女子ゴルフの今季国内ツアー第3戦、アクサレディスゴルフトーナメント in MIYAZAKIの最終日が30日、宮崎市のUMKカントリークラブで行われ、元プロ野球ソフトバンク監督の工藤公康氏を父に持つ工藤遥加が通算10アンダーで悲願の初優勝を果たした。通算5アンダー3位から出て5バーディ、ボギーなしの67で回って逆転した。7アンダー65をマークした小祝さくらが通算8アンダー2位、河本結が通算7アンダー3位に食い込んだ。
画像: アクサレディスでツアー初優勝した工藤遥加(撮影/岡沢裕行)

アクサレディスでツアー初優勝した工藤遥加(撮影/岡沢裕行)

父に感謝の言葉

画像: 優勝インタビューでは感極まって涙を流した(撮影/岡沢裕行)

優勝インタビューでは感極まって涙を流した(撮影/岡沢裕行)

工藤は最後まで冷静だった。

先に通算8アンダーで上がった小祝に1打リードで臨んだ最終18番パー5。第3打はバックスピンをかけてピン左奥2メートルに止めた。ウィニングパットとなったバーディパットはしっかりとスライスラインを読み切った。その瞬間全身の力が抜けたように微笑み、右手でボールを拾い上げると、そのまま小さく拳を握った。万感の思いをかみしめるかのように。

優勝インタビューでは感極まって涙を流した。

「いや、ホントに長かったなと……。1人では勝てなかったと思うので、家族も含めて自分を強くしてくれた人たちに感謝したいなと思います」

父の公康氏に向けては涙を流しながら感謝の言葉を絞り出した。

「不甲斐ない娘で申し訳ないなっていう気持ちだったんですけど、(公康氏が)監督を辞めるときにお母さんが次は何をしたいって紙に書かせたときに『遥加を勝たせたい』って書いてくれているのを見て絶対優勝して喜ばせてあげたいな思っていました」

首位に1打差からスタートし、4番でバンカーから残り125ヤードの第2打をPWで左奥20センチにつけてバーディ先行。続く5番も第2打を手前1メートルに乗せてスコアを伸ばした。空中戦だけでなく地上戦も好調で7番は4メートルのバーディパットを沈めた。折り返し後の10番も第3打を手前2メートルにつけてバーディを奪った。15番では第2打をグリーン左のラフに外し、アプローチをショートさせたが、2メートルを沈めてこん身のパーセーブ。いい流れを手放さず最終18番のバーディにつなげた。

「いつも優勝を意識して緊張しちゃうので、リーダーボードを最終日は見ないようにすると決めてスタートして、自分のできることだけに集中してやろうと思った結果、16番でボードが目に入ってしまったけど、見て、よし! と思って優勝することができました」

2011年にプロテスト合格、14年間シードを獲得できなかった

画像: プロ15年目、32歳132日での初優勝(撮影/岡沢裕行)

プロ15年目、32歳132日での初優勝(撮影/岡沢裕行)

工藤はプロ15年目、32歳132日での初優勝。30歳以上の選手の優勝は青木瀬令奈が2023年11月の大王製紙エリエールを30歳284日で制して以来で、30歳以上の初優勝は2022年3月の明治安田生命レディスヨコハマタイヤを30歳320日で制したサイ・ペイイン以来。主催者推薦で出場した日本選手の優勝は昨年3月の今大会の臼井麗香以来6人目となった。

「あまりそこは…。自分自身遅かったとか早かったというのはなくて、2年前に(女子ソフトボールの)ビッグカメラさんと一緒に合宿して、みんなが自分のやっている競技にかけているのを見て、そこから自分のプロ意識が変わって、やっとプロになれた優勝できたと思います」

工藤は埼玉県所沢市出身。父はプロ野球西武、巨人、ソフトバンクで投手として活躍後ソフトバンク監督としても実績を残した工藤公康氏、兄は俳優の工藤阿須加。12歳からゴルフを始め、2011年プロテストに合格。豪快なショットを武器としてきたが、昨年までの14年間(13シーズン)でシード獲得は一度もなかった。

優勝会見では公康氏との思い出に触れ、再び涙を流す場面もあった。

「父は雲の上の人という感じです。全然結果を出せずに申し訳ないと思っていたので。(今は)ありがとうですね」

悲願の初優勝をつかんだことで、最終戦JLPGAリコーカップへの出場が決まるなど今後への夢も大きく広がった。

「(まず)来週出られるようになったのでうれしいです。(最終戦会場の)宮崎カントリークラブはまだ回ったことがなくて、回ってみたいなって思います」

少し控えめな32歳の巻き返しが始まる。

昨年ドラコン女王になった工藤遥加

2020年の工藤遥加のドライバーショット

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