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試打の前に、新モデルのピン『G440シリーズ』の特性などについて、小島プロが解説。現在、『G430 LST』を使用する癸生川プロと2人で、新モデルとなる『G440シリーズ』の開発の“狙い”に焦点を当てて意見を出し合った。

左から『G440 MAX ドライバー』『G440 SFT ドライバー』『G440 LST ドライバー』(撮影/有原裕晶)
小島: 今回の新モデルは『G440 MAX』、『G440 SFT』、『G440 LST』、それと『G440 HL(ハイローンチ=高弾道)』モデルに『MAX』と『SFT』が投入されるので発売は5機種ということになります。『G440 MAX』のロフトは9度、10.5度、12度で、今回の試打はロフト角10.5度。試打シャフトは純正の『ALTA J CB BLUE(Flex S)』。58グラムで長さが46インチです。
癸生川: 前作の『ALTA J CB』は45.75インチだから、少しだけ長くなったということですね。

0.25インチ長くなった『ALTA J CB BLUE』
小島: 今はシャフト長を長くするメーカーが少ないなか、今回『ピン』が敢えて長くしてきたというところからすると、新モデルのコンセプトは“飛び”でしょう。勝手なイメージですが、『ピン』のドライバーって安定して曲がらないんだけど、一発のバーン! っていう飛びのイメージは薄い。そこを変えようとしているのかなと。それで、テクノロジー的には、重心を下げたということなんですよね。
どうやって下げたのかを説明すると、フェース面を薄くして7%軽量化、ホーゼル部分の改良で13%軽量化、クラウンをカーボンにして34%軽量化。このクラウン部分のカーボン・フライ・ラップテクノロジーは、前作は『G430 LST』だけ(その後『G430 MAX 10K』にも採用)だったのが、今回は全モデルで採用ということです。それで、これだけ軽くなったぶん、深低重心化に成功。特に低いという部分にこだわって、安定感はそのままに、距離を伸ばしていこうという狙いかなと思います。
癸生川: 確かに僕は今、ピンの『G430 LST』を使っているけど、現行モデルでも凄い安定感がある。それで、曲がらないから振れる飛ばせるというのが『ピン』のイメージです。
小島: 今回はそれにもうひとつテクノロジーが上乗せされたことで、安定感に加えてさらに飛ぶとなったら最強ですよね。じゃあ実際にどうなのかということを試打で見ていきたいと思います。
二人の話し合いで、今回の『G440 MAX』のコンセプトは『安定感』と『飛び』の融合にあると踏んだ。
YouTubeの試打データからWEBサイト「みんなのゴルフダイジェスト」では『センター』、『トウ』、『ヒール』の3点で打った時の安定性と飛距離の違いを掲載していく。
(ヘッドスピード別はYouTubeを参照ください)
打点ズレ試打は、事前に行ったセンターヒットの試打で、『45m/s』『42m/s』『39m/s』の3つのスピードで打った時に、最もパフォーマンスが良いという印象を受けた『39m/s』にした。
癸生川プロの見た目の印象は?
「見た印象は、スッキリしてます。46インチで長くなったということだけど、構えた感じはそこまで長くは見えないですね」(癸生川)
センターで打つ
<トラックマン4>
クラブスピード●39.5m/s
ボール初速●58.8m/s
打ち出し角●12.8度
スピン量●3002rpm
降下角●36.1度
キャリー●199.9Y
飛距離●222.0Y
打ち出し方向●0.6度左
スピンアクシス●5.4度右
SIDE●11.9Y右
<GCクワッド>
Hインパクト●4ミリヒール
Vインパクト●0ミリ低

【センターヒット】上段の数値はトラックマン4のデータ、下段がGCクワッドのデータ
打感や弾道を見ての癸生川プロの感想は「スピードがこれくらい落ちたら、ちょっと球がおじぎする感じの飛び方になるけど、それがないし、しっかりと上がってくれる。自分で球を上げる必要がないということは、スウィングが良くなりますからね。そうなると飛距離も自然に伸びると思います」。
トウ寄りで打つ
<トラックマン4>
クラブスピード●40.4m/s
ボール初速●60.6m/s
打ち出し角●10.0度
スピン量●2569rpm
降下角●30.5度
キャリー●197.7Y
飛距離●225.1Y
打ち出し方向●3.3度右
スピンアクシス●3.5度左
SIDE●6.7Y右
<GCクワッド>
Hインパクト●15ミリトウ
Vインパクト●7ミリ低

