最近リシャフト市場でシニア層に人気の40グラム台のシャフト「日本シャフト”VULCANUS”」と「エッジワークス”EG VANDING 434 MK”」。クラブナビゲーター・吉田朋広がこの2モデルを徹底検証する。

ドライバーの飛距離に悩みを持つアマチュアゴルファーのために新カテゴリーのシャフトブランド「VULCANUS」は、HS43m/s以下のアマチュアゴルファーに向けて開発されたシャフトです。「N.S.PRO」シリーズで培ったノウハウを元にヘッド、スウィングを変えることなく、ヘッドスピードを上限まで引き出す、飛距離アップ特化型のドライバーシャフトとのことです。

VULCANUSのラインナップはV300 V410 V520の3種類。今回は最も販売が多いという40グラム台のV410を検証したいと思います。

テーラーメイド「ステルス2 HD」
シャフト振動数シャフト重量トルクキックポイントクラブ長バランス
214CPM47グラム5.0先中45.75インチD2
画像: 日本シャフト”VULCANUS”V410

日本シャフト”VULCANUS”V410

ワッグルしてみると先端部分が大きくしなり、メーカーのカタログ表記の先中調子らしい動きを感じることができます。先端部分の動きが大きめなのはテストクラブのバランスがやや重めなのも影響していると思いますが、「そのままのヘッドでスウィングも変えずに、持てるヘッドスピードの上限まで飛距離を引き出す」というコンセプトなので、まずはこのまま打ってみます。

シャフトの手元側はややしっかりしていますが、硬いという感じではなく潰れにくいといった感じですね。

手元側から先端部分にかけて徐々に軟らかくなるシャフトの挙動で、“粘り感のある軟らかさ”というフィーリングです。インパクトエリアでのシャフトの動きはスムーズで自然にボールを包み込むようにインパクトしてくれ、ボールを右へ逃がさずしっかりととらえてくれます。しなりが大きくても振り負けることなく当たり負け感も感じません。

画像: 日本シャフト「VULCANUS」、エッジワークス「EG VANDING 434 MK」など……40グラム台のマルチフレックスシャフトがリシャフト市場で人気の理由とは!?

V410の打ち出し角度は基本的にやや高めです。シャフト先端部分が動いてボールの弾道を上げてくれるのでロフトの多めのヘッドだと、高弾道ボールが打ちやすいと思います。テストクラブのロフト調整機能を使いローポジションでもテストしてみましたが、弾道のイメージの変化量が大きく、イメージよりも弾道が低めになり、推進力のある力強いボールになりました。

シャフトの先端部分の動きがありながらもインパクトロフトに対応した打ち出しが可能なシャフトです。VULCANUSは日本シャフト独自の見た目ではわからない微細な肉厚変化による新しい設計を取り入れているとのことですが、その設計は切り返し時から感じられスウィング中のシャフトの動きにも感じることができます。

様々なアマチュアゴルファーのスウィングに追従してくれる感覚のシャフト

シャフトに意図的に様々なテンションをかけて打ってみました。大前提としてヘッドスピード43m/s以下の設計のシャフトですので必要以上の力をかけると違いが出るとは思いますが、切り返しにかけるテンションによってシャフトの動きが大きく変わることがありません。スウィングパターンによってシャフトの持つ印象が大きく変わらず、強めの切り返しでも極端にしなり過ぎずないので振り遅れ感もありませんし、弱めの切り返しでも非常にスムーズに動きますのでしっかりインパクトエリアにヘッドを導いてくれます。

しなるのに潰れにくい穏やかなスピード感はアマチュアゴルファーにコントロールもしやすく、再現性の高いインパクトを実現してくれます。

本来はシャフトを選ぶ際にスウィングタイプやスウィングスピード、装着するヘッドの重心設計やヘッド重量等、様々なマッチング等を考慮するのが重要ですが、多くのアマチュアゴルファーのスウィング分析と独自のシャフト設計がどのようなアマチュアのスウィングパターンでも安定した切り返しと滑らかなシャフトの挙動を生み出しているのだと思います。

メーカーのキャッチコピーに「そのままのヘッドでスウィングを変えずに、持てるヘッドスピードの上限まで飛距離を引き出す」となっていますが、その大胆にも思えることを可能にする日本シャフトの自信を感じさせてくれます。一般的な体力のアマチュアゴルファーの多くの方に使いやすさを体感できるマルチフレックスモデルシャフトだと思います。

EDDGE WORKS「EG VANDING 434 MK」

続いては2020年に設立されたシャフトメーカー・エッジワークスの「EG VANDING 434 MK」。エッジワークスのシャフトブランドは「EGシリーズ」とネーミングされたでブランドで展開されていて、主にゴルフ工房で販売されています。

ゴルフシャフトマーケットのシェアの大半は大手メーカー4社が占めています。しかし、大手メーカーのシャフトとは一味違うパフォーマンスアップを体感できる設計と、ハンドメイド製法の高いシャフトとしてこだわりのゴルファーに徐々に認知度が上がってきているメーカーです。

今回検証するのは「EG VANDING 434 MK」。エッジワークス初の1フレックスのみのマルチフレックスモデルです。シャフトデザインはエッジワークス社のEGシリーズ同様の外観デザインが施されています。カラーはマットブラックとマット塗装のエメラルドグリーンに近い「エッジブルー」の2色が用意されています。

