開口一番「楽しくラウンドできました」と話した明愛。2番で幸先よくバーディを奪うと、4番のパー3では20メートルほどの超ロングパットを決め、スコアを伸ばしていく。誰もが「今日もいけるか」と思ったのだが、やはりというべきか、そうは上手くいかない。9番で今大会初めてのボギーを喫し、2位に後退すると13番でもボギーを叩き、差を広げられてしまう。2日間バーディを奪っていた15番で取り返し、この日も1つスコアを伸ばしたが、2位でスタートしたエンジェル・インがこの日、8バーディ(ノーボギー)の「64」で回り、首位を明け渡す形に。それでもなぜ、「楽しかった」のだろうか?

『LPGA』を楽しんでいる岩井明愛
「ギャラリーの方が多かったですね。日本よりも多いかなと思うギャラリーの方がいた印象です。もちろん、私の応援というよりは、ほとんどが(同組の)ティティクル選手の応援なんですが、そんな状況の中プレーできたので、すごく楽しかったです」
岩井は『LPGA』という場所を楽しんでいるように見える。9番で初めてボギーが来た時も「なんでフライヤーしたのかなぁとか、アプローチでパターを選択しましたが『寄りそうにないなぁ』と思って打ってました(笑)。でも、全部がいい経験です」と前向きに話す。さらに、世界のトップとのラウンドも実に楽しんでいる。昨日は竹田麗央と同組だったジーノ・ティティクルと同組になり、積極的にコミュニケーションをとっている姿も。
「最初のほうはあまり覚えていないんですけど、他に何(のスポーツ)をやっていたのとか、そういう話をしました。彼女はテニスとかバドミントンをやっていたみたい」
コミュニケーションはもちろん英語。明愛は『LPGA』を肌で感じ、この場所自体を楽しんでいる。ただ、十分に優勝が考えられる位置で明日を迎える。楽しみだけでは戦えないことも知っているからこそ、少し引き締まった表情になり、こう続けた。

エンジェル・イン(写真左)に首位を明け渡した。明愛は5打差の2位からのスタートで逆転を狙う
「追いかける立場になりましたが、まだどうなるかわからない。でも、あまりそこは考えずに明日も今までのように自分のプレーができたらいいなと思っています」
妹の千怜もスコアは落としたものの、しきりに笑顔で「楽しかった」と話していた。たとえスコアが悪くても落ち込まず、前を向く姿勢を持っているのがこの姉妹の強さ。明愛はトップと5打差の2位。この前向きな気持ちで、明日、思いっきり楽しんだ先に優勝が待っていたら最高だ。
撮影/姉崎正