我らが“ゲンちゃん”も今年31歳。若手が活躍するなかでツアー4勝目を目指し飛距離アップにも取り組んだが、なかなか結果を出せずに苦しんだ。賞金ランキング74位とシードを逃し、QTファイナルに回るもしぶとく踏ん張り、最終的に14位にランク。来シーズン前半の出場権は確保した。

幼少時からお世話になっている筑紫ヶ丘GCの入口で参加者全員を迎える時松。ゲンちゃんらしい穏やかな表情が見られた
「悪いときは必ずあると思うので、そういうときにいかに崩さないか、ボギーを打たないかだと思います。今年は悪くなると崩れぱっなしになることも多かった。今の若い子たちの飛距離にどこで追いつくかというとやっぱり2打目以降になるとは思うんです。そこはわかっているんですが……そこが課題ですかね」
あまり表情を変えない時松だが、年に1度の“馴染みの”コンペではやはりホッとしたようす。ここに集まった皆さんは「ゲンちゃん応援隊」。厳しい言葉をかける人もいたけれど、それは心から応援しているからなのだ。

地元福岡のゲンちゃん応援団、とにかく明るい同級生コンビ。「時松プロを応援しながら、ゴルフも楽しめる。最高ですよ!」
日頃から時松のクラブを調整しているミズノの野村武志さんは「自分で何がよくか何が悪いかわかってなかった。結局は心なんですよね。心配もしていたけど、きっと大丈夫でしょう」。18年シーズンから時松をスポンサードしているサッポロビールの小池英樹さんは、「シードのオンラインにはいたので毎日見ていました。QTもずっとです。もう一度勝つところを見たいと思っているので、飛ばしの世の中ですけど、いぶし銀のプレーで、チップインなどを見せてもらいつつ優勝してほしいですね」。地元九州や勝ちそうな試合には駆け付ける応援隊の、とにかく明るい藤村幸広さんは、「飛距離やない。上がってナンボ。時松プロのお父さんの言葉です。僕もなかなか実践できんけどね。でも来年もしっかり応援するけんね!」となぜか自分にも気合を入れ直していた。
幼少期から時松を知る筑紫ヶ丘GCの大ベテランキャディさんは、「小さい頃はパターを引きずっとった。『もぐらが出るよ』なんておちょくっとったんです。立派になってねぇ」としみじみ。時松の試合のときは、タイミングが合えば控室で皆で応援しているという。

時松をずっと応援する御殿場から駆け付けた高村潔さん、ミズノの野村武志さんと。叱咤激励の愛情を受けて、来季の活躍を誓う
「ここで応援していない人はおらんとよ。今もお父さんとコースをコツコツと回っとります。特に狭い西のコースやね。やっぱり強くなるには狭いところを重点的に回ったほうが怖くないと思うけんね」
時松本人は恐縮そうに「今年は不甲斐ない1年でした。ゴルフを底上げして納得できるプレーを増やしたいです」と言いながら、「来年こそは皆さんにいいご報告ができるように頑張りますので、ご声援よろしくお願いします」と決意も新たに言葉を締めた。2025年はきっと、より進化した時松隆光のゴルフを見せてくれるはずだ。