「週刊ゴルフダイジェスト」や「みんなのゴルフダイジェスト」で、障害者ゴルフの取材記事を執筆したベテラン編集者が、日本だけでなく世界にアンテナを巡らせて、障害者ゴルフのさまざまな情報を紹介する本連載。昨日からスタートしている障害者ゴルフの世界大会「THE G4D OPEN」の2日目をレポート!

会場であるイングランドのウォーバーンGCは快晴でほぼ無風。ひんやりとする空気も心地よく、昨日とはうって変わって絶好のゴルフ日和です。

画像: ディフェンディングチャンピオンのキップ・ポパート(右)は、キャディとして参戦

ディフェンディングチャンピオンのキップ・ポパート(右)は、キャディとして参戦

選手たちは、今日も楽しそうにラウンドしています。そんななか、昨年の男子総合優勝者、キップ・ポパート(イングランド・STANDING2)がキャディをしている姿を発見! クリス・ビギンズ(米国・STANDING2)の隣で真剣にコースマネジメントをしています。ラウンド後に話を聞きました。

今年欠場した理由は、昨年12月に左のお尻からつま先にかけて出た痛みを取るための手術をし、その回復が予想以上にかかったためだと言います。3週間後の全米アマチュア選手権、7月のUSアダプティブオープンに出場するため大事を取ったとのこと。

「チームと話をして欠場の判断をしました。この大会は自分の国で開催される大会ですし、楽しみにしていたんですけど、今後大きな試合も続きますし、よい決断だったと思います。欠場してもこの場にいるのは変な感じがしますけど、ビギンズがキャディを探していたので、リハビリがてらやろうかなと考えたんです」

ここまでの“キャディ業”の感想を聞くと、「今までプレーヤーとしてやってきて、正直自分のプレーに集中していて人のゴルフを見たことがなかった。友情を再確認できましたしね。初日はスコア79でしたがプレー自体はいいように見えなかった。逆に2日目はスコア81でしたがプレーはよかった。でも、僕がアドバイスしたショットは全部、林の中に入ってトラブルショットに。でもそこからいいショットを打っていましたよ。彼の潜在能力を僕が引き出したんじゃないかな(笑)」と洒落た答えを返してくれたキップ。プレーヤーとしての復帰に向け、充実した時間を過ごしているように見えました。

さて、今日の日本人選手です。

画像: ショットの好調を維持する小山田。最終日は持ち味の粘りのゴルフでトップ10入りを狙う

ショットの好調を維持する小山田。最終日は持ち味の粘りのゴルフでトップ10入りを狙う

4バーディを取った小山雅人(57歳・右前腕下切断・STANDING2)は、この日76で回り14位に。ショットの調子がよく、それを支えた“握り方”をパッティングでも試したところ、同伴競技者のキャディに「めちゃくちゃパターが上手い!」と言われるくらい、上手くいったそうです。

「左手の人さし指と親指をしっかり握る。これができれば綺麗にヘッドが出るんです。ショットはほぼ狙った通りに打つことができました。最終日も自分らしく粘って上位にいきたいと思います」

画像: ショットが乱れた吉田。日本の障害者ゴルフを引っ張ってきたプライドを胸に最後まで戦う

ショットが乱れた吉田。日本の障害者ゴルフを引っ張ってきたプライドを胸に最後まで戦う

「今日は楽しく回りたいです」とスタートしていった吉田隼人(41歳・右大腿切断・STANDING2)。難しい1番、2番をパーで切り抜け、自分への期待が高まり課題の平常心が崩れたのか、スコアも崩し25位タイ。ゴルフの難しさを改めて感じたようです。

「最終日は開き直って自分らしいプレーをしたいと思います」

画像: 秋山はスコアを崩しながらも同組の選手の技術と自分の弱点を冷静に分析していた

秋山はスコアを崩しながらも同組の選手の技術と自分の弱点を冷静に分析していた

同様に、ゴルフや試合の怖さを感じたという秋山卓哉(49歳・左大腿切断・STANDING2)は、「こんなに悪いゴルフをしたのはかなり久しぶり。ティーショットは右に行くわ、アイアンはハーフシャンクのようになるわ、毎ホール林の中から打つことになってしまい、どうしていいかわからなくなってしまった」と憔悴したようす。結果は45位タイ。

「このままだと悔いが残ります。最終日はいったん“ゼロ”に戻し、ベストを尽くしたいと思います」

画像: 海外選手が高価な車椅子カートを使用するなか、大村は“手作り”カートで最後まで戦う

海外選手が高価な車椅子カートを使用するなか、大村は“手作り”カートで最後まで戦う

大村実法(47歳・車椅子・SITTING2)は、車椅子カートのバッテリー問題もあり「初日はゴルフにならなかった。何とか完走できました……」。変圧が上手くいかなかったことが原因でしたが、海外遠征ならではの「準備の大事さ」を学んだことも大きな収穫です。「現在部門トップにいる車椅子の“イケメン”ゴルファーが僕のカートを見て『オンリーワンだ!』と言ってくれました」と気持ちよくスタートしたもののスコアは初日と変わらず73位タイに。

「めっちゃ楽しかったですけど、大叩きですね……最終日は気を取り直して、今の自分の実力をすべて出せるようにしたいです」

あっという間に最終日を迎える日本のサムライたち。皆、悔いを残さないように、また、今後につながるように、最後まで自分らしいプレーをしてほしいですね。

PHOTO/Masuda Yasuo

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