男子ゴルフの今季国内ツアー第3戦、中日クラウンズ最終日が4日、愛知県・名古屋ゴルフ倶楽部和合コースで行われ、首位から出た31歳の浅地洋佑が3バーディ、2ボギーの69で回り、通算7アンダーで今季初優勝を果たした。2021年マイナビABCチャンピオンシップ以来通算4勝目。宮里優作、岩田寛が通算6アンダー2位となった。
画像: 中日クラウンズでツアー4勝目を挙げた浅地洋佑(撮影/有原裕晶)

中日クラウンズでツアー4勝目を挙げた浅地洋佑(撮影/有原裕晶)

「ようやく報われた」

画像: 「風が全然読めなくてスタート前からアプローチでしのぐしかないなと思っていました」と浅地(撮影/有原裕晶)

「風が全然読めなくてスタート前からアプローチでしのぐしかないなと思っていました」と浅地(撮影/有原裕晶)

最終18番、浅地は短いウィニイングパットを打つ前からこみ上げる涙を抑えていた。ボールがカップに沈んだ直後、堰を切ったように涙があふれ出し、それを隠すかのようにうつむきながら沸き上がる歓声に右手を上げてこたえた。

「この4年間ほぼいいことがなかったので、それを思い出して、普段泣くとかはないんですけど、勝手に涙が出ました。いろいろなことが頭に浮かんできて、それがようやく報われるというか、いやな気持がなくなると思ったら(涙が)出てきた。(今回は過去3勝とは)違いますね。勝ち方は知っているはずなのに初優勝みたいにソワソワした。とにかく今日はうれしかった」

いきなり運が味方した。1番パー4で第2打がバンカーに入り「目玉」になるピンチ。このバンカーショットはピンを大きくオーバーしそうな勢いだったが、同組の小西たかのりのボールに当たって3メートルで止まり、ボギーでとどめた。これで流れを呼び込み、2番パー5で第3打を1メートルにつけてバウンスバック。そして優勝を引き寄せたのが得意のアプローチだった。6番パー4は50度のウェッジでグリーン右から20ヤードをチップインバーディ。10番パー4でも60度のウェッジで奥から7メートルを放り込んだ。

「(チップインは)ラッキーだなとしか思わなかったです。風が全然読めなくてスタート前からアプローチでしのぐしかないなと思っていました。それがたまたま入ってくれました。(でも)10番のチップインは完全に狙っていました」

15番パー5では運がもう一度味方してくれた。第2打が左のOB方向へ曲がり、暫定球を打ったが、最初の球がコース内に残っていた。強烈なつま先下がりのライから第3打を右バンカーまで運び、こん身のパーセーブでスコアを落とさなかった。

「OBは覚悟していましたけど、もしかしたらあるかもと思っていたので、あってよかったです」

「飛ばないし、おかしい、試合にも行きたくない」大不振からの復活劇

画像: 「トップでの右ひじの角度が深すぎた。腕が曲がらない器具をつけて、体から離れないように練習しました」と不振脱出(撮影/有原裕晶)

「トップでの右ひじの角度が深すぎた。腕が曲がらない器具をつけて、体から離れないように練習しました」と不振脱出(撮影/有原裕晶)

2021年マイナビABCチャンピオンシップで通算3勝目を挙げてからイバラの道に踏み込んだ。22年には賞金ランキング86位と低迷しシードを失った。ゴルフに変調があったためだが、その兆しは21年の最終戦、日本シリーズJTカップ終了後から感じていたという。

「シーズン終わって2週間くらい休んでクラブを握ったらあれっとなって、そこからですね。飛ばないし、一番ひどいのはシャンク。練習場からおかしい。ラウンドしても80は打っちゃう。そこからどうしようもなくなった。試合にも行きたくなかった。行っても練習したくなかったです。見られたくなかったんです。優勝した翌年にシード落とすなんてなかなか経験できるものじゃない。そこからずっと苦しかったですね」

不振脱出のきっかけは昨年1月からプロコーチの植村啓太氏に師事したことだった。

「コーチについてもらった。10年くらいついてもらったことがなかったので、久々に見てもらいました。トップでの右ひじの角度が深すぎた。腕が曲がらない器具をつけて、体から離れないように練習しました」

歴史ある大会で長かった低迷期を抜け出したことで、今後の目標が具体的に描けるようになった。

「来週(15日開幕、関西オープン選手権、滋賀県・日野ゴルフ倶楽部)の目標はもちろんトップ5くらい。自分のメンバーコースなので勝手に楽しみにしています。(海外については)PGAだったりDPTだったり、チャンスがあればもちろん出ていきたい」

涙が乾いた目で未来を見据えた。

浅地洋佑の初優勝

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