前回、「グラファイトデザイン『TOUR AD GC』はどんなシャフトか?」をゴルフステージ成城のクラブナビゲーター・吉田朋広氏に教わったが、今回はさらに踏み込んで、どんなゴルファーに合うのか。どんなヘッドと相性がいいのかを徹底検証する。

『GC』と相性のいいゴルファーとは?

みなさん、こんにちは。クラブナビゲーターの吉田です。

前回『GC』がどんなイメージのシャフトかを検証しましたが、今回は実際にどんなゴルファーに合い、ヘッドとの相性も考えていきたいと思います。今回もテーラーメイド「ステレス2」45.5インチでテストしていきます。

まず大前提として、『GC』は最近のプロやアスリートゴルファーのフィジカルやクラブのトレンドに合わせたグラファイトデザイン社の新しい基準で作られた中心的なポジションのシャフトです。

TOUR ADは本来“ツアーでのアキュラシー&ディスタンス”のネーミング通り、プロ・アスリートゴルファー向けに設計されたシャフトです。今回は新設計の中調子シャフトとの事ですが(GC6Sを基準にすると)、手元部分に硬さもあり、中間部分と先端部分も比較的硬めに設計されています。つまり部分的に大きくしなるポイントを持たせていません。そのような設計ですので、ゴルファーのスウィングタイプによってシャフトの挙動の感じ方に違いが出るシャフトです。

画像: VISA太平洋マスターズでツアー通算20勝目を挙げた石川遼も愛用するグラファイトデザイン「TOUR AD GC」 (撮影/ 岡沢裕行)

VISA太平洋マスターズでツアー通算20勝目を挙げた石川遼も愛用するグラファイトデザイン「TOUR AD GC」 (撮影/ 岡沢裕行)

プロ・アスリートゴルファー等で切り返し時にしっかりとテンションをかけることができる方には、切り返しもしやすく、スムーズな動きのシャフトに感じます。

基本的にはややフェード系のシャフトですが、シャフトコントロールはしやすいので、上級者にはボールをとらえやすく、フェードやドローのボールコントロールも楽に行えます。スウィングの完成度が高いプロ・アスリートゴルファーで、シャフトをコントロールして弾道を操りたい方にとっては、非常に扱いやすく感じるはずです。

一方で、シャフトにテンションをかけきれず、ほどきが早いスウィングタイプのゴルファーにとっては、硬く感じてしまうでしょう。

では、『GC』はスウィング完成度の高いゴルファーだけに向いているのかというと、そうではありません。アマチュアゴルファーのなかでも、とくに、上半身で強めに叩いていくインパクト重視のヒッタータイプの方は『GC』が合うといえるでしょう。

プロ・アスリートゴルファー向けの手元剛性を持つ『GC』は、切り返し時に力みがあってもしっかりと受け止めてくれます。シャフトも極端にしなりが大きい部分がないのでスムーズに振り抜けて、左右ブレの少ない弾道安定性をもたらしてくれると思います。

プロ・アマ問わず、『GC』のパフォーマンスを最大限に引き出すことができるのは、切り返し時にシャフトにしっかりとテンションをかけられるスウィングタイプの人なのではないでしょうか。

『GC』とヘッドマッチングを考える

現在日本のゴルファーのドライバー使用銘柄は50%以上が海外ブランドとなっています。このコラムを読んでいただいている方も海外ブランドドライバーをお使いの方も多いのではないでしょうか。

ここ数年の海外ブランドのドライバーの多くは慣性モーメントの高いモデルが多く、シャフトメーカーのシャフト設計もそれらを考慮した設計になっています。

当然グラファイトデザインもここ数年に発売された海外ブランドのドライバーヘッドのトレンドに対応するようなシャフト設計になっていて、『GC』も大慣性モーメントヘッド対応の新世代中調子シャフトとなっています。

重心距離が長く、重心深度が深めでヘッド重量もある海外ブランドのヘッドは、スウィング中にシャフトにかかる負荷が大きくなるため、シャフトの挙動にも影響します。『GC』をシャフト全体の剛性を高めに設定した中調子シャフトにすることで、ヘッドパワーに負けないシャフトに仕上がっています。

