優勝を決めたあとの記者会見でトーマスは「おかしな話だけれど」と前置きしたうえで「昨年の末にザンダーに電話したのが(パットが改善された)理由です」と語った。

PGAツアー「RBCヘリテージ」で復活優勝を果たしたジャスティン・トーマス(左)。同大会でパットが好調だった理由はザンダー・シャウフェレ(右)のアドバイスにあった!?(写真は2025年のマスターズ 撮影/Blue Sky Photos)
フロリダのジュピターアイランドに住む2人は普段から仲が良く一緒に練習をする間柄。しかし電話をかけたときは仲間というより師匠にアドバイスを乞う心境だった。
「パッティングに関しては基本も含めツアーでもっとも上手い選手のひとりだと思っている」と彼のザンダーに対する評価は高い。
「だからとにかく僕にキミの脳ミソを2、3時間貸してくれないかな? パッティングに関する話を聞きたいんだ、とお願いしたんです」。すると24年にメジャー2勝を挙げてブレイクしたシャウフェレは快諾。
グリーン上でのラインの読み方からパッティングのプロセス、練習方法などあらゆることを話し合ったが最終的にトーマスにひらめきを与えたのは技術的なことではなく「システムを持つ」というシンプルな答えだった。
「話せば話すほど17年から18年にかけ自分のパッティングのベストシーズンにやっていたことが、ここ数年は疎かになっていたことに気づいたんです。システム的なベースはあるにはあるけれど漠然としていて一貫性がなかった」
「ザンダーが投げかけた質問に答えながら自分がいかに頑張り過ぎているか、あまりにも多くのことに挑戦し過ぎているかに気付かされました。本当に得意なことを継続的にやり続ける。それが重要なスキルだと改めて感じされたのです」
トッププロもときに頭でっかちになることがある。あれこれ考え過ぎて脳はパンク寸前。シンプルに考えられなくなってしまう。厄介な迷路に陥っていたことに気づかせてくれた友にトーマスは深く感謝した。
「ザンダーのお陰」という彼の言葉を聞きシャウフェレは「JT(トーマス)は僕のことをかいかぶり過ぎている」といって笑った。
ライバル同士、企業秘密が多いのかと思いきや相手のために快く力を貸す。それがスポーツマンシップというのも野暮だが、友情に厚いシャウフェレという男はいつも徳を積んでいる。全米プロの連覇もあるかも……。
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