【田島創志の「90切ったら試合に行こう!」】は、レギュラーツアーで優勝経験もあり、テレビ解説でもおなじみのトッププロ田島創志氏が、「競技ゴルフで結果を出すために必要なノウハウ」を伝授する競技ゴルファー養成企画です。スウィングの作り方、練習法、マネジメント……、「普段のゴルフ」と「競技ゴルフ」の違いをご紹介するものです。

ドライバーの進化がウェッジの打ち方に影響している?

GD 前回はウェッジの精度が上がれば、2打目のミスの許容範囲が広がってスコアが安定するという話でしたが、具体的にどんな練習すればいいですか?

田島 クラブとボールがどうコンタクトすればいいかを理解することです。具体的にはボールの赤道の下にリーディングエッジがどう入っていくかなんですけど、理想はリーディングエッジとソールのバウンスの接地がほぼ同時になることです。

GD リーディングエッジがボールに当たるのと同時にバウンスが当たる?

田島 ほぼ同時に。これが理想です。バウンスが当たらないと抜けるし、バウンスが先に当たってしまうとボールが飛んでしまう。これを同時にするのが最高のコンタクトだと思います。

それと入射角がシャローな人はバウンスは少なめのウェッジと相性がいいし、逆にバウンスが多めのウェッジを使う人は、上めからボールを打つイメージを持つとちょうどいい。ボールの打ち出しは後者のほうが低くなってしまいますが。

GD それは上から打ち込んでいるのとは違う?

田島 バウンスの大きいウェッジを使うと上から打ち込まざるを得ないというのが正しい表現ですかね。海外の選手がバウンスの少ないウェッジを好むのは、入射角をゆるやかにしてボールを高く打ち出したいからだと思います。

GD アマチュアの中には、バウンス大きめのウェッジを使い、ボールを右足寄りに置いてハンドファーストに構えて打っている人がいます。

田島 日本の芝だとそうなりやすいです。

GD プロはそう打たない?

田島 プロは両方必要だと思っています。ハンドレイトでも打てるし、ハンドファーストでも打てなきゃいけない。ハンドファーストの打ち方は、日本の芝とか刈り高の長いフカフカなフェアウェイだといいんですけど、海外のちゃんと締まったフェアウェイからだと打てない。ボールコンタクトが悪くなってしまいます。

GD ボールを右足寄りに置いて、ハンドファーストで打つのはお勧めではない?

田島 日本の芝だったらそっちでもいいのかもしれませんが、僕はやりません。打球が強くなってしまうので。

GD そうなると、ハンドレイトでもなく、ハンドファーストでもなく、ストレートに構えておいてリーディングエッジとバウンスが同時に当たるイメージで打つのがいいということですか?

田島 そのほうが入射角はシャローになってきます。

GD ハンドファーストに構えている人には難しいような気がします。でも、やらなきゃアプローチは上達しないってことですよね。

田島 「GCクワッド」のデータだとスマッシュファクト(ミート率)が「1.0」(ヘッドスピードと打ち出し初速が同じになる)になるのが理想です。ハンドファーストにするとボール初速のほうが速くなってしまいます。

GD ヘッドスピードと打ち出し初速は「等速」ということですか?

田島 「等速」を目指してほしいですね。それができるとどんなライにも、どんな状況にも対応することができます。

GD ロブショットは逆ですよね。打ち出し初速が遅く、ヘッドスピードが速い。それはアレンジショットの部類になるんですか?

田島 そうですね。そっちのほうが難しいです。ハンドファーストに構えて初速を速くするほうが簡単なので。順番としては、ハンドファーストで出球を速くする。次が等速で、その次がロブショットの3段階です。競技レベルだったら真ん中の「等速」まではマスターしてほしいですね。

GD ヘッドスピードと打ち出し初速が合っているかどうかを知るには、「GCクワッド」のような機器を使わないとわかりませんね。

田島 数字で見るのが一番ですけども、構えでだいたいわかります。シャフトが目標方向に倒れていなければ大丈夫です。
 
日本の高麗芝でフカフカしていたらバウンスが強くて、少しグースめのウェッジと相性がいいし、それが日本のアプローチ文化だと思います。でも、それだと現代のドライバーショットに繋がらないんですよ。

GD アプローチの打ち方がドライバーに影響する?

