今年1月、93歳でこの世を去った昭和のレジェンド・陳清波。ゴルフ界に残した技や教えがたくさんある。週刊ゴルフダイジェスト4月29日号では月刊GDの連載インタビューをきっかけにその教えを直接伝授されることとなった永井延宏が、今につながるゴルフの「王道」を紹介している。「みんゴル」では3回に分けてご紹介。【3回中1回目】
画像: 【陳清波の教えに学ぶ技術の王道①】心の師匠・陳さんの今でも使える技「コッキング」。直接伝授された永井延宏プロが徹底解説!

ながいのぶひろ・1969年生まれ、埼玉県出身。日本大学ゴルフ部を卒業後アメリカ修学して最新のスウィング理論を学び、帰国後、ティーチングを広める。2006年レッスン・オブ・ザ・イヤー受賞。「90歳を過ぎてもボールを打つときは目の色が変わる。とても真面目で誰にでも優しい素晴らしいプロでした」

「陳さんから学んだ最も重要な技術はコッキングです」と永井。

「ワールドカップの台湾代表としてイギリスのウェントワースに行った時、アメリカ代表のベン・ホーガンの練習をひたすら見て盗んで勉強したそうです」

具体的には2ヤードのチップショットの技術から取り込んだ。

「ゆっくりと重心移動で始動、テークバックしていきコッキングで加速するという概念をすごく大切にしていた。始動時の倍くらいのスピードになる。車のギアチェンジに例えると、ローで入って、セコンドで少し加速して、体というメインエンジンを使ってトップスピードに乗るイメージ。コッキングは、スウィングの流れを作り、加速装置になるんです。アマチュアの方はノーコックのほうがやさしいと考えるかもしれませんが、コッキングはテクニックやそのバリエーションにつながるものです」

マッスルバックなど重心の浅いクラブでは、インパクトで当たり負けしないようヘッドをシャフト軸に対して自分で押し込んでいく技術が必要だった。

「そこに昔のプロのビューンとめくれ上がるような切れ味のある球が生まれた。ヘッドの重心が深くなった今、若い女子プロなどはそういう技術は持っていない。でも確実に言えるのは、夏場のラフのウェッジショットやバンカーショットは、ある程度、入射角を鋭角にする技術を持っていないと出ません。その時もコッキングは重要です」

コッキングはテコの動きとも言えると永井。

「右手支点にし、大事なのはグリップエンドさばき。グリップエンドを支点にしてクラブを動かす振り子の動きではなく、陳さんもですがフォロースルーで左手を持ち上げて支点を消す動きをすると再現性が高ります」

王道①コッキング

「スウィングの流れを作り、加速装置になる」

始動し、プレーンに乗るところでコッキング。そこから体の動きでトップスピードに持ってくるという“3段階”。「陳さんは『ターンナップ』という言葉をよく使っていました。インパクトからフォローにかけてのイメージにぴったりです」

画像: このスウィングの基は2Yチップショットで、そこにすべてが詰まっているという

このスウィングの基は2Yチップショットで、そこにすべてが詰まっているという

陳が大事にしていた技術。

画像: コツンといい音がするチップショット

コツンといい音がするチップショット

「シャフトは垂直気味に構え、まず、左内もも側にあるグリップエンドを左外もも側に押し込むとヘッドが走って急上昇。次にフットワークを使うと自然にヘッドが下りてくる。ヘッドが抜ける場所が最下点。陳さんが打つとコツンといい音がする。2Yでの100%の効率が300Yにつながるんです」

画像: 垂直気味に構える

垂直気味に構える

グリップエンドのさばき方が肝心!
インパクト後にグリップエンドを支点にフェースを返すのではなく、左手を持ち上げていく(右は押し込む)。ゾーンが長くなり、再現性が高まる。

「グリップエンドを引っ張っていく動きが一番強いのはシェフラーです」

画像: シェフラー

シェフラー

画像: グリップエンドを支点に左手を持ち上げる

グリップエンドを支点に左手を持ち上げる

▶王道②「陳清波流のドローとフェードの定義でもっとも大事なこととは?」を読む

▶王道③「陳清波流ダウンブローを実現するために知っておきたい『ロフトのローテーション』とは?」を読む

THANKS/新富ゴルフプラザ
PHOTO/Tsukasa Kobayashi、小誌写真部
※週刊ゴルフダイジェスト4月29日号「陳清波の教えに学ぶ技術の王道」より一部抜粋

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