
左からJGTO倉本昌弘副会長、ACNホールディングス取締役副社長・田積毅氏、選手会副会長の堀川未来夢
会の冒頭にJGTO副会長の倉本昌弘は「今日の発表内容が選手にとっても、機構にとっても本当に嬉しい内容であるため、定例記者会見という形でお集まりいただきました」と説明。
発表の内容は下記の3項目になる。
①チャレンジトーナメントは「ACNツアー」に
②ACNツアーの新規トーナメント発表、および1試合の開催概要変更
③ACNツアーは25年シーズンからポイントランキング制を導入
チャレンジトーナメントは「ACNツアー」に
JGTOにはレギュラーツアーの「ツアートーナメント」と下部ツアーの「チャレンジトーナメント」の2つのカテゴリーがあり、その「チャレンジトーナメント」のネーミングライツスポンサーとして、株式会社ACNホールディングスと契約。
会見に出席した株式会社ACNホールディングス取締役副社長・田積毅氏は「当社は、堀川未来夢プロを初め9名の男子選手をスポンサーとして応援させていただいております。そして今年も11月に当社主催のACNチャンピオンシップゴルフトーナメントを2023年度からやらせていただいております。このたびチャレンジトーナメントネーミングライツスポンサーとして、この『ACNツアー』で男子プロゴルフ界をさらに盛り上げていければということで考えております」と挨拶。また、「プロアマ戦に参加させていただき、男子プロの皆さんと回らせていただくと、飛距離から技術から本当にすごくて、私も30年ほどゴルフをしていますが、別世界です。また、堀川プロ始め、一緒に回らせていただく若手プロのホスピタリティや人柄が素晴らしく、取引先からも評判がいいので、何とか応援したいというのが一番のきっかけです」と挨拶した。
また、ACNからスポンサードされ、JGTOの理事であり、選手会副会長の堀川未来夢は「現在、ツアーメンバーは200名いますが、下部ツアーに出てる選手が過半数を占めます。選手の声としては、『下部ツアーを充実することがレギュラーツアーのレベルアップ、そして男子ゴルフの底上げになる』と思っています。このたび、ACNツアーになったことにより、選手たちのモチベーションも上がっていますし、男子ゴルフ界でポジティブなニュースが増えて、今年もすごく楽しみです」と感謝の意を示した。
なお、昨年まではABEMAで配信していたチャレンジツアーの放送はJGTOのオフィシャルYouTube『JGTOTV』で配信予定だという。
ACNツアーの新規トーナメントの発表、および1試合の開催概要変更
これまで25年シーズンは11試合を予定していたが、2試合が追加され、13試合となった。また、最終戦の開催概要の変更が発表された。
【追加試合①】
大会名/住地ゴルフチャレンジトーナメント
開催期日/2025年8月6日(水)~8日(金)
開催コース/セブンハンドレッドクラブ(栃木県)
賞金総額/1500万円
【追加試合②】
大会名/ケーダッシュセカンドチャレンジ in 茨城
開催期日/2025年9月10日(水)~12日(金)
開催コース/サザンヤードカントリークラブ(茨城県)
賞金総額/2000万円
【変更試合】
大会名/JGTOファイナル → ディライトワークスJGTOファイナル
賞金総額/1500万円 → 2000万円
なお、今回、開催が決まった「ケーダッシュセカンドチャレンジ in 茨城」と「ディライトワークスJGTOファイナル」が賞金総額2000万円で「ACNツアー」では最高賞金額になる。
また、JGTOの小山和顕事務局長は「あと、ひとつふたつ、お話をいただいてるところもある」と話し、試合数が増える可能性を示唆した。
ACNツアーは25年シーズンからポイントランキング導入へ
JGTOの倉本副会長はポイント制導入の意図を「世界のほぼ全てのツアーがポイント制を採用しており、この理由は『公正な競争』にあります。また、選手の最大のパフォーマンスを引き出すことによる魅力の向上と、賞金のアップに繋がると考えております。実際に下部ツアーの賞金総額としては昨年の賞金額を上回っているという事実があります。来年以降レギュラーツアーもポイント制への移行を考えています」と話す。
また、堀川は「世界的に見るとPGAツアーもDPワールドツアーもすべてポイントになっている。これは先ほどあったように公正公平の理念に基づいています。賞金が高い大会で3位くらいに入り、ほかの試合ではほとんどが予選落ちでもシードを獲れるいわゆる“一発屋”が1年間で数人はいます。逆に、ほとんど予選通過していてもなかなか上位に行けず、シード権を得られない人もいる。私個人としては、こういった選手を救済してあげたいと思っています。ポイント制に関しては、選手会とJGTOでよく話し合い決定しました。ちなみに、過去数年のデータを見て、賞金ランキングでもポイント制でも、1~2人ぐらいしか変わらなかったという事実はあります。おそらく賞金でもポイントでも、大きな差はないのかもしれません」と話し、大きな変動はないものの、公正公平で考えると、ポイント制のほうが受け入れやすいと選手目線で話した。
なお、各トーナメントのポイント配分は、最終戦を除き一律の「ベーシックポイント」と、最終戦にのみ採用される「チャレンジポイント(ベーシックポイントの1.5倍)」の2パターン。「ベーシックポイント」と「チャレンジポイント」の一例を挙げると、「ベーシックポイント」は1位が540.000pt、2位が270.000pt、3位が195.000ptと続き、「チャレンジポイント」は1位が810.000pt、2位が405.000pt、3位が292.500ptとなる。倉本副会長によると、このポイント配分はJLPGAとPGAツアーを参考に、良いところを合わせて作成したという。
ポイント制移行にともない、賞金が新配分率に基づき、30位以内までは昨年と同額だが、31位以降は一律同額が分配(※)されることも発表された。
※総額1500万円の試合では7万8563円、総額1800万円の試合では9万4275円、総額2000万円の試合では10万4750円
これについて記者からの「下位の賞金額が変わらないということは、モチベーション低下につながるのではないか」との質問に対し、堀川は「60位の選手が残り3ホールで、3つスコアを伸ばしても40位にしか届かず、賞金が変わらないとなると確かにネガティブかもしれない。ただACNツアーに出てる選手は自分たちがこのステージからもう一歩上がっていきたいという、熱量が多い人たちです。だからこそ、やる気をなくすような選手っていうのはいないと思います」と回答すると、倉本副会長も「リスクを冒してもいいから攻めるんだっていう気持ちで果敢に攻めたとしても、(60位から40位では)賞金は変わらないです。でもポイントは全く違います。我々は、ポイント制でこれやるんだぞという意思表示なのです。よって、昨年までは例えばOBが出ることによって、赤字になるから狙うのをやめようっていう消極的なことを、このACNツアーではやって欲しくないというのが私達の考えです。ちなみに、これがすべて正しいとは思っていなくて、やってみて、もし違うようであれば、変えていくという臨機応変に考えています」と続ける。
また、ACNツアーにはレギュラーツアーのシード選手もオープンウィークに限り、主催者推薦枠で最大5名まで出場できることも発表された。ただし、賞金は支払われるものの、ポイントの付与はなく、優勝による特典も与えられないという。
あくまでも発表ベースだが、JGTOがこれまでとは大きく変わろうとしていることを感じることができた。あとは思い描いたとおりに舵を取れるのか、そしてここ10数年で後塵を拝してきた女子ツアーに迫り、追い越す人気を得られるのか、今後の国内男子ツアーに注目したい。