
フェースの向きを管理することが大事
O編 わきゅうがスウィング作りにおいて大事にしているのは、①フェースの向きを管理すること、②なるべく構えたその場で体を回旋させること、③腕と体を同調させることの3つだ、ってことだったよね。
坂詰 そうですね。その3つのテーマに沿ってスウィング作りをしていけば、ショットの精度は確実にアップしていくと思います。
O編 この3つに関しては、この連載で何度か触れてきたけど、忘れちゃった人も多いと思うので、もう一度説明してもらえるかな。
坂詰 わかりました。
O編 じゃあ、フェースの管理から。
坂詰 まず、知っておきたいのは、ボールの打ち出しに最も影響を及ぼすのは、インパクト時のフェース向きだってことなんです。
O編 狙ったところより右に打ち出されるのはフェースが開いて(右を向いて) 当たっている証拠。左に打ち出されるのはかぶって(左を向いて)当たっている証拠ってことだよね。
坂詰 そういう認識でいいと思います。とにかく、狙ったラインに球を打ち出すためには、そのラインに対してスクエアなフェース向きでインパクトすることが大切なんです。よく、球の曲がりを抑えたいって言うじゃないですか。でも、球をコントロールしたかったら、狙ったラインに打ち出すことのほうが大切なんです。だって、多少球が曲がったとしても右に曲がるなら左を向けばいいし、左に曲がるなら右を向けばいいわけですから。
O編 だから、フェースを管理する訓練が必要なんだね。
坂詰 ええ。プロでもインパクトのフェース向きを完全にコントロールするのは難しいので、フェース管理は重要なテーマなんです。アマチュアであれば、なおさらですよね。
O編 じゃあ、そのために何をすればいいかってことなんだけど。

①真っすぐ立ってクラブを持ったら、トウを真上に向け、ヘッドが顔の前に来るように構える②体の正面にキープしたまま、体を右に回し、シャフトを右に倒して、フェースを真上に向ける③手を体の正面にキープしたまま体を左に回し、ヘッドを元の位置に戻して、トウを真上に向ける
坂詰 これは、何度も言っているように、真っすぐ立った状態で、ゆっくりスウィングして、フェースをスクエアに戻す感覚をつかむのが一番だと思います。まずは、①真っすぐ立ってクラブを持ったら、トウを真上に向け、ヘッドが顔の前に来るように構える。そこから、②手を体の正面にキープしたまま、体を右に回し、シャフトを右に倒して、フェースを真上に向ける【バックスウィングの動き】。次に、③手を体の正面にキープしたまま体を左に回しながらヘッドを元の位置に戻して、トウを真上に向けるんです【ダウンスウィングの動き】。
O編 その動作でフェースをスクエアに戻す感覚をつかんだら、前傾した状態で同じ動きをすれば、ゴルフのスウィングになるんだよね。
坂詰 ええ。最初は、①~③の動きを意識しながらゆっくり素振りをして、慣れてきたら徐々にスピードを上げていくといいでしょう。
O編 実際に球を打つときには、出球を見て、フェースがスクエアにコントロールできているかどうかをチェックすればいいのかな?
坂詰 そうですね。球が狙ったラインに出ない場合、左右に散る場合は、また先ほどの練習に戻って、フェースをスクエアに戻す感覚を磨いてください。ま、本音を言うと、読者のみなさんも、トラックマンなどの弾道計測器で自分のインパクトのフェース向きやクラブパス(軌道)を分析してもらうといいんですけどね。
O編 そうすれば、自分がどれくらいフェース向きをコントロールできているか、ひと目でわかるもんね。
坂詰 それで、いい球が出たときと、ミスをしたときのデータがどれだけ違うかを見ておくんです。あとは、調子のいいときと悪いときのデータも取れたらもっといいですね。そうすれば、自分が悪くなるパターンがわかるし、修正するときに役に立ちますから。
O編 現代のプロは、みんなそうやって自分のスウィングを管理してるんだよね。
坂詰 そうですね。計測器のなかった時代は、みんな感覚に頼ってスウィングを直していたから、プロでも遠回りをすることが多かったんです。でも、今は人間の目では見えないもの(インパクトのクラブの向きや挙動など)が把握できるから、そういうことがなくなりましたよね。もちろん、データを妄信する(強い選手、飛距離の出る選手のデータに近づけるために必要のないスウィング改造をするなど)のは危険だと思います。でも、利用できるデータは上手に利用して遠回りを防ぐほうがシンプルだし、現代的なスウィング作りだと思うんですよ。
PHOTO/Takanori Miki
THANKS/GMG八王子ゴルフ場
※週刊ゴルフダイジェスト2024年12月31日「ひょっこりわきゅう。」より