「パナソニックオープンレディース」で1年7カ月ぶりの優勝を飾った菅沼菜々。復活優勝を遂げたスウィングをみんなのゴルフダイジェスト特派記者でプロゴルファーの中村修が解説。

強い雨風からサスペンデッドになった初日、変則スタートから風の強い22ホールをこなした2日目、そして最後まで誰が勝つか予想できない展開を勝ち抜いた要因を、「不調を経験したからこその学びがあった」と菅沼選手は話してくれました。

「悪かったからこそ、周りの方の支えがありがたいと凄く感じました。悪かった時にずっと支えてくれるファンやチームの皆、応援して下さる全ての方に支えられているなと感じました」と自分の中で成長できたと優勝会見で話しました。

菅沼選手は昨年スウィングを改善しようとして不調に陥り、シード権を落とすとQTでも結果を残せず今季は推薦出場に頼るシーズンを送っていました。

復活をサポートした森守洋コーチに話を聞きました。

「ただ本来の元々のスウィングに戻しただけで、ポジションなどを気にしないように説明し続けました。元々クラブの使い方が上手いのにクロスなどを知識なしに嫌がって直しにいっておかしくなっていたので、自分の癖を大切にして戦えばいいって言い続けました。3月には技術的にはもう勝てるって確信してたのですが、1年間成績がでなかった負の記憶との勝負だなと。でも見事そのトラウマを乗り切った勝利だったと思います。前週の前澤杯で本当にゴルフ内容が素晴らしく、お父さんに絶対勝てると啖呵を切っていたので、ほっとしてます(笑)」(森守洋)

それではスウィングを見ていきましょう。ドライバーにしては左足寄りの重心で構え、その重心位置をキープしたままトップを迎えます。

画像: ドライバーとしては左寄りの重心で構え、その位置をキープしたままトップまで捻転させる(写真/岡沢裕行)

ドライバーとしては左寄りの重心で構え、その位置をキープしたままトップまで捻転させる(写真/岡沢裕行)

レベルからアッパー軌道で打ちたいドライバーの場合、センターから右寄りの重心がセオリーですが、ダウンスウィングに入ると反り返るようなトップの弊害がまったく見られない点が菅沼選手の非凡さを表しています。

画像: 切り返しからはセオリー通りの地面に対する圧力の掛け方が見て取れる(写真/岡沢裕行)

切り返しからはセオリー通りの地面に対する圧力の掛け方が見て取れる(写真/岡沢裕行)

一般的には、テークバックで右、切り返し前に左、インパクトで右、フィニッシュで左へと地面への圧力は変化しますが、菅沼選手はテークバックで左に圧をかけた後は右、左とセオリー通りに圧は変化していきます。

後方からの画像で確認してみても、飛球線とシャフトがクロスするトップから切り返すとオンプレーンにクラブは下りて来て、ヘッドが垂れ下がることなく効率の良いインパクトを迎えています。

画像: 後方から見ると切り返し以降クラブの動きはオンプレーン(写真/姉崎正)

後方から見ると切り返し以降クラブの動きはオンプレーン(写真/姉崎正)

森コーチの見立て通り、このダウンスウィングならトップでシャフトクロスするという見た目を嫌がる必要はないということです。

菅沼選手も優勝会見でも話していましたが、「前半はプレッシャーの中で速くなっていたタイミングを4番ホールから修正できた」と一定のタイミングをキープすることが、持てるパフォーマンスを発揮するためには大切なことです。

菅沼選手は挫折を経験したことでゴルフだけでなく人としても成長できたことで復活を遂げました。最終日のバックナインで見せてくれた菅沼劇場はこれからも続きそうです。

菅沼菜々、笑顔の復活優勝

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