
ABEMAツアーなどで実況、ラウンドリポーターを担当する萩原(撮影/大澤進二)
萩原菜乃花(はぎわら なのか)
名門日本大学ゴルフ部に所属して腕を磨き、ベストスコアは75。学生時代から週刊ゴルフダイジェストなどに登場。大学卒業後はライムライト所属のフリーアナウンサーとして活動中。
25年JGTOチャレンジトーナメントはどうなる?
2018年に始まった「ABEMA」の特別スポンサー契約が昨年で満了しました。ツアー名の冠から『ABEMA』が外れたことで、今シーズンのチャレンジトーナメントは何がどう変わるのか、読者の皆さんも気になると思うので、まずは確定事項を挙げていきます。
まず試合数ですが、今シーズンのチャレンジトーナメントは、現在決定しているのが11試合で、調整中が1試合。この調整中の1試合が開催されれば、今年も2024シーズンと変わらず12試合となるので、なんとか残る1試合も開催決定に動いてほしいと願っています。
試合の開催日数は、2017年までの「チャレンジトーナメント」の時は2日間競技でしたが、2018年に「AbemaTVツアー」が始まって全試合が3日間競技になりました。今シーズンは「ABEMA」が冠から外れたことで、以前のように2日間競技に戻ってしまうのか気になるところでしたが、発表されたトーナメントスケジュールを見ると、全試合3日間競技だったので安心してください!
次に、選手たちにとって大事な賞金額。今季、賞金が増額されたのは2試合で、『ジャパンクリエイトチャレンジin雷山』が200万円、『石川遼everyone PROJECT challenge』は300 万円、それぞれ増額。その一方で、『JGTOファイナル』は、24年までのディライトワークスが冠スポンサーから下りた影響からか、今季は500万円の減額されています。トーナメント全体としては今シーズンの賞金総額は1億7900万円で、昨年より1500万円の減っていますが、もし現在、調整中の1試合の開催が決定すれば、これも去年と同じ額になります。
話題になっているポイント制は、レギュラーツアーは2026年からの導入になりそうですが、一足先にチャレンジトーナメントは今年からポイント制になるとのことです。ポイントレースを昨年までの賞金レースと並行して行うとか、試合ごとのポイント配分がどうなるのかなど、まだわかっていないことが多いですが、ポイント制によってどんな新たな争いが展開されるか、注目です。
ABEMAの次の冠が未だ発表になっていないのが不安ですが、ファンが1番気にしているのは中継があるのかないのかということでしょう。ただ、この点は昨年暮れの発表で「配信は決まりました」ということで、これも一安心。あとは、冠スポンサーが決定すれば、いろいろと発表されることと思います。
「ABEMAツアー」は、テレビではなくネット中継だったこともあって、どこでも見られるという利便性があり、レギュラーツアーの選手たちもけっこう見ていたようです。中継があることで、下部ツアーの選手たちにとってもモチベーションのアップにつながることが多々あって、視聴者の皆さんにプレーを見てもらい名前を覚えてもらえたり、スポンサーの目に留まって契約に結びついたり、いろんなメディアからインタビューされるようになったりと、選手それぞれの成長につながるチャンスになっていたと聞いています。今シーズンも中継の配信が始まったら、チャレンジトーナメントの選手にぜひ注目を!
25年シーズン、レギュラーツアーでの注目選手!
22年の久常涼、23年の生源寺龍憲、鈴木晃介といった力が少し抜けていた選手がいなかった2024シーズンはベテランからツアールーキーまで多彩な選手が優勝しました。そんなチャレンジトーナメントで私が取材した選手の中から、今シーズン、レギュラーツアーで“来そう”な選手を紹介していきます。ABEMAツアーで取材した選手がレギュラーツアーで活躍する姿は楽しみです!

ABEMAの賞金ランクではなく、数少ない試合数でレギュラーツアーの賞金シードを獲得した下家秀琉(左)と大岩龍一(右)
「PGM Challenge」で初優勝した下家秀琉選手は2024年ツアールーキーでしたが、最終日に1イーグル5連続バーディという爆発力を見せ、『59』というビッグスコアで優勝。下家選手は2024年はABEMAツアーの賞金ランキング11位であると同時に、レギュラーツアーの賞金ランキング62位の成績を収めて賞金シードを獲得しています。ちなみに、下家選手と同じようにレギュラーツアーの賞金ランキングで49位になった大岩龍一選手(2024年ABEMAツアー賞金ランキング14位)も、今シーズンはシード選手としてレギュラーツアーに参戦します。

