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軟鉄鍛造だから成しえた
顔、打感、抜け!
発売前から契約プロが続々スイッチしたことでツアーで話題になったブリヂストン『241CB』と、『241CB』とのコンボで使える『242CB+』。軟鉄鍛造のプロモデルだが打ちやすいと9月に発売になると量販店でも月間売り上げ上位にランクイン。多くの有識者からの支持を集めた。

ブリヂストン『Bシリーズ 241CB アイアン』と『Bシリーズ 242CB+ アイアン』
細かい部分をさらにブラッシュアップ
2年前に前作『221CB』を開発して発売されるのとほぼ同時にプロへのヒアリングが始まったというが、その時点から『241CB』『242CB+』をセットで開発することが決まっていたという。
「『221CB』は当時、プロの使用率も評価も高く、課題がほとんどないといってよかったほどだったんです。ただ、軟鉄鍛造アイアンの重要な3大要素、すなわち“顔・打感・抜け”を『221CB』で改めて確認することができたので、そこをブラッシュアップすることから開発はスタートしました」とは長年、鍛造アイアンを手掛けてきたブリヂストンの北川知憲氏。

『241CBアイアン』は度重なるプロのテストによるフィードバックで「打感」「顔」「抜け」をさらにブラッシュアップ。狙った飛距離をイメージ通りの弾道、フィーリングで打つことを追求
「まずは“抜け”。今回、最もこだわったのがソール形状でした。『241CB』と『242CB+』では形状がまったく異なります。『241CB』はリーディングエッジとトレーリングエッジを落とした台形のような形になっていますが、これはリーディングエッジを急角度に落としたもの、浅めにしたものなど、いくつかのバリエーションを作ってプロにテストしてもらった結果、どのプロからも“この形状がいい”というフィードバックが得られたからです。リーディングエッジの落とし方は番手ごとに変えています」

『242CB+アイアン』は『241CB』のコンセプトをベースに、セミラージサイズのシンプルな形状ながら、安心感とやさしさ、飛びをプラス。『241CB』とコンボでの使用も想定されている
「対して『242CB+』はより幅広い人に使ってもらいたいので、エッジを落とさないラウンドソール。実はこちらのほうがスタンダードだと考えているんです。ヘッドスピードが速くてダウンブローに打ち込めるプロにはリーディングエッジとトレーリングエッジを削ったシャープなソールが好まれますが、アマチュアゴルファーが使いやすいのはラウンドソール。この形状もいくつか作って、プロからのフィードバックで、今のラウンド形状になりました」
1年以上テストを繰り返した結果、たどり着いた形状が生み出す抜けの良さ。これが発売前から異例の早さでプロが続々スイッチした理由のひとつだった。
「結果的に上級者が選んでくれていますが、『242CB+』のほうが、幅広いゴルファーに向いているので、よりオーソドックスに作りました。それを上級者が求めるものにアレンジしたのが『241CB』と言えます」

前作『221CB』よりもシャープで構えやすく、弾道をイメージしやすい、シンプルで所有感を感じられるバックデザイン
軟鉄鍛造ならではの軟らかいフィーリング
「やはりステンレスには出せない打感は必要不可欠。そしてゴルフは単純に真っすぐ飛べばいいというスポーツではない。ミスがミスとしてわかるフィーリング、打感にもこだわりました。前作『222CB+』はバックフェース下部を肉厚にして打点の裏側を避けるように2つの穴を開け、その分の重量を低重心化とヘッドの大型化に利用しました。しかし、“打感が軽い”という声があったんです。そこで今回の『242CB+』ではヘッド下部の内部にリブ付きのポケットのような空洞を設けることで、セット間での打感のバラつきをなくしました。4番と5番にはソールにタングステンを埋め込んで低重心化して、やさしさと許容性を持たせながら、よりソリッドな鍛造アイアンらしい『241CB』の打感に近づけたんです。これによって『241CB』と『242CB+』とのコンボセットでも違和感がなくなり、アイアンの上の番手を『242CB+』にしている人も多いんです。
アイアンは長く使うものなので、顔や形状は大きく変えていません。ただ、ネック周りをよりスリムにして、かつ、かぶって見えないように、よりスクエアにアドレスしやすくしました。これもプロからのフィードバックがもとになっています」

『242CB+』は軟鉄鍛造ならではの打感の軟らかさのなかに、少しの弾き感をプラスした「リブ+インナーポケット構造」。7番で約20gの余剰重量を生み出し、4番と5番にはソール内部にタングステンウェイトを配し、やさしさと寛容性を追求
両モデルとも8番〜PWのロフトを同じにしているのもコンボセットを想定しているから。顔やロフトだけでなく、ホーゼルの長さや重心もできる限り近づけたという。多くのプロが使用しているだけでなく、早くも売り上げで上位に入っているが、軟鉄鍛造のツアーモデルとしては異例のことだ。
「今のゴルファーが求めているモノにマッチしたのだと思っています。前作からブラッシュアップした箇所がブレていなかったことが証明されてホッとしています」
『241CB』と『242CB+』が世に出た今、すでに新しいモデルの開発は始まり、市場の声を聞きながら動き始めているという。2年後には何が変わって、何が変わらないのだろうか? 終わりなき旅は続いていく。
ブリヂストンスポーツ株式会社
商品企画本部 商品企画2部
クラブ商品企画2ユニット
北川知憲 課長
2006年の入社以来、ゴルフクラブの開発に携わり2010年からは鍛造アイアンを主に手掛けている
PHOTO/Takanori Miki、Tomoy Nomura、Akira Kato