
「足組ドリル」でインパクトが良くなるフィニッシュを覚えよう
体とスウィングのバランスが良くなる「足組ドリル」

体とスウィングのバランスが良くなる「足組ドリル」
GD 前回は体のバランスを崩さない腕の振り方を覚えるドリルとして足組ドリルを説明しいただきました。ドリルのやり方は大体理解できたつもりですが、原田プロは、アマチュアは腕の振り方について大きな誤解をしているとのことでした。それはどんな誤解なんですか?
原田 このドリルで腕を振るときは体が正面を向いたままで両ひじをたたんで左肩に担ぎます。そのとき右ひじは顔よりも右になくてはいけません。でも、多くのアマチュアは右ひじが顔より左に出ていかないとボールを打てないと思っているんです。それが大きな誤解なんです。そういう動きをしてしまうと体のバランスを保つことができません。
GD 左手の使い方で腕をターゲット方向に伸ばすのも大きな誤解でしたね。足組ドリルでもそれは同じということですか?
フォローで腕を伸ばす意識を持つと体のバランスが崩れる

ボールを押したいからと腕を伸ばそうとすると、体もスウィングもバランスを崩してしまう
原田 そうです。このドリルで右ひじが顔よりも左に出ていっちゃうということはひじをたたまずに腕を伸ばしているということです。腕を伸ばしちゃうとね、体のバランスが不安定になります。でも、ちゃんとわきを締めて両ひじをたたんで左肩に担いでいたら、体の回転軸から手、腕が離れていかないんですよ。腕を伸ばしてわきが空いていたら回転軸から手、腕が離れてしまいます。そうなると体のバランスを保つことができません。
GD 手、腕は体の近くにないとバランスが崩れるというのは初めて知りました。今まではそういう事実を知らずに手を伸ばしていました。それは間違っていたんですね。
構えてインパクトしたらすぐに両ひじをたたむ意識が大事

写真左はアドレス、写真右は「足組ドリル」でクラブを振った直後のフィニッシュ。フィニッシュで両ひじをたたむと、体とスウィングのバランスを保つことができる
原田 間違いです。フィギュアスケートの選手がジャンプするときを思い浮かべてください。フィギュアの選手は両手を胸に当ててわきを締めてジャンプしていますよね。そうしないと体のバランスが崩れてしまうからです。実はフィギュアの選手にはゴルフがうまい人が多いんです。手、腕を体の近くに置いてわきを締めるというゴルフとの共通点があるからです。
GD フィギュア選手がジャンプするときは確かに両手を胸に置いてわきを締めていますね。腕を伸ばして振っている人が多いのは、プロの連続写真を見て、頭を残して両腕を伸ばしている写真がいいんだと、まねをする人が多いからですか?
原田 その通りです。あれは何千分の1秒の高速シャッタースピードで撮った写真ですよ。プロは腕を伸ばそうとして振ってはいません。腕を振っていくときは両ひじを早くたたんで左肩に担ごうとしているだけなんです。プロが腕を伸ばしている写真は、両ひじをたたんで左肩に担ごうとしている途中の動きの一瞬を高速シャッタースピードで撮った写真というだけです。
GD 仮に腕をさらに伸ばそうとしているプロも、体のバランスを保つ体力や技術があるから、それができるんでしょうね。では、足組ドリルでも腕を振るときは体を正面に向けたままで両ひじをたたんで左肩に担ぐ動きをすれば、その動きを連続写真で撮ってもらった場合には、その1コマにプロが頭を残して腕を伸ばしている写真のような瞬間が写っているということですか?
腕を伸ばす意識がなくても、インパクトで腕は伸びる

「手を伸ばす意識はNGです。両ひじをたたんで左肩に担げば、腕が伸びている瞬間が絶対にあるってことです」(原田)
原田 その通りです。手を伸ばす意識はNGです。両ひじをたたんで左肩に担げば、腕が伸びている瞬間が絶対にあるってことです。
GD で、実際にこのドリルをやってみると、ヘッドを左へ出していく意識がなくてもボールに当たるということですね?
原田 そうです。というのは、何度でも繰り返しますけど、両ひじをたたんで左肩に担ぐ動きでは、インパクトでしっかりと両腕が伸びてボールに当たっているからです。試しに動画を撮ってみると一目瞭然ですよ。スロー再生したら絶対に腕は伸びている瞬間があるんです。
GD やってみます。原田プロ、撮影をお願いします。右耳のあたりまで手を上げて体は正面を向いたままクラブを左へ振って両ひじをたたんで肩に担ぐ。いきなり上手にはできません。どうしても体を正面に向けたまま振れなかったり、右ひじを頭より左へ出してしまいます。
原田 何度かチャレンジしていれば、徐々にできるようになりますよ。
GD ちょっと格好がついてきたかなと思います。確かに体を正面に向けたまま両ひじをたたんで左肩に担ぐ動きでボールに当たるんですね。自分の感覚では絶対に当たらない感じですけど、実際はしっかり当たります。どうですか?
プロのフォローのまねをしないこと

「インパクトの瞬間には腕を伸ばそうと意識しなくても自然に腕は伸びているんです」という原田プロ。ここからすぐに両ひじをたたんでいく。フォローで腕を伸ばしたらいいという誤解をしている人は注意しよう
原田 今撮った動画を見てください。ほら、腕がピーンと伸びている瞬間があるでしょう。インパクトの瞬間には伸ばそうと意識しなくても自然に腕は伸びているんです。だからボールに当たるんです。
GD 本当ですね。いや、びっくりです。腕はしっかり伸びていますね。今まで大きな誤解をしていたことが分かりました。これまではターゲット方向に押すような動きがないとボールを打てないとか、いろいろと腕を横に振ることを考えていました。それがスウィングの迷いの淵にはまってしまった原因かと思いますね。
原田 ようやく分かってきたようですね。それこそが正しい腕の振り方です。でもね、伸び悩んでいるゴルファーの多くは同じような誤解をしているのが現状です。このドリルの最大のメリットはね、この誤解が分かるということです。これが分かるとね、今までやってきたことの思い込みが間違いだったことに気が付けるんです。
GD でも、腕を振っていくときのひじをたたむタイミングがなかなか飲み込めません。アマチュアにはかなり難しいと思います。インパクト直後にひじをたたむ意識でいいのですか?
原田 いい質問ですね。では、この続きは次回説明しましょう。
●原田伝一( 全日本ゴルフスクールプロ指導者連盟理事長)
はらだ・でんいち。1955年、横浜市出身。80〜82年、US・NGFインストラクターセミナー参加。ゴルフ指導者について研究を積む。83年、NGF日本ゴルフ財団チーフインストラクター就任。2010年、一般社団法人 全日本ゴルフスクールプロ指導者連盟理事長に就任。数多くのレッスンプロを世に送り出している。
撮影協力/EN ゴルフレンジ