
今年の目標は「結果的なところでは賞金王」。海外にもどんどん挑戦したい。「若いいい選手がたくさん出て来てくれて、そういう選手と戦えることが自分のモチベーションにつながります」
合理的かつ現実的に物事をとらえる米澤蓮。理系的な思考回路を持っているのかと聞くと、「どうでしょうか……、でも理科なんかの成績はよかったです」。
“飛ばし”に関しても、考え抜いてきたことがある。
「僕がめちゃくちゃトレーニングしても、飛ぶ選手の飛距離に追いつくことはかなり厳しいし、その過程で絶対に何か犠牲になる。それで2年はプレーできても、『ケガして終わりました』となるリスクがついてくる。今、フィジカル面を鍛えることだけに行きがちですよね。単なるパワーというところに業界すべてが引き込まれているように感じます。僕は、ゴルフのゲームに関して、フィジカルだけに特化しなくてもまだまだ伸びしろがあると思っています。理想の“いいスウィング”にすることで、飛距離の伸びしろもあると思うんです。PGAツアーでも、一定数は何もしなくても飛ぶ選手がいる一方で、平均より飛距離が出ない選手だって一定数います。体のサイズも違うなかで、自分の強みを磨いたほうが、PGAツアーに近づけるんじゃないかと考えています。もちろん、自分の理想通りに動けるようエクササイズしてはいます」

地元、盛岡の大好きなコーヒー店でくつろぐ時間は自然と笑顔が出る。撮影を終えて帰るときに、店主に名刺を出してきちんと挨拶をするあたりが“米澤らしさ”だ
足りないものを引き上げることと、自分の得意なものをより高いレベルに持っていくこと。下にあるものを平均値に持ってくるのはすごく難しいのだという。
「技術的だけでなく、メンタル的にもすごく厳しい。不得意なものに取り組むことは全然楽しくないんです。人よりいいものをさらに伸ばしましょう、となるとすごく楽しいんですね。飛距離が伸びたときに近いくらいの、ゲームのクオリティになると考えています」

自分のことを一番理解しているのは自分。「スウィングも理想の動きがあって、その動きにどんどん近づいている。動画でチェックするのは主に下半身。足の動きなどチェックする部分がいくつかあるんです」
自分のゴルフに関して、ずっと自分で考え、選択し続けてきたという米澤だが、自身の性格は「許容範囲が広い」。
「ゴルフのことはめっちゃ真剣に。本当に曲がったことが嫌なんです。相手が誰でも僕はこう思っていますと言っちゃうタイプだけど、それ以外はほぼ無関心。こだわりはないんですよ」
ツアー中、誰かと一緒に行動しない。食事をして、ホテルに帰ってもう寝る生活だという。
「本屋さんで買った本を読んだりはしますね。結構いろいろな本を買うんです。たとえば海外遠征で長く飛行機に乗るときは、本を1冊は必ず読むと決めているんです。空港で買うことが多いですね」
自己啓発やアスリートの自伝などが多い。
「デジタル社会だからこそ、本を読むといいんです。同じものを携帯で読んでもダメなんです。本のほうが頭に入る。しかも、きちんと真実が書かれている。フェイクがあまりない。音楽を聞きながら本を読んでいます。洋楽が多いですね」
リラック法はYouTubeを見るくらい。昨年初優勝したときの賞金も「貯めてます(笑)。ドーンと何かを買ったりしなかった」というが、さらにしつこく“趣味や欲しいもの”を聞いてみると、「実は車が好き。ストレス発散。運転するのも好きだし、レースを見るのも好きです。乗りたい車があるんですよ。それを買うのが現実的な夢です。そのために頑張ろうと思っているかもしれませんね。車種は秘密。スポーツカー系です。でも、荷物が入らないから仕事用とは別にしないと。仕事なら機能性と快適性が大事です」と、一瞬見せた“少年心”を引っ込めた。
「プロゴルファーって住宅ローンムリですよね。キャッシュで買うしかないかな(笑)」

ゴルフの魅力は?「簡単です。満点がないことです。あとは同じ状況がないこと」。プロになって思うことがある。「ゴルフは楽しいけど苦しい。楽しいけど怖いです。でも飽きないです」
飄々と見せかけて実はお茶目な米澤連に注目だ!