画像: エッジワークスEG VANDING 434 MK

エッジワークスEG VANDING 434 MK

今回のテストクラブは2月の発売以来人気のPING GOLFの最新モデル G440MAXとG440 MAX HLを用意して検証したいと思います。2つのモデルを用意した理由は先に検証した日本シャフトの「VALCANUS」が「ヘッドもスウィングもそのままで」というコンセプトのシャフト設計ですので、そのシャフトとの比較検証もしたいと思います。

テストクラブスペック/ピン G440MAX(10.5度)
ヘッド重量クラブ長さキックポイント振動数バランス
196グラム45.75インチ182CPMD2.5
テストクラブスペック/ピン G440MAX HL(10.5度)
ヘッド重量クラブ長さキックポイント振動数バランス
190グラム45.75インチ184PMC8

先ずはG440 MAXのヘッドを装着して検証していきます。ワッグルした感じからシャフト中間部分よりも先がかなり大きくしなります。実際のスウィング中は手元側でシャフト自体が自然にタメを作ってくれて、切り返しのタイミングの取りやすさを感じられます。ヘッド重量が重いのでクラブバランスがD2.5とシャフト重量に対してバランスが出ているのもあり、シャフト先端部分の挙動がどうなるか不安な部分もありましたが、ワッグル時に感じた先端部分の動きのイメージよりもシャフト先端部分の挙動は安定したしなり戻りでインパクトエリアにヘッドを戻してくれます。

インパクト時にはボールをしっかりとフェースに食い込ませるようなパワーの伝達が感じられます。弾道は想像よりも高さの抑えられた中・高弾道のイメージで、バックスピン量は少なめだと思います。プレーヤーはスウィングするだけで飛ばしに必要なシャフトの動きは全てシャフトが再現してくれるオートマチックさがあります。

続いてG440 MAX HLにヘッドをチェンジして打ってみます。シャフト振動数は184CPMと数値は2CPMほど高くなりましたが、ワッグルした際に中間部分から先の部分が大きくしなる感じは同様のイメージですが、実際にスウィングで感じるフィーリングは結構変わりますね。

切り返し時はシャフトが自然にタメを作ってくれるのですが、その際に感じるフィーリングはレスポンスが良く、シャフトの動きもスッキリとしたシャープな振り心地になります。ヘッド重量が軽くなりスウィングバランスが軽くなったことで、シャフトの持つパフォーマンスを更に体感できます。ヘッド重量が軽めのヘッドとのマッチングのほうが先端部分の重さを感じず、インパクトエリアのスピード感が確実にアップします。

画像: 非常にパワーのある「EG VANDING 434 MK」

非常にパワーのある「EG VANDING 434 MK」

シャフトしなりに逆らわずスウィングするだけでボールをしっかりとフェースに押し込む厚いインパクトで、ボールをしっかりととらえてくれます。弾道は高弾道ですが、推進力があるのでボールが吹け上がるような感じはありません。40グラム台のマルチフレックスシャフトとしてはバックスピン量も抑えられていると思います。

スウィングでシャフトに強いパワーを与えることなく、シャフトに任せてスウィングするだけで切り返しからインパクトまで完結する、高いパフォーマンスを持ったオートマチックなシャフトです。シャフトのしなりを生かせる(活かせる)スウィンガータイプのゴルファーならスウィングスピードは問わずに使えるシャフトですが、ヘッドスピードが遅めの方に特にメリットが大きいと思います。

スウィングスピードが速くなくても飛距離アップを求めたいゴルファーに是非試してもらいたいシャフトですが、「EG VANDING 434 MK 」の販売はゴルフ工房がメインになっていることもあり試せる機会が少ないのが残念なポイントではあります。

しかし、「EG VANDING 434 MK」は2月の発売以来セカンドロットまで既に完売していると伺いました。私も多くのシャフトメーカーのシャフトを取り扱いしておりますが、新コンセプトのシャフトとしては異例だと思います。一般的にゴルフ工房はデモシャフトを用意するにあたり、かなり精査してから導入する場合が多く、新しいモデルが出たからといって簡単には導入しません。

お店の責任者がお客様に対して提案する価値のあるパフォーマンスのあるシャフトかどうかを細かくチェックされますし、お客様もシャフトに対しての「造詣」の深い方も多いので、新しいシャフトメーカーのシャフトやニューモデルに対しては特に厳しくチェックされます。そのことからもセカンドロットまで完売した「EG VANDING 434 MK」は既にゴルフ工房やお客様からパフォーマンスを認められた「お墨付き」シャフトだということが言えるでしょう。

工房のお客様の中には、シニアゴルファーを中心とするパワーが無くても飛距離性能を求めるお客様が多くいらっしゃいます。エッジワークス社は5年間の営業活動の中からそのようなターゲットにフォーカスした「軽量マルチフレックス」の必要性を感じ、目利きの鋭いゴルフ工房の店主やお客様が納得する性能を持ったシャフトの開発に尽力したのだと思います。

40グラム台のマルチフレックスシャフトとしては非常にパワーのある「EG VANDING 434 MK」の持つパフォーマンスを是非体感して欲しいですね。エッジワークス社は試打会も実施しているようですので試打会やヘッドとのマッチングデータも持っている取扱店で試して欲しいと思います。

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