ラウンドレッスン歴25年! 村上 貢プロ
変化に富んだ36ホールを持つ葉山国際CCの所属プロとして、日々ラウンドレッスンを行う。実地に基づいた的確なコースマネジメントに定評があり、生徒は初心者からトップアマまで幅広い。PGAトーナメントプロ資格所持。
“刻んで3打目勝負”だけが攻略法じゃない
チョロした後の2打目は、恥ずかしい気持ちや後続に見られたくない焦りなど、平常心からかけ離れた状態で臨む人が多い。大きく息を吐いて、落ち着いて打ちたいけれど、やっぱり2打目に3Wを持つのは無謀?
Case1 チョロ後の2打目
ライが良くて開けていれば狙うのもアリ
緩やかな上り傾斜のパー4だが、比較的距離はない。左グリーンの場合はバンカーが手前にないので、届きそうであれば2グリーンの間を狙って長い番手を持つのも時として有効。
「もちろん安全策が基本ですが、大叩きを恐れるあまり守備偏重になるのも問題。こういった場面では、よく『3打目で自分の得意距離が残るように刻む』と言われますが、アマチュアの方はグリーンに近ければ近いほど良いのも事実。グリーン周りが広かったり、ボールが浮いていたら、3Wでとにかく前を目指すのも十分にアリです」
たとえばCase1のホールは距離も短く、2打目地点は軽い左足上がりなので、ラフに沈んでさえいなければボールは上げやすい。2グリーンでグリーン周りも広いことから、多少のミスも許されるので、3Wは適役だ。
「この場面でいえばグリーン手前にバンカーがあるときは別。2打目をバンカーに入れたら、それこそ素ダボが見えます」
あくまでも状況次第。でも悪いライに対する許容度は広いということを覚えておけば、役立つ場面は出てきそうだ。
ワンポイント Lesson
左足上がりは背骨を右に傾ける
写真Aのような緩い左足上がりであれば、構えを少し変えるだけで普段どおりのスウィングをすれば問題ない。「このとき上体だけを右に傾け、傾斜を無効化します」。
※無効化については「後編」で公開します!
打ち方よりも大切なのは“状況把握”
スウィングスピードが落ちるアプローチはショットとは違い、芝の影響が大きいと村上。
「アプローチでは、時間が許す限りライの状態を確認したいですが、得意でない人ほど、この確認作業が雑。同じ振り幅でもラフに浮いているか沈んでいるか、順目か逆目か、芝の強さや密度によって飛ぶ距離も飛び方も変わります。場合によって番手を替える必要もありますし、1本でやるなら打ち方を変える必要もある。傾斜も関係しますし、それこそ数え切れないくらい選択肢が出てくるわけです」
Case2 大ダフリでバンカー手前に……
球が浮いていても沈んでいても絶対に奥狙い
バンカー越えのアプローチとなった場合、ピン位置が手前でも奥でも、狙うべきは“バンカーから遠い場所”。「ラフは当然スピンが減るので、キャリー距離が減るぶん大きめに見る必要があります。
まさにプロや上級者との腕前の差をわからされる場面だが、我々アマチュアが見るべき重要ポイントがあると言う。
「慣れていないと短時間ですべての状況を把握することは難しいですが、ボールと地面の間に“刃”が入るスペースがあるかだけは絶対に確認しておきたいところ。隙間さえあればミスする確率は低いので、最悪のケースは避けられます。ただ飛び方や飛距離は変わるので、ここは覚えるしかありません。ミスは仕方ないですが、このライでどう飛んだかを蓄積することはとても重要で、これが積み重なることが上達につながるのです」
ワンポイント Lesson
「グリップで距離が変わります」
器用に振り方や振り幅を調整するのは簡単ではないことから、村上が勧めるのは写真Bの方法。「左手の握りを変えるだけで飛距離は変わります。ウィークに握るとフワリと上がり飛距離が落ち、ストロングは前に飛ぶ力が強くなります」
アプローチは打ち方より状況判断と経験だと村上。慣れないうちは安全策に徹するのがよさそうだ。明日の12時30分で公開する後編では、状況別の対処法をより詳しく紹介する。
PHOTO/Hiroaki Arihara
THANKS/葉山国際カンツリー倶楽部
※週刊ゴルフダイジェスト12月3日号「ミスした後の守りと攻め」より一部抜粋