失敗も成功も経験すると「無意識」ではいられなくなる
GD ゴルフは18ホールの長旅です。競技ゴルフとなれば、波を作らず18ホールを安定してプレーしたいものですが、なかなかそうはさせてもらえません。そこには「リズム」が大きく影響しているように思います。
田島 通常の生活の中にあるリズムと違ったものが、ゴルフにあるわけじゃなくて、普段のリズムのままゴルフをするというのが一番いいと思います。ゴルフの時だけ違う自分がいるという考え方もあるかもしれないけれども、元々持っている歩くリズムとかをそのままゴルフに持ってこられれば、自然体でプレーできると思うんですよね。
GD プロゴルファーは歩くのが速いと言われますが。
田島 決して速いわけではないと思います。アマチュアでも速く歩く人はいます。プロアマ関係なく、リズムって人それぞれあるなって思って見ていますけど。
GD スウィングリズムは歩くリズムと共通するという説がありますが、それって関係あると思いますか?
田島 ほぼ一緒だと思います。ビートを自分の中で刻んでいて、自分に入っている調子があると思います。これは心拍数とも関係するんですけど、元々持っている心拍数が普段遅い人のほうがスウィングリズムはゆっくりだし、心拍数が早い人はちょっと早い傾向はあると思います。
プレッシャーがかかってきて、心拍数が上がってくるとリズムが早くなりやすいことは研究の結果でも出ています。メンタル的な要素をどう使うのか、それをどう落とし込むのか。逆に心拍数が高いままでもできるように練習するとか、いろんな方法があると思うんですよ。
GD ドキドキするとリズムが崩れて、スウィングも崩れていくことがあります。
田島 ドキドキの要因が何かですよね。外的要因だとすれば、このショットを上手く打たなければならないとか、右方向はケガがあるとか。そこにスコアに関することがなければドキドキする要素はないはずです。
GD 競技ゴルフだとスコアが常に付きまとっているから。
田島 結果に対して不安感があることでドキドキすると思うので、その結果をコントロールするために自分は何をしなければいけないのか?っていうところに目を向けると、ドキドキがあっても普段の自分のリズムでプレーできる。これが競技ゴルフだと思います。
GD ミスすると「今のはリズムが早かったですね」、という解説もありますよね。
田島 外的要因を指摘することは誰でも可能で、大事なのは本人の心の中で何が起こったかです。「リズムが早かったよ」って指摘するのは、一緒に回っている人たちでも指摘できると思うので、それはゴルフの解説としては適切ではありません。
GD 外的要因によってリズムを崩すとしたら、それをコントロールするためのトレーニング方法はあるんですか?
田島 簡単に言ってしまうと、自分が今やること、ショットに向かう手順を意識化するんです。結果をフォーカスするのではなく、今自分の目の前で行っていることに対しての意識化を最強にしていくトレーニングがいいでしょうね。
GD それってルーティン?
田島 ルーティンとはちょっと違います。無意識化することをルーティンって言う人もいますけど、無意識化は弱いんですよ。無意識で動こうとすると、結果や未来や過去に対して左右されてしまうので、ルーティンを意識化して「今化する」。今化することにフォーカスすることは、すごく大事なんです。
GD うむ? 難しいな……。
田島 例えば、毎日顔を洗うとか、歯を磨くとか、シャワー浴びるとか。なんとなくやっている作業を、顔を洗っていること、歯を磨いていることにフォーカスするんです。それが本当のルーティン。そうすると感情が入ってきた時に左右されなくなるんですよ。
GD フォーカスするというのは?
田島 意識です。無意識は誰でもできるんですよ。調子がいい時に「ゾーンに入る」と言いますが、なんとなくこれがゾーンに入るっている状態だということは、意外と誰にも経験があると思います。それは無意識化の状態なんですが、その無意識を意識化するのが本当のルーティンです。
GD 無意識を意識化する?
田島 経験値が浅いうちは無意識でできるんです。
GD 自分がやりたいことを自然にできるので、無意識は良いことのように感じがしますが。
田島 経験値が浅いと、成功も失敗も経験がないじゃないですか。だから不安感があんまりないわけですよ。でも、競技ゴルフを蓄積していくと、いろんなミスが出て、今度はミスに対してのマネジメントが必要になってくるから、臆病になってくるわけですよね。そうすると、無意識では打てなくなるわけです。
GD 失敗を経験すると意識しますよね。
田島 それを意識した時にどう意識するかがすごく大事になってきます。ジュニアゴルファーにこれを言っても全くわかんないわけです、経験がないから。ジュニアは勝手にゾーンに入る。でも絶対どこかで1回は壁に当たって、そこからもう1個上がるためにどうしたらいいかを経験することになります。
GD 失敗した経験値が壁を作っていく?
田島 成功体験もそう。過去の体験が無意識で処理できなくなる時がくるんですよ。過去の経験値が自分の中に入ってくるから、忘れられない。
GD それがゴルフに影響してくる。
田島 無意識化でやっているとそれが影響してくるんです。そういった経験が出てきた時に無意識ではできなくなるので、それが湧いてきた時でも自分をコントロールするようにしなきゃいけないんですよ。
GD 意識していたことが無意識にできるようになるのは、いい事と言いますが?
田島 それは最初です。反復練習をすれば無意識でできるようになる。でも、無意識でできなくなる時が来るんです。その時にどうするかその対策をやっておく必要があります。
GD それはなかなか気が付かないですよね。意識していたことが無意識になって、次は無意識を意識化する。
田島 何を意識しなきゃいけないかってことです。技術的なことを意識するだけじゃなくて、どこにフォーカスするかによって、 自分の目の前の状況を成功に導きやすくなるということを知れば良くなると思います。
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