その人物の名前はマーク・レヴ(Mark Lev)氏。フェンウェイ スポーツ グループ カンパニーが持つゴルフチーム“ボストン コモン ゴルフ”のCEOだ。このチーム名から、なるほど、と察した人がいるかもしれないが、ボストン コモン ゴルフは新リーグ“TGL”に属するチームのひとつで、松山英樹がメンバーに名を連ねている。
チームメイトは、ローリー・マキロイ、アダム・スコット、キーガン・ブラッドリーで、松山を加えた4人がボストン コモン ゴルフの選手。取材を申し込むとレヴ氏が快諾。早速インタビューとなった。
GD まずは、TGLというリーグについて、わかる範囲で教えてください。
レヴ 僕の知る限りでは、TGLを最初に発想したのは、(米国)ゴルフチャンネルの役員、マイク・マッカーリー氏。そのアイデアをタイガーとローリーに紹介したところ、2人とも興味をもって、2人がコーファウンダー(共同発起人)となりアイデアが広がり、このビジネスとして育っていきました。それが3年ほど前。
我々のもとへ打診があったのは2022年。地元のボストンで全米オープン(ザ・カントリークラブ)が開催された時に、我々とローリーの共通のスポンサーを通じて紹介されました。ローリーは小さなタブレットを使って、今作っているアリーナ(TGL専用のインドアスタジアム/SoFiセンター)の模型を見せてくれたり、チーム戦のルールや構想を語ってくれました。その時点で、とても興味深いイノベイティブなエンターテインメントになりそうだと興味を持ったことを覚えています。
GD 私の知る限りでは、フェンウェイ スポーツグループはMLBのボストンレッドソックスやサッカー・プレミアリーグのリバプールFCのオーナーということは知っていますが、御社とゴルフのつながりは?
レヴ PGAツアーのTPCボストンで開催されていたドイツ バンク チャンピオンシップを2003年から2016年までサポートしていました。2年前にはLPGAとパートナーシップを結んでいます。フェンウェイ スポーツ グループにはゴルフのDNAがちゃんとあるんです(笑)。
その後、最初は6チームで開幕するという話が来た時に、我々が参加するならば、最初に声を掛けてくれたローリーのいるチームでやりたい、との条件を出しました。
GD 今回の4人はどうやって決まったのですか?
レヴ ローリーとチームを組むとなった時に、勝つためには、素晴らしい選手が欲しいのは当然のことですが、同時に、素晴らしい人間性を持つ選手を要望。その中でニューイングランド(ボストンのある米国北東部エリア)出身ということでキーガン・ブラッドリーをリクエストしました。そして、リーグからメンバーが発表された時には、ローリー、キーガン、アダム・スコット、ティレル・ハットンの4人に決まっていましたが、その後で、ハットンがLIVへ行くとなり、参加できなくなったので、もう一人をどうするか、となったタイミングで、ヒデキと仲の良いアダムから「ヒデキがいいのではないか」と提案がありました。もともと、TGLの構想ができた段階で、チーム編成も決まる前に、TGLは「興味ありませんか?」と、ヒデキへオファーはしていました。そういった流れの中で、今回のジョインとなったのです。
GD レヴさんの目から見て、松山選手の印象は?
レヴ 初めて合ったその瞬間から素敵な存在だと感じました。謙虚で、素晴らしいゴルファーで、彼と話せば話すほど、同じファミリーで一緒に仕事をすべき人だと思いました。ヒデキが日本で有名なことは知っていましたが、実際に日本に来てみて、「こんなに有名なスターなのか」と改めて知らされました。そして、我々の目標は新リーグ初年度でチャンピオンを取ること。ヒデキ・マツヤマという素晴らしい選手がいることは勝つためにもすごく大事ですから。
最後に、日本のゴルフファンに伝えておきたいことがあります。ヒデキが加わる時に相談されたのは、「このリーグに自分が参加し、自分のプレーなどからビジネスとして収益を得たら、日本のゴルフ界、特にジュニアの育成に何かプラスになる方法を一緒に考えてほしい」ということでした。おそらく、ヒデキは心から自分の後進を継いでいく日本のゴルファーのことを考えているのだと思います。いま、どういう方法が有意義になるのか詰めているところです。
===
TGLの開幕戦は1月7日(火/米国日時)。以降、毎週月 or 火に6チームによるリーグ戦が進んでいき、3月末にプレーオフが行われてチャンピオンチームが決まる。ちなみに、TGLはPGAツアーとは無関係の独立リーグではなく、PGAツアーも出資していて、レヴ氏によれば「一心同体の新リーグ」とのこと。松山のいるボストン コモン ゴルフは1月27日(月)が初戦の予定だ。U-NEXTで随時配信されるとのことなので是非チェックしよう!