スウィング動画をAIによる3D解析技術でデータ化することができる、コーチ専用のゴルフスウィング解析アプリ「スポーツボックスAI」。このアプリを活用しているゴルフコーチ・北野達郎が、スウェーデンのゴルフコーチであるエリック・ブロムクイストの「バランスゴルフ・ワークショップ」に参加。その模様をレポート!

こんにちは。SPORTSBOX AI 3Dスタッフコーチの北野達郎です。今回はスウェーデンのゴルフコーチであるエリック・ブロムクイスト(以下エリック)を講師として開催された「バランスゴルフ・ワークショップ」に参加させて頂きましたので、その模様をご紹介いたします。

Q.バランスゴルフとは ?
A.スウェーデンで10拠点、タイおよびスペインで “ バランスゴルフ Balance Golf ”アカデミーを展開しています。Swing Catalyst のアンバサダーとしてクラブの使い方はもちろんのこと、地面反力の使いかたやスウィングの効率化を教える理論。

Q.エリックとはどんな人 ?
A.エリックはSwingCatalyst(※下記記事) のグローバルアンバサダーであり、またプレーヤーそれぞれの身体構造の分析とそれを生かしたスウィング構築メソッドを開発した実績を持つ。

スウェーデン発「バランスゴルフ」

まず「バランスゴルフ」とは、エリックが約15年におよぶゴルフコーチングで蓄積した膨大なデータをもとに、個々の体の可動域や骨格などの体型に合ったスウィング形成、さらには運動学習や心理学に至るまで、あらゆる項目からスクリーニングを行って、1人1人にマッチしたゴルフコーチングを行う理論です。日本ではエンジョイゴルフ&スポーツジャパン代表の佐々木信也さんをはじめ、竹本直哉プロ、高武大輔コーチ、南田陽平コーチの4人がバランスゴルフ認定コーチとして指導されています。

画像: 画像①バランスゴルフ・ワークショップの様子

画像①バランスゴルフ・ワークショップの様子

ショットごとのポイントシステムで本当のハンディキャップを算出する

初日は主に運動学習や心理学に関する内容が中心でした。例えば海外では20ラウンドのうち、ベスト8ラウンドをピックアップしてハンディキャップを換算するそうで、そのハンディキャップは本来の実力より良いハンディキャップになりがちで、高い期待値を持ってラウンドに行くと、期待値に見合わないショットやスコアを打つとストレスやプレッシャーとなって、結果に対する焦りが生じてしまって充分なパフォーマンスが発揮できなくなるとの事でした。そこでバランスゴルフでは「ポイントシステム」を採用して、期待値と能力を冷静に判断したうえで点数をつけていき、そこから本当のハンディキャップを算出しているとのことでした。

画像: 画像②ショットごとのポイントシステム ショットの内容をポイントに換算して本当のハンディキャップを作る(レイアウトはオーガスタナショナルの10番ホール)

画像②ショットごとのポイントシステム ショットの内容をポイントに換算して本当のハンディキャップを作る(レイアウトはオーガスタナショナルの10番ホール)

例えば、ドローでティーショットを攻めたいホールがあるとします。そのショットが狙い通りのカーブと飛距離で打てたドローなら2点、打ち出し方向とターゲットの間にカーブが収まる許容範囲のドローなら1点、狙いとは逆に打ち出し方向からスライスしていくショットだった場合は0点というように、各ショットに点数をつけていくことで、スコアという結果ではなくプロセスを重視したハンディキャップを作成できるという事でした。上記の例はツアープロ向けの採点方法ですが、算出方法によっては一般アマチュアの方にも非常に有効なシステムだと思いました。

トッププロや流行のスウィングに惑わされず、自分に合うスウィングを導き出す

次は2日目に学んだ内容からスウィングに関する話題をいくつかご紹介します。まずは手首に関する内容です。以下の写真は両手で拳を作って力を入れた時のポーズですが、左の福田コーチ、中央の南田コーチ、右の澤田コーチ、それぞれ拳を作った時の手首の形が違うのがお分かりでしょうか? これはエリックによると、「人間は力を出しやすい手首のポジションが人それぞれ違う」という事実があり、万人に同じ指導をしても合わない事を表しています。

画像: 画像③拳に力を入れた時の比較 3人とも力を入れた時の手首の形が異なる

画像③拳に力を入れた時の比較 3人とも力を入れた時の手首の形が異なる

例えば、左の福田コーチは手首が手のひら側に折れるように掌屈しており、右の澤田コーチは逆に手首が甲側に折れるように背屈しています。このケースでは、手首が掌屈する福田コーチは「トップで左手首が掌屈する」スウィングは合いますが、手首が背屈する澤田コーチには合わない可能性が高く、逆に「トップで左手首が背屈する」スウィングのほうが合うということです。これはエリック自身が本来は澤田コーチのように左手首は背屈するトップが合うのですが、彼がプレーヤーだった頃に「タイガー・ウッズのように左手首を真っ直ぐにするトップ」をコーチから指導された結果、手首のケガをしてしまって以来、自分に合うスウィングを研究して今のスクリーニングテストに生きているということです。

スタンスもスクエアだけが正解じゃない。人それぞれに合うスタンスがある

最後にスタンスに関する内容をご紹介しましょう。参加者の中で大本コーチは「身長に対して両腕が10cm以上長く、特に前腕が長い」特徴の体型で、もしスタンスをスクエアに構えると「アウトサイドイン」の軌道になるのが自然で、それを無理にインサイドからクラブを下ろそうとすると胸を極端にサイドベンド(右サイドへの側屈)を入れなきゃいけないとの事でした。

画像: 画像④両腕の長さの比較 手前の竹本プロに比べて、大本コーチはかなり両腕が長いのが分かる。

画像④両腕の長さの比較 手前の竹本プロに比べて、大本コーチはかなり両腕が長いのが分かる。

以下の写真の左側はスタンスをスクエアに構えていますが、クラブをインサイドから下ろそうとすると胸が極端に右に傾いていて、かなり腰に負担がかかっているのに対して、スタンスを30cm下げた写真の右側は前傾もスムーズに維持されて、右への側屈も過度ではなくなっています。

画像: 画像⑤スタンスのマッチアップ 身長に対して両腕と前腕が長い大本コーチは、右足を30cm下げたクローズスタンスが合う

画像⑤スタンスのマッチアップ 身長に対して両腕と前腕が長い大本コーチは、右足を30cm下げたクローズスタンスが合う

このように「個々の特徴を無視してトッププロや流行のスウィングを目指すことは、ケガのリスクも高まってゴルフの上達も遅れるので、より個々に合った目標設定やスウィング形成でゴルフを楽しみましょう!」というのがエリックのバランスゴルフの理念です。

今回のワークショップでは、私を含めて全国から30名以上のコーチ・トレーナーが参加して、それぞれ質問や理論を互いに情報交換して大いに盛り上がりました。バランスゴルフは日本にも近い将来に必ず浸透していくので、是非ご注目下さい !

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