病気を通して深まった家族の絆
脳腫瘍が発覚し、一昨年9月に大手術を受けたゲーリー・ウッドランド。彼がもっともつらかったのは「これが最後かもしれない」と思いながら家族に手紙をしたためたときだったといいます。
「プロのアスリートになるのが夢でした。でも子供が生まれ、家族を育んだことは、以前の夢を遥かに超える最高の出来事でした」。手術の数日前、自室にこもった彼は妻、子供たちに宛ててどんな言葉を送ったのでしょう?

2019年全米オープン勝者の資格で出場した昨年のマスターズでは、開幕前日に行われた水曜日恒例のパー3コンテストに長男のジャクソン君と一緒に出場。6番でホールインワンを達成した
「娘たちにはたとえバージンロードを一緒に歩けなかったとしても、パパは君たちをそばで見守っているよ。息子には、助けを求めることは恥ずかしいことじゃない、と伝えたかった。そして妻には何も変わらないでほしい。そのままで完璧だと書きました」。脳にメスを入れるのだから予断を許しません。
子供たちの成長を見られなくなるかもしれない恐怖と闘いながら手紙を書いた瞬間を振り返り、「あのときが人生で一番つらかった」とウッドランドは涙ぐみました。覚悟を持って臨んだ手術は成功。しかし、復帰してから思うようなプレーができていません。経過は良好でも過剰刺激による頭痛に悩まされ、子供たちのおしゃべりや笑い声さえ耐え難く、薬は欠かせませんでした。
昨季は26試合に出場しトップ10は1回。それでも仲の良いジャスティン・トーマスは「彼がどれだけ才能あるプレーヤーかはわかっています」と復活を予感しています。

「家族の絆はより深まったと思っている」。手術を乗り越えて、リハビリに励んだウッドランド。残念ながら今年のマスターズ招待はならなかったが、今後の活躍に注目だ
キーガン・ブラッドリーはペブルビーチでウッドランドと一緒に練習ラウンドをしたとき、「本当にいいスウィングをしていました。これまで見た誰よりも遠くに飛ばしていた。彼の才能をもってすれば以前の状態に戻るか、それ以上になっても驚きません」と語っています。
「彼の病気で私たちの生活は大きく変わりました」と妻ギャビーさん。「その分、絆は強くなりました。今はお互い1年前の100倍、結婚したときの1000倍愛し合っています」
最近、子供たちの声をうるさく感じなくなったというウッドランドは、「一日中子供たちと一緒にいられるように、毎日健康になる努力をしています」と前を向き、大好きな舞台でもう一度輝きたいと切に願っています。
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※週刊ゴルフダイジェスト2025年4月15日号より(ARRANGE/Mika Kawano PHOTO/Blue Sky Photos、PGA Tour )