ABEMAツアー最後の賞金王として名を刻んだ山田大晟(撮影/岡沢裕行)
また、最終戦を迎えた時点で賞金ランキング28位だった山田大晟選手が、賞金王になるには優勝しかないという状況で、狙って優勝できたことに、語弊を恐れずに言えば、すごく驚きました。これでチャレンジトーナメントの賞金ランキング1位になった山田選手は、今シーズンのレギュラーツアーのフル出場権を獲得しています。

昨年のABEMAツアーで兄弟優勝を飾り、今季の前半戦をレギュラーツアーで戦う大嶋宝(左)と大嶋港(右)
大島港選手も2024年のツアールーキーでしたが、プロデビュー2戦目の『iGolfShaper
Challenge in 筑紫ヶ丘』でいきなりチャレンジ初優勝。大島港選手はゴルフ界ではよく知られた“大嶋4兄弟”の末っ子で、2歳上の三男の宝選手もツアー終盤戦の『石川遼 everyone PROJECT Challenge』で初優勝! この優勝で宝選手は2024年のABEMAツアーの賞金ランク3位、港選手は4位に入り、二人とも今季のレギュラーツアーの前半戦(第1回リランキングまでの出場権を獲得)に参戦します。

写真上が竹山昂成、写真右下が鳥海颯汰、写真左下が新村駿
2024年度のQTの上位20位までの選手にも、今シーズンのレギュラーツアーの前半戦の出場権が与えられますが、その中には、昨年取材した鳥海颯汰選手、新村駿選手、竹山昂成選手も入っていて、いまから活躍が楽しみです!
25年チャレンジトーナメントの注目選手!

写真上が山下勝将、写真右下が福住修、写真左下が丸尾怜央
次は2025年のチャレンジトーナメントでの注目選手を紹介します。ツアールーキーでは、ABEMAチャレンジャーでも出場していた福住修選手、多田旺生選手、丸尾怜央選手、山下勝将選手がプロ転向してチャレンジトーナメントに参戦予定です。アマチュア時代からプロの舞台で活躍していた選手たちなので、昨年の下家秀琉選手や大島港選手のように、ツアールーキーでいきなり初優勝を飾る選手が何人出るか、楽しみです。
あと、個人的にはABEMAツアーが1年目のときに活躍していた選手たちの返り咲きに期待しています!

昨年の最終戦で涙を飲んだ伊藤有志だが、ファイナルQTで25年シーズンの職場をしっかり手にしている
伊藤有志選手は、昨年のABEMAツアーの最終戦の最終ホールで、2パットならチャレンジの賞金ランキング20位以内に入り、今年のレギュラーツアーの前半戦の出場権を獲得できたのに、惜しくも外して3パット。賞金ランクは28位に。しかし、その悔しさをもってサードQTから勝ち上がり、ファイナルで49位に入り、今季のチャレンジトーナメントの出場権(120位以内)を獲得しました。ABEMAの最終戦には、試合後の実況席にゲスト出演したときの悔しい表情を見ているだけに、チャレンジツアーの出場権を獲得することができて私自身、ホッとしました。

2016年の日本アマチャンピオンである飛ばし屋の亀代順哉
伊藤有志選手とは同い年の亀代順哉選手は、昨年のQTは、セカンドの初日をトップスタートし、2位通過と順調にクリア。サードもしっかり通過して、ファイナルで60位となり、やはり今季のチャレンジツアー出場権を獲得。日本アマチャンピオンでABEMAツアーでの優勝もある実力者ですが、一時期苦しんでいた期間があるだけに、今シーズンは返り咲き、そして飛躍の1年にしてほしいです。
最後に、チャレンジツアーの試合会場での観戦のすゝめを。まだ発表はされていませんが、昨年までと同様なら、チャレンジトーナメントは観戦無料。そして基本的にローピングなしで、試合によってはクラブハウスに入れるゴルフ場もあるので、レストランで食事も可能なのです。ローピングなしだから、選手のプレーを間近で見られるし、ギャラリー数が(悲しくも)少ないので、選手との距離が近くなり、インターバルなどでチャンスがあれば話せるかもしれないし、通いつめれば選手に顔を覚えてもらえたりするかも⁉︎ ぜひ、試合会場に足をお運びください。
7年間のABEMAツアーが終了し、2025年は新章がスタート。まだまだ不透明なこともあり霧の中を進むような感覚ですが、どんな選手が出てくるのか、いまから楽しみです。
ABEMAで育った選手たち、ABEMAを“観て”育った選手たち。カメラに映ることに慣れたり、インタビューで緊張することも少なくなったはず。今までの経験を新章に活かしてほしい!
2025年、皆さんが良いスタートをきれるよう願っています。