
ブルーベイLPGAで米ツアー2勝目を挙げた竹田麗央(撮影/姉崎正)
ブルーベイLPGAで2位のミンジー・リーに6打差をつける圧勝劇は衝撃をもって報じられ、日本ツアー8勝の勢いと、昨年TOTO ジャパンクラシックで米女子ツアー初優勝を挙げた実力が“本物”であることを証明しました。最近の言葉でいうと、竹田麗央が“世界にバレた”といったところでしょうか。
女子ツアーに詳しい中村修プロは、シーズン開幕前から竹田麗央の活躍を予想していましたが、「それにしてもすごい」とその活躍に舌を巻きます。
「アジアでの試合とはいえ、日本とは違う芝、違うコース。食事も違えば、国境をまたぐ移動が生じるなど毎週のルーティンも激変しています。竹田選手の実力が通用するとは思っていましたが、優勝は“慣れてから”だとは思っていました。想像以上の適応力ですし、移動をこなしつつ4日間強いメンタルを保ち続ける体力もすごいと感じました」(中村プロ、以下同)
タイ、上海、中国と3週続いた移動に疲れず、食事にも苦労せず、「昨年の日本ツアーで戦っているのと同じプレーぶり」(中村プロ)ができる。その大いなる適応力は、専門家の想像の上をいくものだったわけですね。
日本ツアーで8勝を挙げた実力をいきなり発揮できている。そのうえで、「さらに進化している点もある」と中村プロ。
「風への対応です。昨年のツアー最終戦で見たとき、竹田選手はアゲンストのショットで距離感が合わないことがありました。しかし、今回のブルーベイLPGAでは風の中でも距離が合っていましたし、スコアを崩すこともなかった。最終戦で勝ち切れなかったのが悔しかったと聞きますが、自分なりに課題を見つけて、それに取り組むことでかなり改善されています」
大活躍した年のオフは、メディア対応や挨拶回りなどなどで忙しくなって十分な練習時間が確保できず、翌年調子を落とす……というのはよく聞く話ですが、竹田選手の場合、練習不足どころからさらなる進化を遂げて米女子ツアーに乗り込んできていると分析。

パターをオデッセイの『Ai-ONE♯7』から『Ai-ONE MILLED SILVER SEVEN T DB』へチェンジ(撮影/姉崎正)
「そしてもうひとつはパターチェンジですよね。タイで行われた試合で、昨年8勝を挙げたパターを変えている(オデッセイの『Ai-ONE♯7』から『Ai-ONE MILLED SILVER SEVEN T DB』へ)。変えただけでなく、すぐに結果を出す柔軟さもすごい。彼女はパッティングマットなどは使わないのだそうで、ひたすら練習グリーンで色々な距離、色々なラインを打ちながらボールの転がりや曲がり方をインプットし、ラインとタッチを合わせていくタイプ。インプットしたものを、自分のプレースタイルに合わせて良質なアウトプットに変換する能力が高いとも言えます」
もともとのゴルフの実力に加え、異国での転戦を苦にしない体力、異なる芝やコースを苦にしない適応力といった、日本にいては見えない部分も見えてきた竹田選手。彼女の実力は、まだまだ底が知れません。