オーガスタ女子アマ決勝ラウンドの舞台は、マスターズが開催されるオーガスタナショナルGC。コースがある土地は1857年にベルギー人男爵の手に渡り、世界中の植物を集めて植物園を経営。1910年に植物園が閉園された、20年後に聖球、ボビー・ジョーンズが土地を購入し、アリスター・マッケンジー博士にコース設計を依頼して1932年にゴルフ場として開場。34年からオーガスタナショナルインビテーショントーナメントを開始、39年からマスターズと改称して大会が行われてきた。
コースの歴史上、女性会員が認められたのは2012年。コンドリーザ・ライス元米国国務長官とダーラ・ムーア女史が初の女性メンバーに選出。19年からオーガスタ女子アマが開催され、21年大会では梶谷翼が優勝した。

綺麗な緑と白のコントラストはオーガスタナショナルならでは
古い木々に囲まれ、芽の詰まったフェアウェイは緑一色。ディボットを埋める目土も緑に着色され、まさに緑の絨毯。また、バンカーには白亜の砂が敷き詰められ、キャディは伝統的に白いつなぎを着用する。
「ハリケーンの影響で今までよりも木が減ったホールがほとんどで、そのぶん風の読みがより難しくなるかもしれない」(五十嵐)

オーガスタナショナルGCの名物ホールといえば11番、12番、13番のアーメンコーナー
11番、12番、13番は”アーメンコーナー”と呼ばれる。2016年最終日に12番でジョーダン・スピースが2連続で池ポチャを喫して連覇を逃すなど、コース最大の難所と言われ、数々のドラマを生み出してきた。
「13番パー5は左ドッグレッグでティーショットの精度が問われるだけでなく、セカンド地点はつま先上がり&左足下がりの複合傾斜で、グリーン手前はクリークが流れている。一昨年から35Y距離が伸びたこともあって、難度がさらにアップした」(五十嵐)
オーガスタ女子アマでは予選を通過した選手のみがオーガスタナショナルGCで行われる決勝ラウンドに進むことができるが、今年は32選手が予選を通過。日本人の新地真美夏と倉林紅が決勝に進出して、それぞれ22位タイと30位タイに入る活躍。試合後に倉林は「日本のプロトーナメントよりも大きな声援が貰えてうれしかった」と振り返った。
試合は予選を終えて昨年覇者のロッティ・ウォードが首位に立ちったが、決勝のオーガスタナショナルGCではスコアを伸ばせず。変わって1打差の3位から出たカーラ・ベルナット・エスクデールが「68」とスコアを伸ばし、逆転で優勝。大会上位に入ったのは、決勝のオーガスタナショナルGCでアンダーを記録した選手が並んだが、やはりこのコースでいかにいいプレーを見せるかが勝敗を左右した。

オーガスタ女子アマで優勝したのはスペイン人のカーラ・ベルナット・エスクデール
1打差リードでエスクデールが18番のグリーンに向かう途中、彼女に大きな声援が向けられ、その熱量の高さには本人もうれしさと驚きが入り混じった表情を見せる。さらに優勝パットが決まった瞬間、駆け付けたパトロンたちの大声援が響き渡り、拍手で選手のホールアウトを見送る様子はマスターズのそれを彷彿とさせた。
「もちろん地元の選手は人気だが、いいプレーをした選手は誰もが大きな拍手と声で称えられる。でも、ただグリーンに乗せるだけでは拍手はもらえない。スコアは関係なく、拍手をもらえるのは本当にいいショットだけ。パトロンの目が肥えていて、アマチュア選手に対しても本当にシビアだった」(五十嵐)
イラスト/古沢優
※漫画家・古沢優がゴルフダイジェスト特派記者として今年、マスターズ会場で取材中