100切りを達成するためにはショットの技術とマネジメントの考え方、この両方がある程度必要となってくる。後藤はレッスンをするなかで「結構打てていてショットの技術はあるのに『自己ベスト100切ったことないです』という方がめちゃくちゃ多いんです」という。
「実際ラウンドレッスンに行くと、思った以上にマネジメントがめちゃくちゃだったりします。でもゴルフは考えてやらなきゃいけないスポーツです。頭脳的・戦略的なゲームだという認識を持っていなくて『いいショットを打てばいいんでしょ?』と思っている方が多いのかもしれません」(後藤、以下同)
状況に応じてリスク・リターンを考慮しながら番手や狙いどころを選択していくこと。それができなければ、ショット力があってもスコアに上手く結びつけることが難しくなってしまう。
「例えば番手選択に関して“あるある”な一例をご紹介すると、とくに女性に多いのですが、グリーンの100ヤード前後まで来たら、残り80ヤードでも90ヤードでも100ヤードでも全部7番アイアン、みたいな方って多いんです。『ミスって飛ばないかもしれないし』って言うんですけど、ちゃんと距離ごとに番手を変えるべきですね」
もちろんそもそも技術面でショットの精度が高められていないなら、しっかり向き合って練習する時間が必要となる。しかし100切りができるようなショットの技術があるのにも関わらず、グリーンにある程度近づいたら、とりあえず一番慣れた7番アイアンで打ってしまうゴルファーは「この距離の時はこの番手という風に考えることを放棄しているわけじゃないですか」と後藤。
「『どうせ結果がブレるから全部7番アイアンでいいだろう』と思っているうちは、どうせブレます。だって改善する気がなくて、精度を上げるという努力に目が向けられていませんからね。しかもそういった妥協は、ナイスショットしたときがいい結果にならなくなってしまいます。7番アイアンで100ヤード飛ぶゴルファーが、残り距離90ヤードでも全部7番アイアンで打っていたら、ナイスショットしたときにオーバーしてしまうわけですから」
距離に応じてしっかり番手を切り替えないということは、ナイスショットが出ることを考えていないということ。「みなさんはミスショットで90ヤードを打つ練習をしているわけじゃなくて、ナイスショットで100ヤードを打つ練習をしているわけです」と後藤。
もちろん結果的にミスが起きるのは仕方がないことだし、ミスしたあとのリカバリーを考えるのもゴルフの醍醐味。少なくとも「何でもかんでも7番アイアン」は「120切りを目指す方のゴルフです」と後藤。
「でも100切りを目指すって、もう初心者じゃないですよね。ショット力があるのに100を切れてない方は、自身のマネジメントを見直す……プレー中に考えないことをやめましょう。少なくとも、距離に応じた適正な番手選びはせめてやりたいです。今の自分なりに考えてプレーしなければ、技術が不足しているのか考え方が間違っているのかを判断するきっかけすらつかむことができなくなってしまいますからね」