「MT-28」「MTIウェッジ」など数々の名器を世に送り出し、日米両ツアーで多くのプロ支給品を手がけたクラブ設計家、宮城裕治氏が流行に惑わされないクラブ選びとクラブ設計の真実をクールに解説。今回は5番以下のウッドやUTの役割と選び方について教えてもらった。
画像: スコアをよくするための5番ウッドやUTはどう選ぶのが正解?(写真はイメージ)

スコアをよくするための5番ウッドやUTはどう選ぶのが正解?(写真はイメージ)

コースで各番手のキャリーを知っておきたい

みんゴル取材班(以下、み):少し前の話ですが、シニアツアーで井戸木鴻樹プロのクラブを取材したときに「最近の5WやUTは飛びすぎて困る。だから替えられない」という話を聞きました。そのとき井戸木プロのバッグに入っていたのはロイヤルコレクションから出た20年以上前の「スーパーCV BBDタイプH」と10年以上前の「スーパーCVTRC」でした。

宮城:シニアはティーショットが飛ばなくなるとセカンドショットで持つ番手がだんだん大きくなり、5WやUTでピンそばに止めるショットを打つケースが増えてきます。昔のロイコレのキャビティソールは構造上どうしても重心が高くなるのでスピンがよく入ります。長い番手で高く上がって止まる球を打つために手放せなくなっているのでしょう。

み:クラブの使用目的を考えたら、飛距離よりも上がって止まることのほうが大事というわけでしょうか。

宮城:いまのロースピンで飛ぶクラブはグリーンの真ん中にキャリーさせたらボールが外に飛び出てしまうのでとてもゲームになりません。シニアに限らず男子の今平周吾選手なんかが飛ばない「タイトリスト910H」を替えないのもそのためです。

み:最近は5Wが飛びすぎてしまうからと3Wを抜く若手プロもいますが。

宮城:本末転倒になっていますね。本来5Wはプロならば1ピン以内をねらっていくクラブなんです。ぼくがFWを設計するときも、3Wを低重心にしても5Wは高重心にしています。

み:では設計者の立場からFWやUTを選ぶときのポイントを教えてください。

宮城:その1本だけの飛距離で判断しないことです。ショップでいろいろなモデルを打ち比べて店員から「これがいちばん飛んでいます」といわれて買うのはリスキーです。たいていはトータルの距離だけ見ているからです。いくら飛んでもランが30ヤードも40ヤードもあったら使い物になりません。

み:アマチュアは単純に飛べば嬉しいという感じですが。

宮城:スコアをよくするのが目的ならば、大事なのはその番手の最大飛距離を出すことではなく、13本のクラブで距離を刻むことです。もし5Wで届かない距離なら3Wを持てばいいし、3Uで届かないなら5Wを持てばいいだけ。女子プロの岩井姉妹なんかは頭がいいセッティングです。お姉ちゃんは5Iの上に飛び系の6Iを入れています。変則的ですが4Iの距離が出せるしUTよりも止まります。妹が6Iの上に少しロフトの立った6Iを入れているのも同じ考え方です。

み:番手の数字の並びにとらわれてもよくないということですね。

宮城:FWやUTを選ぶときは、可能であればコースに持ち込んでキャリーでどれだけ飛ぶかメモして、距離を刻めるようにするといいでしょう。

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