毎年ザ・プレーヤーズ選手権開幕前の水曜日、舞台のTPCソーグラスのアイランドグリーンで有名な17番パー3で選手たちのバッグを担ぐキャディたちが挑むニアピンコンテストが行われている。
そして今年26年の歴史で初のホールインワンが誕生した。モリカワのキャディ、ヤコヴァックがグリーン左手前のカップまで131ヤードをピッチングウェッジで狙いピン奥から傾斜を利用してカップインさせる技ありのエースを達成したのだ。

コリン・モリカワ(右)のキャディ、JJ ヤコヴァック(左)がTPCソーグラスのアイランドグリーンでエースを達成(写真は2025年のザ・セントリー 撮影/Blue Sky Photos)
本人も大興奮だが周りにいた選手やキャディも大騒ぎ。「本当にいいショットが打てた。周りの人々が大喜びしてくれたのが凄くうれしかった。クレイジーだったね」とヤコヴァック。
プロキャディのなかにはクラブプロや競技で活躍したことのある人もいるが彼も大学時代NCAAディビジョンⅡで2度個人優勝した経験者。コーンフェリーツアー(下部ツアー)にも参戦したがプロのキャリアは断念し08年からキャディを本業としている。
このイベントはトム・ワトソンのエースキャディで04年ルー・ゲーリック病(筋萎縮性側索硬化症/ALS)を患い49歳の若さで亡くなったブルース・エドワーズを偲んで発足されたチャリティ大会。
ブルース・エドワーズ財団(ALS研究に貢献)への寄付が目的だが、ここ10年はツアーが優勝者の賞金と同額を勝った本人が指定する非営利団体へ寄付していおり、ヤコヴァックはフロリダ州北東部の軍人家族を支援する非営利団体ブルースターファミリーズを指定した。
優勝者には登録時にキャディと選手から集めた賞金、プラス、サングラスメーカーのノックアラウンドが1万ドル。副賞として刻印が入ったマネークリップと大会中のVIP駐車スペースも付与される。
ワトソンの下積み時代から相棒としてレジェンドを支えたブルースは雇い主(ワトソン)にとってパートナーを超えた親友だった。
訃報が届いたのは04年のマスターズ初日の早朝。悲しみを笑顔にかえティに立ったワトソンは「彼は楽しいことが好きだった。死を悼むより自分の姿を覚えていて欲しいと思っているはず」とブルースが丹精込めて作ったヤーデージブックをポケットに入れてプレーした。
フィル・ミケルソンのキャディで現在ラウンドレポーターとして活躍するボーンズことジム・マッカイは「ブルースはキャディ界のアーノルド・パーマーだった」という。キャディコンテストでエースを達成したヤコヴァックも偉大な先輩の系譜を担っている。これでモリカワが勝てばいうことはない。
なお、試合の初日は日没サスペンデッド。コリン・モリカワはホールアウトし、1位と4打差の2アンダー暫定31位タイとまずまずの成績でスタートしている。