田島 そうです。手元を目標方向に引いて打つ動きだと、今の大型ヘッドのドライバーではヘッドが遅れる動きになってしまう。これは今どきのドライバーの打ち方ではありません。そこについてはまたの機会にお話ししますが、アプローチの打ち方がハンドレイトになっていったのは、ドライバーの進化が影響しています。
 
引く動きから、ヘッドを回す動きに変化していったわけです。アイアンは慣性モーメントが高くないから、手元を引いても、ヘッドを回しても、どっちの動きでもいいと思うんですが、今のドライバーは手元を引く動きではちゃんと打てなくなっています。この動きとアプローチの打ち方が連動するようになっています。

GD そうなんですね。それは初耳です。

田島 最近のウェッジは高重心に作られています。フェース面の上側が重いので、ロフトが増える方向に動こうとします。そのためハンドファーストに構えてもロフトが寝てスピンかかったように感じるんですけど、距離のコントロールはできないんですよ。
 
逆にアドレスでしっかりとロフトをつけておいて、インパクトではロフトを起こす動きにした方が圧倒的に距離感は出せます。

GD その動きがドライバーと共通している?

田島 そこは完全に共通していると思います。ドライバーの動きに合わせてアプローチの打ち方も変化しています。昔のグースネックのウェッジだったら、手元を先行させて引っ張る動きをしても、その時のドライバーヘッドは小さかったので慣性モーメントも小さく、シャフト軸中心にヘッドが回る動きでカバーできました。
 
でも今はヘッドが大型化したので、シャフト軸中心にヘッドを回すことが困難になったので、ウェッジもできる限りインパクトロフトを保ってインパクトしていく打ち方のほうが、ショットとの繋がりができるので、ストレートネックのウェッジが多くなっていると思います。

GD そうだったんですね。ドライバーの進化がウェッジの打ち方に影響していたとは考えてもいませんでした。

田島 その傾向は、「タイトリスト」で言うと『SM6』くらいからだと思います。ヘッドが裏返りしようとする動き(ロフトが寝ようとする動き)が入ってきました。その動きまま打つと飛ばない。うまく飛ばすためにどうしたらいいか考えたことがあります。

GD ロフトが寝るとスピンが入るような気がしますが。

田島 両方あるんですよ。起こす打ち方もあるし、寝かす打ち方ももちろんあります。でも寝かす方は飛ばないんですよね。

GD ハンドファーストでもなく、ハンドレイトでもなく、ストレートに構えておけば、ロフトを寝かすもことも、起こすこともどっちにもいける?

田島 そうです。寝かすも、起こすもどちらにも対応できます。ロフトを起こしてボールをつかまえたほうがドロー回転が入るのでスピンが強いんです。

GD スピンが強い?

田島 「スピン力」が増えるんですよ。これはドライバーも同じです。

GD アプローチを練習するとドライバーショットも良くなるってことですね。

田島 起こす打ち方をすればクラブが起きた状態でボールをつかまえられる。起きていることと、ロフトが立ちすぎる、フェースがかぶるのは違います。

GD ハンドファーストのアドレスから起こすのはダメですか?

田島 ハンドファーストだと起こせないですね。起こすことができないので、その場合は左サイドを抜くしかありません。

GD 抜く動きはグッドではないですよね?

田島 アプローチ程度なら再現性があれば別にいいんですけど、難しいですよ。バリエーションのひとつとして覚えておいて損はありませんが、クラブを引く動きは極力しないでほしいですね。

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