
東京都港区のゴルフスクール「広尾ゴルフインパクト」のインストラクター・後藤悠斗プロ
4月10日より開催中の海外メジャー「マスターズ」。日本のみならず世界中のゴルファーたちが注目する同大会、トッププロたちのスーパープレーやスコアの推移を見て一喜一憂するだけでも十分に面白いが、上達のための考え方として「100切りを目指すゴルファーでも参考にできる部分はあります」と後藤。
「マスターズでは、グリーン周りのプレーが個人的に一番の見どころですね。僕自身、ありきたりですが2005年大会の16番ホール、タイガー・ウッズのチップインが一番好きなシーンです。
オーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブってグリーンの傾斜が強いんです。おそらくグリーンスピード自体はそこまで速いわけではないと思いますが、傾斜が強いからボールも転がる……ということは『今日のピンポジだったら、グリーンのこの辺りを狙えば、こう転がってピンに寄っていく』みたいな、明確な落としどころが基本的にどのグリーンにもあるんです。
だから全然見当違いなところに飛んでいったなと思っても、それがピンに寄っていく。そういうところまで計算され尽くされているんです」(後藤、以下同)

グリーンやフェアウェイの傾斜が強いのがオーガスタの特徴。選手たちがどう狙うのかに注目だ(写真は2025年のマスターズ 撮影/Blue Sky Photos)
もちろんグリーンだけでなくフェアウェイの傾斜も強いのだが「トッププロたちはドライバーショットの段階から着弾点を計算して打っているでしょう」とのこと。
「実は僕の師匠である武市悦宏プロがゴルフダイジェストの取材で現地に行った際に、選手のキャディに帯同してもらい、オーガスタを回ったことがあるそうなんです。大会終了後に抽選か何かでラウンドができて。
で、キャディに自分の飛距離を全部伝えたらラウンド中に『あそこを狙って』と指示が来るんですけど、狙いどころが『おい、コースはあっちだぞ!?』ってくらい、とんちんかんのところだったそうで。でも打ってみると全部フェアウェイに行ったそうなんです。それくらい傾斜の影響を考慮して打たなければいけないんです。トッププロたちは何ならサイドスピンまで考慮して『このスピン量で傾斜に当てたらこの方向にこれくらい転がっていく』っていうところまで考えているレベルだと思います」
当たり前だが、漫然とフェアウェイの枠内やピンポジを狙うだけでは良い結果が得られない難コースだからこそ「選手たちがどう狙い、打っていくのかは見どころですし、100切りを目指すレベルのゴルファーに限らず、アマチュアの方たちが参考にしたい部分です」と後藤。
「もちろんプロレベルで正確にコースを把握して、目標を狙えという話ではないですよ。ただプロのような技術はなくとも、オーガスタのような難コースでなくとも、狙いどころをしっかりと考える意識を持つことは大切ですし、参考にすべき部分です。
以前にも記事でお伝えしたことがありますが、ピンポジションを中心にグリーンを4分割して、もっとも広いエリアの中心を狙うのがオススメですね。こっち側を狙いたい、この方向にだけは外したらダメだな、みたいにざっくりで良いので決めたいですね。
マスターズ観戦の際は、ボールが跳ねた後にどちらに転がっていくかとか、どうしてその地点を狙ったのか。どうしてこういうミスしたのか……観戦しながら色々想像力を膨らませてみてください」