
月曜決着となったザ・プレーヤーズ選手権で自身2度目のトロフィーを掲げるローリー・マキロイ(PHOTO/Getty Images)
本戦で「勝ち切れなかった悔しさと、まだチャンスはあるという高揚感」が合い半ばするなか、マキロイは決戦前夜ホテルのルームサービスで夕食を済ませるとベッドに入って映画を見た。
『プラダを着た悪魔』。華やかなファッション業界が舞台のストーリーを見ている途中で眠りに就いた。
目が覚めたのは午前3時。それからは全く眠れなかった。浮き沈みがついて回るゴルフ界で15年以上第一線を走ってきた男でも緊張はする。
前日の荒天から一転、プレーオフの朝は太陽が降り注ぐ気持ちの良い天気になったが風は強かった。
16番パー5から始まった3ホール決戦。先手を取ったのはマキロイ。2オンに成功し10メートルを2パットで沈めバーディを奪った彼に対し、2打目がグリーン右のバンカーに捕まったスポーンは3打目を寄せ切れずパー。
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x.com続くアイランドグリーンの17番でスポーンに不運が襲いかかる。ティーショットが突風に煽られ池に消えた。「嘘だろ!」と呟き悔やんでも悔やみ切れない表情を浮かべた。
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x.com9番アイアンのスリークォーターでグリーンに乗せたマキロイも3パットでボギーを打ったがスポーンがダブルボギーに終わって勝負あり。スポーンの2勝目はお預けになった。
勝ったマキロイは饒舌だった。初日からのラウンドを振り返り難しい18番を「初日から3日目までバーディで締めくくれたこと」を勝因に挙げた。
過去12カ月で彼は世界で5勝を挙げ、3回準優勝し、14回トップ5入りしている。戦績だけ見ればキャリアのピークといってもいい。しかし10年以上メジャーに勝っていないことの方が大きく取り上げられる。
「それはわかっています。いくら勝っても許してもらえないし(昨年の全米オープンで)負けたことがクローズアップされる。批判されるのは期待の裏返しだとわかっています。重圧はあります。でも最近はそこから逃げるのではなく耐える術を覚えてきました」
プレーオフの最中ギャラリーから「オーガスタに行こう、ローリー!」と大きな声援が飛んだ。優勝の機運をマスターズまで持っていって欲しいというファンの切なる願いの表れだ。
並外れた強さを持ってしてもメジャーを獲らないと許されない。その宿命に耐えながらマキロイは来月のマスターズでキャリアグランドスラムを目指す。