画像: テーラーメイドの「STEALTH2」の海外アスリートモデルのヘッドではインパクト時にエネルギーロスがなく、強い弾道を生み出す

テーラーメイドの「STEALTH2」の海外アスリートモデルのヘッドではインパクト時にエネルギーロスがなく、強い弾道を生み出す

今回のテストで使用したテーラーメイド「STEALTH2」 等の海外アスリートモデルのヘッドでは、基本弾道は中弾道のストレートフェードです。しかし、シャフトをコントロールしやすいので自身でボールをつかまえにいっても左に巻き込むようなボールは出にくく、インパクト時のエネルギーロスも感じずにボールにパワーを伝えてくれます。

海外ブランドのアスリート向けドライバーヘッドとのマッチングは、『GC』の持つ操作性の良さと強い弾道を生み出す良いマッチングになると思います。

たとえば、今年話題になっているPING「G430 MAX 10K」やテーラーメイド「Qi10 MAX」等の慣性モーメント1万越えの超大慣性モーメントドライバーヘッドも、ヘッドスピードが減速せずにインパクトロスを防いでくれます。大慣性モーメントヘッドを使いこなしている方にはブレも少なく、さらなる弾道安定性をもたらしてくれるマッチングになると思います。

個人的に試してみたのですが、BRIDGESTONE「B2HT」等のドローバイアスヘッドとのマッチングは面白い結果が出ると思いました。

画像: ブリヂストン「B2HT」などのドローバイアスヘッドと組み合わせることで直進性がアップ

ブリヂストン「B2HT」などのドローバイアスヘッドと組み合わせることで直進性がアップ

右へのミスを減らすためにボールのつかまりの良いドローバイアスヘッドをお使いの方の中には、使い始めは良かったけれど、使いなれてくるとやや左へのミスが気になってきたという方もいると思います。『GC』のシャフトは直進性に優れていますので、左への巻き込みが気になる方にも良いと思います。直進性がアップすることで、左を気にせずに振り抜けて方向性も良くなり、飛距離ロスも低減するはずです。

使い慣れてきたドローバイアスヘッドでボールのつかまりを抑えたい方には、是非試してみて頂きたいと思います。

『GC』のシャフトスペックの選び方

私自身、お店でお客様にシャフトスペックを選ぶ際は、ヘッドスピードではなく、切り返しのタイミングを重視しています。

『GC』も同様です。しかし、直接お客様のスウィングタイミングを見て判断できませんので、スペック選びの参考になればと思い書いておきます。現在グラファイトデザイン社のシャフトを使用している方は同じ重量の同じフレックスをお試し下さい。

60グラム台を問題なくお使いなら60グラム台で良いでしょう。同じフレックスでもシャフト振動数は高いですが、新基準のシャフトですので数値は気にせず試してみて下さい。お使いのシャフトとの剛性感やしなりの違いで『GC』のシャフトパフォーマンスを理解しやすいと思います。

他のメーカーのシャフトをお使いの方は目安として50グラム台から試して頂きたいと思います。

画像: 『GC』のシャフトスペックの選び方

プロ・アスリートゴルファー向け設計のシャフトですので、硬くは感じますが、しっかりと切り返しできればヘッドスピードに関係なく5Sでも良いでしょう。5Sだとハードに感じる方、振り抜きやすさを求める方なら1フレックスダウンして5R1を試して欲しいと思います。

40グラム台も非常に良い仕上がりです。

50グラム台がしっかりし過ぎていると感じる方には、4Sを是非試して欲しいと思います。弾道は安定性をキープしつつ、楽に振り抜けるはずです。4Sは5Sに比べてシャフト振動数も20CPM位低く、手元側の剛性は全体的に下げてあるので、ダウンスウィング時にしなやかなシャフトのしなりを産み出し、スムーズに切り返してスウィングできます。

4R1や4R2はシャフトのしなりを活かして振って行きたい“方向性重視”のスウィンガータイプのシニアゴルファーに良いでしょう。GCの40グラム台は50グラム台のシャフトがきつくなってきたシニアアスリートゴルファーの方に是非試打会等で試して欲しいと思います。

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