ディープフェースで中~上級者向けのイメージで球が上がりにくいイメージがあったのですが、今回のヘッドはシャローモデル。見た目からやさしさと球が上がるイメージができますね」と第一印象を語った。
「やはりヘッドのFP値(フェースプログレッション)があるため球の上がりやすさ、そしてフェース面がザラザラしているのでつかまりが良くなっている印象です。FP値が大きいとインパクトのタイミングがいつもより少しだけ早く感じ、フェース下部が出ているため自然と打ち出し角は高くなります。シャフトはTRPXの『The Air』のSRで、軽量シャフトに分類される51g(カタログ値)ですが、いざ振ってみると頼りない印象はまったくなく、後半にかけてのしなり方が強い気がします。早速いつものようにヘッドスピード42m/sで試打してみたいと思います」(堀越)
打った印象を訊くと、「イメージどおり球がとても上がりやすいですね。これは先ほど述べたようにFP値の影響もあるかと思います。またフェース面のザラザラしたミーリング加工の影響か、球がすこし食いつくような感触があります。自然に振ってもしっかりとつかまってくれるので、内側からしっかりとクラブを下ろせて、ボールが滑るような印象もありませんでした」と語った。
「またシャフトはどちらかと言えば切り返しからインパクトにかけてヘッドスピードが減速せず、振り下ろしたエネルギーをそのままボールに伝わっているような感覚です。そして高打ち出しが自然と打てるため余分な力が入らずに振ることができました。個人的には切り返しがゆったりしていて、多少ローテーションが入ったスウィングとこのクラブの組み合わせの相性が良いと思います」(堀越)
なお、ヘッドスピード42m/s前後で5球を打っての平均は下記のとおり。
ボール初速●61.7m/s
打ち出し角●15.3度
スピン量●2524rpm
キャリー●232.2Y
総飛距離●251.9Y
総評
「今回試打したクラブはシャロー形状なヘッドと、やや先が走るシャフトの組み合わせでした。切り返しから減速せずに溜まったエネルギーをボールに伝えられるところや、ヒールヒット時の挙動のブレがとても少なく、ミスによる寛容性も併せ持った1本という印象でした。そして球が上がりやすく、力で叩きにいかなくなるのでコースでの安定感も期待できますね。ただ、ご自身のスウィングスピードによっては今回のフレックスでは軟らかく感じてしまうかもしれませんので、SやSXなどの選択肢も視野に入れるといいと思います」(堀越)
Inter Cross by T.R.P.X
【カウンセリング→診断→セッティング決定→組み立て→確認調整→コースデビュー後の調整】と6ステップを用意。アフターケアも充実している工房だ。
住所/東京都世田谷区三宿1丁目1−19
営業時間/11:00~19:00(土曜のみ10:30~18:30)
定休日/日・月
電話番号/ 03-6453-4216
THANKS/クレアゴルフフィールド