小祝さくらは、よく、グリーン上などでニコニコしている。「そうですか? 意識はまったくないです。別になんにも考えてないです」本人は至って普通だ。
見ているほうとしては、そういうところに、〝切り替え〟の上手さや、メンタルの強さが出ているのではないかと勝手に想像してしまうのだが、「気持ちの切り替えのために、水を飲んだりすることもないし、特に何も考えてないんです。もうしょうがないというか、考えてもしょうがないと思っちゃうタイプなので。深く考えずに、だいたい全部のプレーが終わる感じです」と淡々と答えるさくら。しかし、小祝さくらはやっぱり、無意識でもプレー中にニコニコしている。
春のとある試合で、ホール間で橋を渡るとき、池を見ながらニコッと笑った。そんなさくらを遠くから目撃していた知人の方が、「池に魚や鳥がいたんだろうな」とほほ笑ましく思い、試合後本人に聞いたところ、「えっ? なんのことですか?」と話を流されたという。確かに、生き物など何もいない池だった。
キャディの小畑貴宏によれば、「さくらプロ、いつも笑ってますよ。グリーン上で1人で笑ったり、1人でうなずいていますよ」
やっぱり小祝さくらは、こういうときに、「これはしょうがないな」などと自分に言い聞かせているのか、自分のなかで何かを片付けているに違いない。
自分のメンタルに関しては「そうですね、強いと思います」ときっぱり話す。「確かに、プロゴルファーに必要な資質は、メンタルの強さとか、そういったほうが大事なんだろうなとは思います。心や気持ちが強い人が結局強いなあと思いますし、そこが弱い人はどれだけ技術があっても苦労しているなあという印象があるので」
こういう話をしながらも基本、〝ふふふ〟と不敵な笑みを浮かべるさくらだが、本当に面白いときは〝けけけけ〟と声に出して笑う。こんな一挙手一投足が面白い小祝さくらを応援するため、老若男女、大勢の方が試合会場に足を運んでくれる。
「私のファンの方って、おじいちゃん、おばあちゃんが多いんです。孫っぽいのかな」と言っていたが、最近、応援してくれるギャラリーのなかに若い人も増えたと感じている。
「コロナ禍があって、ゴルフが若い人の間で流行ったということも聞いたので増えたのかな。名前が書かれたタオルを持って応援してくれる方も見えていますよ。すごく嬉しいですね」。今シーズンも残りあと6試合。小祝さくらは最後まで、飽きさせない言動とプレーで突っ走る。
※週刊ゴルフダイジェスト2024年10月29日号より(PHOTO/ Osawa、Hiroaki Arihara、Hiroyuki Okazawa)