欧州障害者ゴルフ協会(EDGA)、ベン・エヴァンス氏からの寄稿の第3回目です。イギリスの名門コース、ウォーバーンGCで開催される障害者ゴルフの世界大会など、「G4D(ゴルフ・フォー・ディスエイブルド)」に関するEDGAの活動について紹介します。
画像: EDGAは年間120のゴルフトーナメント(日本障害者オープン選手権のサポートを含む)を運営、認証、またはサポートしている(写真左が筆者のベン・エヴァンス)

EDGAは年間120のゴルフトーナメント(日本障害者オープン選手権のサポートを含む)を運営、認証、またはサポートしている(写真左が筆者のベン・エヴァンス)

国際的なG4Dトーナメントの出場資格とは

G4Dの「プレーヤー・パスウェイ」という、新しい選手がプレーを学ぶための、自分に合うフォーマットへのアクセスが増えている。一方、競技という環境に移行しようとする障害を持つゴルファーたちは、スポーツで最も偉大な人たちと同じゲームをプレーしていることに気づくだろう。

使用ティーマークを変えることができること、さまざまなスコアリング形式、ゴルフの世界的なハンディキャップシステムは、機会の平等を生み出しており、ゲームのスコアリングの伝統によって受け入れられている。誰にとっても同じ土俵にいられることは、このスポーツの不思議な魅力のひとつであり、インクルージョンをめぐるメッセージをより魅力的なものにもしている。

国内のG4D大会に出場するためには、それぞれの政府の当該機関によって障害者であると認定されないといけないが、IPC分類コードによって定義された“適格な障害″または最小限の障害基準を持たなくても、国内の大会は楽しむことができる。

画像: 昨年5月にウォーバーンGCで開催されたG4Dオープンには、4人の日本人プレーヤーが出場した(写真は吉田隼人)

昨年5月にウォーバーンGCで開催されたG4Dオープンには、4人の日本人プレーヤーが出場した(写真は吉田隼人)

しかし、国際的なG4Dトーナメントに出場するためには、(EDGAと国際的なパートナーによって)常に見直されている定義に照らし合わせて、自分の障害がゴルフをプレーする能力に制限的な影響を及ぼしていることを証明する必要がある。このプログラム(定義)は、妥当な障害を持つすべての人がゴルフ競技に参加し、楽しむことができるよう支援するものである。

現在、世界障害者ゴルフランキング(WRG4D)に登録している日本人ゴルファーは42人で、最高位(グロスランキング)は吉田隼人(世界ランク41位)である。

日本の選手たちは、日本障害者ゴルフ協会(1991年設立)によって支えられている。同協会は、全国各地で開催される主要な地方大会と並行して、権威ある日本障害者オープンゴルフ選手権を29年間にわたって開催してきた。日本障害者オープンには、国内外からさまざまな障害を持つ約80名の選手が参加する。

画像: 障害を持つ人々がゴルフというゲームに挑戦し、ゴルフの力を通じて新たな夢を探すために、健常者ゴルファーも常に「ようこそ!」の精神で迎えてほしい

障害を持つ人々がゴルフというゲームに挑戦し、ゴルフの力を通じて新たな夢を探すために、健常者ゴルファーも常に「ようこそ!」の精神で迎えてほしい

国際的には、EDGAは年間120のゴルフトーナメント(日本障害者オープン選手権のサポートを含む)を運営、認証、またはサポートしており、選手は世界ランキングのポイントを獲得することができる。各国連盟が独自のG4Dイベントを創設したり、サポートしたりする一方で、あらゆる国の選手にとって国際的な競技機会の増加は続いている。

4人の日本人G4Dプレーヤーが2024年5月にウォーバーンGCで開催されたG4Dオープンに出場した。この大会は、R&AがDPワールドツアーと提携して開催し、EDGAがサポートするもので、全英オープンそのものとも提携している。また2024年1月、EDGA初の試みのネット戦として、DPワールドツアーのラアス・アルハイマ選手権と共催で開催した権威あるG4Dツアーに、(山形県)酒田市出身の元木健二が出場した。

画像: 元木健二は、世界障害者ランキングのネット部門で上位選手だったため、ドバイで開催された大会に招待選手として出場した

元木健二は、世界障害者ランキングのネット部門で上位選手だったため、ドバイで開催された大会に招待選手として出場した

ウォーバーンでのG4Dオープンには、週刊ゴルフダイジェスト誌をはじめとする日本メディアのメンバーも参加し、日本選手のイギリスへの長旅をサポートした。G4Dの成長と機会についての認識を広めることは、(地球上で障害を持つ)16%の潜在的プレーヤーをさらに刺激するだけでなく、ゲームの利害関係者とより広い業界が、この分野でさらに包括的な措置を講じるよう促すだろう。

願わくば、主流である健常者ゴルファーもまた、障害者や彼らの周囲の人々に「ようこそ」という言葉を口にしてほしい。そうすることで、確実にG4Dの認知拡大の一翼を担うことができるのだ。

プロのコーチから政府まで、世界的なブランドからゴルフ場まで、そしてスポーツ界のリーダー、インフルエンサーまで。私たちは今、障害を持つ人々がこの美しいゲームに挑戦し、ゴルフの力を通じて新たな夢を探すための手助けをする、今までで最高の立場にいる。ゴルフは生きていることの素晴らしさを感じさせてくれるものであり、誰もがプレーすることを歓迎されるべきものであり、そして、パーやバーディとともに、その道中に咲く花々を楽しむことができるものなのだ。

著:ベン・エヴァンス(EDGA)

翻訳協力:石塚義将(JDGA)

写真提供:EDGA、Yasuo Masuda

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