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クラブ活動でゴルフをやるために全国各地から「ゴルフ留学」
PL学園は大阪府富田林市に宗教団体であるPL教団の大本庁が設営されている300万坪の広大な敷地内にある。敷地内には聖丘カントリークラブ、光丘カントリークラブがあり、PL学園ゴルフ部にとっては絶好の環境の中にある。ちなみに関西の名門校である平安高校は、他の高校と同じように屋上にネットを張って練習に明け暮れ、コースに出るのは月に1、2度といわれている。その点、PL学園の場合は毎週月曜日の定休日にコースを解放してもらっているから恵まれているといってよい。
現在、PL学園ゴルフ部の部員は40名(うち女子10名)。佐賀、福岡、静岡、愛媛など全国各地からゴルフ留学をしている部員である。たとえば、この夏の「全国高等学校ゴルフ選手権大会」の個人戦で優勝した北島泰介君は佐賀県唐津市の出身。競艇選手の父の影響で中学1年のときにゴルフを始め、将来はプロになるためPL学園にゴルフ留学した。母の君子さんが語ってくれた。
「PLに入学させたのは息子が将来プロになるのが夢ということで、それならゴルフ場があり、いつでも打球練習のできる環境の良いPLを選んだんです。地元の高校に入学させたかったんですが、九州の高校にはゴルフ部はありませんし、PLなら全寮制で厳しいと聞きましたから安心して送り出しています。ええ、授業料は年間約50万円です。月々の仕送りは5万円ですが、たまには用具購入や遠征費などのために10万円程送ることがありますね。たしかにお金はかかりますが、ゴルフは礼儀などマナーに厳しいスポーツですから目に見えない勉強もできていいと思っています……」
このことは北島君に限らず、他のPL学園ゴルフ部員にも他校の部員たちにも共通している。現在のところ高校ゴルフ部は野球部と比較すれば圧倒的に少なく、そのほとんどは私立校で公立校にゴルフ部があるのはまれである。そのためゴルフ少年たちがクラブ活動でゴルフをするにはゴルフ留学が常識となっているようだ。
PL学園ゴルフ部は年間予算29万円とはいうものの、敷地内にラウンドでできるゴルフ場があるため恵まれている。PL学園野球部の練習用グランドは、プロ球団顔負けと巷間いわれる一方、野球部に入部するにも厳しいセレクションがあるが、現在のところゴルフ部にはこれといった大げさなセレクションはない。入部希望者のほとんどは、中学生時代にラウンド経験があり、受験前に簡単な練習場での打球をテストされるだけで、試験に合格すれば100%入部できるといわれている。
それというのも前監督の斉藤氏によれば「PLに行けば強くなるといわれているから、別にスカウトなどしなくていいんです」ということらしい。
