
解説/小林大介プロ
日夜、世界のトッププロのスウィングを研究し、アマチュアへの指導経験も豊富。湘南衣笠ゴルフ所属
三井住友VISA太平洋マスターズが開催される太平洋クラブ御殿場Cの18番ホールは、段差のある受けグリーン。昨年の大会2日目に金谷拓実はこのホールで2打目が左バンカーにつかまり、3打目の左足下がりのバンカーショットがピンをオーバーしてしまい、逆サイドの池に。賞金王となった昨年暮れのインタビューで金谷にこの一打について聞くと、「……難しかったです」と実感を込めた。
トッププロも手こずる「左足下がりのバンカーショット」の難しさを、小林大介プロに解説しても
らう。
左足下がりになる典型的なケースは、受けグリーンの奥にある、いわゆるOBを止めるためのバンカーで、奥側の土手が高くなっているので左足下がりになりやすい。

超難しい左足下がりのライ
「奥のバンカーの場合はグリーンエッジから遠い所にボールが止まるケースが多いので、乗せるには『球を上げる』キャリーが必要です。でもヘッドをシャローに入れてくると手前の砂をダフるので『上げづらい』。
そこでダフらないようにボールを右に入れると、トップします。さらに、奥側の土手との距離が近いときはクラブを『鋭角に入れる』打ち方になるので、『球が上がりづらい』というジレンマが、このショットを難しくしています」と小林プロは言う。
●左足下がりのバンカーが難しい理由
①ボールが上がりづらい
左足下がりは普通に構えるとロフトが立つので球が上がりづらい。そこでフェースを開くと右サイドの砂をダフって上がりづらい。
②グリーンに止めづらい
グリーンも下り傾斜のことが多く、球が転がりやすい。傾斜によっては、ピンのかなり手前に落とせてもグリーンオーバーすることも。
さらに、冒頭の金谷拓実の例のように、グリーンに乗ってからの球の転がりがこのショットの難易
度を上げているという。
「金谷選手もエッジに止まればという感じで打ったと思うんですよね。一般営業のゴルフ場のグ
リーンの速さなら、奥のバンカーならエッジ近辺に落とせば傾斜でスーッとピン方向に転がってくれ
ます。ただそれを狙うと『緩んで』脱出できないケースが多いです」
では左足下がりのバンカーは、どうやって打てばいいのだろう。
「ある意味一番思い切りが必要なショットなので緩むのが最悪です。なのでギリギリを狙わずに、
トップして向こうのエッジに行ってもいいから、とにかく出すことを優先する、これが大事です」
左足下がりのバンカーでの割り切った考え方はコレ!
①まずは脱出することを最優先に考える
ピンに寄せたいと思うとスピードが緩み手前の土手に当たって、バンカーから脱出すらできないことに。まずは脱出を目指すのが鉄則。
②ピンをオーバーしてもグリーンに乗れば合格点
「最もシビアなショット」なのだから、とりあえず乗れば合格。ピンから15メートル以内の2パット圏内なら満点と考えよう。
左足下がりのバンカーでやってはいけない3つの注意点
①無理に球を上げようとすること
左足下がりはそもそもダフリやすいシチュエーション。なのに無理にボールを上げに行くと、右手前の砂をダフってしまい、ボールが飛ばないという結果に陥りやすい。
②緩んでしまうこと
バンカーショットは手加減をしてスピードが「緩む」ことはNG。とくに奥のバンカーからはグリーン面が下りになることが多く、寄せようと欲が出ることでインパクトで緩んでしまいやすい。
③ハンドファーストで構えること
左足下がりで傾斜なりに立つとハンドファーストになりやすく、ロフトが立ち、球が上がらなくなる。斜面なりに立ちつつ、ハンドファーストにならないように注意が必要だ。

3点は注意しよう
これらを踏まえて、“とにかく出す”打ち方を、後編で教えてもらおう。
TEXT / Masaaki Furuya
PHOTO / Yasuo Masuda
THANKS /葉山国際カンツリー倶楽部
※週刊ゴルフダイジェスト2月4日号「”左足下がり”のバンカーショットの打ち方」より一部抜粋