今大会はここ3年連続で優勝スコアは9アンダーと、ツアーでも指折りの硬く速いグリーンが特徴の大会でした。しかし長かった猛暑の影響と初日は雨の影響もあり、グリーンは止まり伸ばし合いの展開になりました。
例年に比べて深く勢いのあるラフを避けてフェアウェイキープするドライバーショット、傾斜のあるグリーンの前後左右に切られたピンを攻めるショット力、ピン位置によって攻め過ぎずに安全なエリアからバーディを奪うパット力、そしてグリーンを外した際の寄せとパーパットを決めるパット力といった総合力の高さが求められるコンディションになっていました。
岩井千怜選手は、どのスタッツでも上位に入り、自宅から通える地の利を生かしながら、16アンダーまでスコアを伸ばしトーナメントレコードで優勝を飾りましたが、優勝会見ではパットの貢献度が高かったと話しました。
千怜選手は初日5アンダーで終えていましたが、タッチが合わずに練習グリーンで5ヤード、10ヤードの距離感をもう一度確かめタッチを合わせたといいます。そういった修正力の高さも彼女の強さにつながっています。
手首のコックを使ってヘッドを動かす
ここではしっかりと振り切れ、飛距離が出ていたドライバーショットを取り上げてみましょう。
正面から見て左手のナックルが二つ見えるスクエアグリップで握り、右ひじを内側に絞り軽くわきを締めています。
左腕が地面と平行になる位置でクラブとの角度はほぼ90度。長いクラブになるほどヘッドは遅れがちになりますが、千怜選手は手首のコック使って短いクラブと同じタイミングでクラブを上げていきます。
トップでおへそはターゲット後方を指していますが、右足、右股関節でしっかりと受け止めていて、力は抜けていません。
地面に圧をかけてお腹をねじり戻すようにダウンスウィングに入ると、インパクトで頭がボールよりも右側にあるビハインド・ザ・ボールで左腕とクラブが一直線になっています。そのことによってややアッパー軌道でボールを捉えていることが見てとれます。
回転の支点となる頭の位置をキープしたまま振り抜くことで安定したイントゥイン軌道でクラブヘッドが振り抜かれています。
距離と方向性を合わせるライン出しショットでも、インパクトで終わらずに手元が体の正面から外れない点も見習いたいポイントです。
2位まで順位を上げた姉の明愛選手とともに、地元開催のトーナメントを大いに盛り上げました。優勝すれば米女子ツアーに参戦できる今週の「TOTOジャパンクラシック」でも注目して行きましょう。