
川柳を選んでくれているのは林家正蔵師匠
ゴルフ川柳推しコース発見!
益子ヒルズGC(栃木県)「老若男女のお客様に大好評です」
ゴルフ川柳に注目している人やゴルフ場は少なくなく、益子ヒルズGC(栃木県)もそのひとつ。陶芸の「益子焼」で有名な益子町の北部丘陵地帯にあるカジュアルなゴルフ場だが、ハウスに入ると「ゴルフ川柳」があちこちに。2階レストランに上がる階段にはゴルフ川柳が書かれた短冊がズラリと並ぶ。「あれ、お客様が上がってこないなと思ったら、ゴルフ川柳を読むのに夢中になっていらっしゃることはよくありますよ」と、同GCの社長・岩﨑秀樹さんと妻の幸子さん。

家族で切り盛りする益子ヒルズGCの扇の要、岩﨑秀樹さんと幸子さん夫妻。「何でも自分たちで作っちゃいますよ」。ゴルフ川柳の手書き担当は幸子さんとお母さん
きっかけはコロナ禍。「お客様が減ってしまった時期がありました。私たちが手持ち無沙汰だったのもありますが、わざわざ来てくださる方たちに何とか楽しんでほしくて」(幸子さん)、小誌に掲載されていた「ゴルフ川柳コンクール」に注目。ユニークな川柳に自分たちがクスリとしながら、黙々と短冊や箸袋、おしぼりの袋に書き写すようになった。箸袋は大量だが、同じ川柳は基本的に書かず、違ったものを一つ一つ手書きした。すると、老若男女のゴルファーたちから好反応。

手書きの川柳入りの箸袋が出番を待つ
「うちのコースは家族経営で、私は主にレストランにいるんですけれど、料理を提供する前にまずおしぼりや箸などを運びます。すると4人それぞれに違った川柳が来るので、そこで皆さんワイワイとなって。『料理はまだですか?』と聞かれることがなくなりました(笑)。『私の前半のプレーを見ていたんですか?』と尋ねられて、そこで話が盛り上がることも」(幸子さん)
ゴルファーの“あるある”を詠むゴルフ川柳は、実はすべてのゴルファーに心当たりがあるような内容なので、みんなの心に響く。さらに、すべて手書きなのが味があり、これも人気の理由のひとつ。丁寧にペンを走らせているのは幸子さんと実母の伏木ケイさん(90歳)。
ケイさんは、現在、施設に入所しているが「実は義母は若い頃に俳句を嗜たしなんでいて、選者を務めていたことも。テレビにも出たんですよ」と秀樹さん。もともと親しみがある川柳を手書きすることが、ケイさんの脳トレにもなっているのだという。
「お客様に『90歳の母が書きました』と言うと『縁起がいいと喜んでいただけて。それを母に伝えると、母も喜んで」(幸子さん)
感激した客からケイさんにお礼の手紙を渡されたり、オリジナルの川柳を自作する人も現れたり。川柳を介したクリエイティブな好循環が起きた。益子ヒルズGCは創意工夫のゴルフ場。
「なんでも自分たちで作ります。私は大学の土木科出身で、それが役に立ちましたね(笑)。重機の運転もできるので、砲台グリーンも自社で造りましたよ」(秀樹さん)
客にも同好の士がたくさん。
「ハウスの入り口やティーマークが特産のいちごモチーフなんですが、常連さんが作ってくれたんです。彼も何でも自分で作る人なんですよ」

手洗いでは鏡越しにもゴルフ川柳が見える。また、お客さんもクリエイティブ派揃い。いちごティーマークの作者・松本さん
2011年には震災の被害に、2012年には竜巻の被害に遭った同コース。竜巻ではカート30 台が全部吹き飛ばされ、コースもハウスも損傷を負ったが、創意工夫で乗り越えた。コロナ禍での客の減少がきっかけで始まった“ゴルフ川柳推し”もすっかり同コース名物で「災い転じて福となす」とはこのことかも。
ゴルフ川柳好き、手作り大好きクリエイティブ派のゴルファーは要注目!
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PHOTO/Akira Kato
※週刊ゴルフダイジェスト4月29日号「ゴルフ川柳」より一部抜粋