できるだけ振り心地を揃えたい
クラブフィッター小倉です。今回は、私がクラブフィッティングで重要視している項目のひとつである「ウェイトフロー」についてがテーマです。ウェイトフローとは、簡単に表現すると、長いクラブほど軽く、短いクラブほど重くすることで、どのクラブでもスウィング中に発生する遠心力をできるだけ均等にしようという考え方です。
わかりやすいのがアイアンです。一般的なアイアンは、番手が大きくなるごとに半インチずつ短くなり、その分6~7gずつ重くなるように設計されています。そうすることによって、短くなるほど減っていく遠心力を重さで補い、できるだけ振り心地を揃えているわけです。この考え方を、他のクラブにも採用することで、どのクラブを持っても、近い振り心地を作り出し、できるだけミスを減らそうというのが、私がウェイトフローを重要視する理由です。
ゴルフは、複数のクラブを使用して行うスポーツです。1ショットずつ異なるクラブを使い分けなければならないシチュエーションがほとんどであるため、各クラブの求められる性能は違えど、極力振り心地を近づけることができれば、ミスの幅を大幅に軽減できます。
ウェイトフローは、腕前関係なく揃えたほうが良いですが、練習量が多く、それぞれのクラブの役割に合わせた打ち方を身につけることができれば、揃えなくても問題はないでしょう。しかしそうそうそんな練習量を確保できるアマチュアゴルファーはいらっしゃいません。言い変えれば、練習できなくてもミスの幅を小さくできる非常に有用な方法なのです。
フィッティングをさせていただくお客様で、FWがうまく打てないといった特定のクラブを苦手とする方がよくいらっしゃいますが、そういった方のクラブを見せていただくと、ほとんどのケースでウェイトフローの流れからズレています。特にFWやUT、ウェッジなど単品で購入するクラブは、大きくズレていることが多いです。ほとんどの場合、軽い方向にずれていることが多いですね。
基本として、ドライバーからUTまでは、0.5インチ短くなるごとに5~6g、UTからアイアン、ウェッジまでは0.5インチ短くなるごとに6~7g重くなるのがウェイトフローのひとつの目安になります。ウェイトフローを作りこむにあたって、どのクラブの重さを基準にするかということも重要です。自身に適正な重量がはっきりしない場合は、今使っているクラブの中で、最もミスの少ないクラブを基準にするのがおすすめです。
私のクラブセッティングは、ウェイトフローとシャフトのキックポイントを揃え、振り心地の統一感を重視して組んでいます。おかげで、練習をほとんどしなくてもそれなりにプレーができますし、調子が悪くてもどのクラブもミスの傾向が揃うので、対策をすることも容易です。もちろんそれでもカバーしきれないこともありますけどね。
皆さんは、自身のクラブの長さや重さを把握していますか? あなたが苦しんでいるそのミスは、もしかしたらウェイトフローの乱れによるものかもしれませんよ。