週刊ゴルフダイジェストの4月1日号の「シミュレーションゴルフ最前線」で、バーチャルとリアルを融合したバーチャルゴルフ場「CITY GOLF」が中国・天津に誕生したと伝えたが、週刊ゴルフダイジェストの5月27日号ではその「CITY GOLF」に取材を敢行。レポートは本誌に譲るとして、みんゴルでは「CITY GOLF」の責任者でもある崔肖迪氏にインタビューを掲載。中国がゴルフに対して抱く課題や、インドアゴルフ場の魅力について聞いた。

なぜ中国から新しいゴルフの形が始まったのか?

ーーゴルフ場の建設が禁止され新しいゴルフの形を求めた!

画像: 天津のCITY GOLFのキャディメンバーたち。ゴルフ初心者もいるが、大学でゴルフを専攻した人もいた。ラウンドを盛り上げてくれる、明るいメンバーがそろっていた

天津のCITY GOLFのキャディメンバーたち。ゴルフ初心者もいるが、大学でゴルフを専攻した人もいた。ラウンドを盛り上げてくれる、明るいメンバーがそろっていた

中国でゴルフが盛んだというイメージを持つ人はほとんどいないだろう。もちろん人口14億人を超える中国で、これからゴルフが発展していく可能性は大いにあるものの、なぜ世界に先駆けてゴルフ後進国でバーチャルゴルフ場が誕生したのか。

それには中国政府の政策と関係がある。2004年に汚職撲滅(それまでは政府関係者と民間事業者がゴルフ場で密会をして、汚職が横行していた)と自然環境維持の観点から新規ゴルフ場建設の禁止を発表。さらに、2011年には許可なく造られたゴルフ場の廃止が言い渡された(以前は許可なく勝手に造られたゴルフ場も多かった)。

また、2012年に習近平が国家主席の座に就くと、その政策は一気に加速されていく。2015年には共産党員にゴルフ禁止令が出されるなど、ゴルフへの風当たりはますます強くなった。しかしこれはあくまでも政治を行う党員へのもので、一般国民のゴルフを禁止したものではなかった。

賞金1000万元⁉のビッグトーナメントも開催

画像: 今年は8月31日まで予選が行われ、決勝はCITY GOLFで行われる

今年は8月31日まで予選が行われ、決勝はCITY GOLFで行われる

2022年からシミュレーションゴルフを使った大会を開催し、賞金は年々上昇。今年は8月31日まで予選が行われ、決勝はCITY GOLFで行われる。賞金は1000万元(約2億円)。中国国内のほか海外から参加する選手もいる。

そんなゴルフに対して厳しい環境ではあったものの、中国人選手が海外ゴルフツアーで活躍しだす。LPGAでは23年の全米女子プロでイン・ルオニンが優勝、昨年のパリ五輪女子ゴルフではリン・シユが銅メダルを獲得した。男子も欧州やアメリカで結果を残す選手が増えてきたことで、中国国内でもゴルフに関心を持つ人が増えてきている。さらに2023年から政府の政策でゴルフが「健康スポーツ」として、国民へ奨励されたことも影響し、統計によるとこの5年間でゴルフ人口が約50万人も増えたという(最新の統計では中国のゴルフ人口は150万人。5年で1.5倍になったとはいえ、人口比でいえばまだまだ少ない)。

また、GOLFZONの中国法人では、高校をはじめとする学校にシミュレーションゴルフを寄贈することで、ジュニア世代がゴルフを始めるきっかけ作りをサポート。将来的なゴルフ人口増を狙った活動も行っている。

ただ、ゴルフ人口が増えたといっても中国国内のゴルフ場の数は減少の一途をたどっているのが実情。ピーク時に700ほどのゴルフ場があった中国だが、前出の政策によって現状330ほどになってしまった。新規のゴルフ場建設ができないなか、このままゴルフ人口が増えていけば、将来ゴルフ場の数が確実に足りなくなると予想される。そこで目を付けたのがバーチャルゴルフ場だった。

画像: GOLFZON(北京)科技有限公司副総経理 崔肖迪さん。天津のCITY GOLFの責任者も務める崔さん。中国でのブランド展開などを一任されている

GOLFZON(北京)科技有限公司副総経理 崔肖迪さん。天津のCITY GOLFの責任者も務める崔さん。中国でのブランド展開などを一任されている

CITY GOLFの責任者である崔肖迪さんによると「確かに新規のゴルフ場建設はできませんが、バーチャルを利用した『CITY GOLF』は、あくまでも一般的なゴルフ場ではありません。大規模な面積を開発する必要もなく、都市部であっても環境へのダメージもない。そのため政府によるゴルフ場規制の対象外です。そればかりか、天津市でこの施設を造ってから、天津市政府が手厚いサポートをしてくれています。これから中国国内のゴルフ人口が増えていくと予想されるなかで、ゴルフ場の数が必ず足りなくなる。すると『CITY GOLF』に商機がある。室内だけではなく、屋外にこのような施設を造り、グリーンを本当の芝で造るのも規制の対象外なので、例えば都市部の公園やサッカー場のような施設に造るのも面白いと思っています。
 
元々は上海や北京といった大都市で1号店を造ろうと考えていたのですが、広さや高さの問題で合致する物件がなかった。さらに22年からバーチャルゴルフの賞金大会を開催しているのですが、昨年大会の決勝を7月にCITY GOLFで開催することになり、それに間に合わせるための時間的な余裕もなかった。そこで天津のこの施設で契約をして、4000万元(約8億円)を投資して約2カ月で完成させました。
 
確かに中国人のゴルフ人口はまだ少ないですが、上海や北京といった大都市であれば外国人の利用者も見込めます。また、ドバイやアメリカからこの施設に興味を持ち、海外で投資したいと言ってきている実業家も出てきています。今年の8月に吉林省の延吉市に2号店をオープンさせることが決まっていますが、今後は3年間で中国に300カ所の『CITY GOLF』を出店するのが目標。同時に海外にも広げていけるのではないかと考えています」

まだまだ始まったばかりの計画だが、今後どのような形で新しいゴルフのプレースタイルが世界に広がっていくのだろうか。

PHOTO/Takanori Miki
※週刊ゴルフダイジェスト5月27日号「CITY GOLFに潜入!」から一部抜粋

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崔肖迪氏のインタビューの他、週刊ゴルフダイジェスト編集部が実際に「CITY GOLF」を体感! ライによって変わる打席や人口砂で作られたバンカー、そして人工芝に対しての強いこだわりなど、体験したくなるような魅力が詰まっている。続きは週刊ゴルフダイジェスト5月27日号、Myゴルフダイジェストにて掲載中!

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