六車日那乃は2度涙した
昨年は3打、一昨年は1打とわずかな差で涙を飲んできた六車。
今年もギリギリの戦いだった。
3日目を終えた時点での合格ラインは2オーバー。六車はこのスコアから最終日をスタートした。
2番でボギーを叩き、前半は2バーディ2ボギーのパープレー。後半はバーディを奪えず、13番のボギーで3オーバー、合格のボーダーライン上で最終ホールを迎えた。
六車はパーで上がればと合格できると思ったが、パー4の2打目がグリーンを外し、3打目のアプローチは3メートルオーバーした。返しを入れれば合格、外せば不合格……。1パットでカップにボールを沈めることができず、立ち尽くした。
「また1年をムダにしてしまった……」
終わったと思った六車は、合格をあきらめ、流れる涙を抑えられることができなかった。
しかし、後続の組がプレッシャーや難セッティングでスコアを落とし、悲願のプロ資格を手にすることができた。
「泣いちゃダメですか?」
ホールアウト後、報道陣からの囲み会見で、最終日を振り返ると、2度目の涙。
「ずっと不安でした」「本当に合格できてよかった」「いろんな方に感謝したいです」「上田桃子プロのようなトップ選手になりたい」
安堵と喜びで大粒の涙を流しながら、ゆっくりと話した。
吉田鈴は7オーバーからの滑り込み
吉田鈴も一昨年は2打、3年前は1打とプロテストで苦しい思いをしてきた。
最終日は7オーバーからのスタート。この段階では合格ラインまで5打足りない状況だった。
インスタートからの前半は15番までに3つ伸ばしながら、17、18番で連続ボギー。後半の2番でバーディを奪うも、その時点では合格ラインまで2打か3打足りない状況だった。
しかし、吉田は最終ホールでバーディを狙いに行った。
バーディパットはグリーン奥から5メートルの難しいフックライン。
「途中で速報を見て、17番と18番も(難しい)大洗なので、みんな厳しくなると思っていた。『入れる』って本当にその気持ちだけで打ちました」
69で回り4オーバーまでスコアを戻し、後続のプレーを待った。
姉の優利と何度もKINEをしながら、気持ちを落ち着かせた。速報を見ることができず、父からの連絡で合格を知ったという。
「実感がないというか、もうプロテスト受けなくて済むんだっていう開放感を感じました」
ホールアウト後の不安な表情から笑顔を取り戻した。