
フェニックスオープンが開催されるTPCスコッツデール(2019年撮影)でも排水処理した水の再利用が行われているが、水不足は深刻だという
雨(0.25ミリ以上)が降っていないとワシントンポスト紙が伝えている。もちろんここだけの話ではなく、ネバダ、アリゾナ、南西カリフォルニアでは、異常な乾燥が続いていると同紙は伝えている。
元々こうした地域での雨量は少ないが、異常気象によって6、7月の雨期が極端に短く、夏の暑さで地中の水分が完全に蒸発してしまったのだ。
シャドークリークGCのように、経済力のあるゴルフ場は、地下水路や下水などの水のリサイクル施設を造ることができる。あるいはフェニックスオープンが開催されるTPCスコッツデールでも排水処理した水の再利用が行われている。しかし24年はそれでも限界だったようだ。そうした施設のないアメリカの一般的なコースとなると問題はさらに深刻。
アメリカ環境保護庁によると、アメリカ全土の異常な乾燥がここ数年で加速しているという。日本も含めての話だが、平均気温の上昇で地中の水分の蒸発が増えているようだ。
元々乾燥した地域ではさらに乾燥やかんばつが進み、湿潤な地域では洪水や豪雨で海に水が流れ出てしまう。もちろん水は人間の生活に不可欠なもの。水が不足すれば、ゴルフコースのメンテナンスに使われる水が真っ先に削られる。
USGAでは、乾燥に強い芝の開発に取り組んでいるが、地球温暖化を止めないことには後戻りができなくなるという。アメリカ海洋大気庁は、2025年もアメリカではラニーニャ現象が続き、降水量が著しく減る傾向にあるという。
私たちも努力しなければならないが、20日に大統領に就任するトランプ氏には、せめてパリ協定からの離脱はやめてもらいたいところだ。
※週刊ゴルフダイジェスト2025年1月21日号「バック9」より