【トウヒット】上段の数値はトラックマン4のデータ、下段がGCクワッドのデータ
打感や弾道を見ての癸生川プロの感想は「予想通りの球の高さと、前へ飛び具合という感じですね」。
ヒール寄りで打つ
<トラックマン4>
クラブスピード●39.8m/s
ボール初速●58.4m/s
打ち出し角●12.6度
スピン量●2780rpm
降下角●32.5度
キャリー●200.3Y
飛距離●226.2Y
打ち出し方向●5.8度左
スピンアクシス●3.7度右
SIDE●13.5Y左
<GCクワッド>
Hインパクト●18ミリヒール
Vインパクト●3ミリ高

【ヒールヒット】上段の数値はトラックマン4のデータ、下段がGCクワッドのデータ
打感や弾道を見ての癸生川プロの感想は「ヒールに当たった時のフェースのかぶり具合(左を向く度合い)もそんなに感じなかった。打感はもちろん芯に当たった時よりは固い感触はあるけれど、でも違和感を覚えるほどではないかな。(「いつもはココに当たると気持ち悪い感触と言うじゃない」という小島プロの突っ込みに)そうなんだけど、ヒールに当たった度合い(ズレ)もあるだろうけれど、そこまで悪い感触はなかったですね」。
小島プロによるデータ分析
39m/sでフェースのセンターから『G440 MAX』の特性を分析
39.5m/sのクラブスピードに対して58.8m/sのボールスピードは悪くない数値です。ボールスピード58.8m/sというのは、日本人男性の全平均値に近い数値です。当然、メーカーさんは平均値を狙ったクラブ開発に力を入れてくるわけだから、その近辺で充分にパフォーマンスを発揮できるクラブなんじゃないかなと思います。
スピン量が3002rpm。39m/sで3000rpmも入っちゃうんだと思うかもしれないけど、ボールスピードが落ちた時のスピン量っていうのは逆にボールを上げてくれるのでキャリーを増やしてくれるから、ポジティブな要素なんです。もちろん、3600rpmとか3800rpmとかまで入ってしまうとどうかなと思うけど、でもピンはそういう数値には行かないというのがポイントです。
センター、トウ、ヒールのデータを比較

打点ズレしたときのデータ比較
確かに、このクラブはミスヒットに強い。芯に当たった時のボールスピードが58.8m/sで、15ミリトウに当たって60.6m/s、18ミリヒールに当たっても58.4m/sです。3つのクラブスピードを揃えて条件を同じにしたとしても、ボールスピードは1m/sも落ちていません。この結果を見ると、試打前はピンは飛距離に振っているはずと言いましたけど、むしろコッチ(『安定』=寛容性)のほうが凄い。芯から15ミリトウや18ミリヒールにズレて当たっても、ボールスピードが芯に当たった時の数値と変わらないわけだから。これはかなり凄い。だから、結果的に『飛ぶ』ということなんでしょう。
スピン量は芯に当たった時は3002rpm、トウが2569rpm、ヒールが2780rpmです。まあトウはこれくらいに落ちるというのは予想どおり(ギア効果もありつかまるのでスピン量は落ちる)ですが、驚くのはヒールでもスピン量が落ちているんですよ。ヒールヒットの時は、芯に当たった時より3ミリ上にあたっているとはいえ、それでも2000rpm台に入ってくるというのは意外というか、ヒールに当たってもスピン量が増えにくい特性なんでしょうね。
その結果、キャリーもトータル飛距離もほぼ同じ。トータル飛距離はセンターが222.0ヤード、トウが225.1ヤード、ヒールが226.2ヤードですから、3つともほとんど変わらない。

試打を担当した癸生川プロ(左)とデータ分析の小島プロ(右)
この小島プロの分析を聞いた癸生川プロが思わず、こんな驚きを口にする。
癸生川: じゃあ、もうどこに当たったっていいじゃん!
小島: そういうことです。ある程度なら打点は気にしないで振ってもイイよということなんです。癸生川さんが「ピンは安定して振れるから飛距離も伸びるんだ」って言っていたじゃないですか。まさに、だから飛ぶということなんだと思うんですよ。
癸生川: そこは今回も継承なんだね。
小島 今回は、重心位置を変えてきたわけですけど、その効果か、凄くミスに強いクラブだと思います。もちろん飛距離はアップしていると思うんですけど、僕はそれよりもこのミスヒットに対する強さの方に驚かされました。
みんなのゴルフダイジェストYouTube・みんゴル試打班「ガチギアトラック」では、ピン『G440 MAX』の45m/s、42m/s、39m/sで打った場合のデータ分析や、小島プロが過去最大の驚きを発したオフセンターヒットした時の安定感に関して検証しているので。ぜひご視聴ください!