「MT-28」「MTIウェッジ」など数々の名器を世に送り出し、日米両ツアーで多くのプロ支給品を手がけたクラブ設計家、宮城裕治氏が流行に惑わされないクラブ選びとクラブ設計の真実をクールに解説。今回はカチャカチャの使い方について考察してみた。
画像: コブラのドライバー「DS-ADAPT」はロフト、ライ角を細かく調整できる

コブラのドライバー「DS-ADAPT」はロフト、ライ角を細かく調整できる

カチャカチャの正しい使い方とは?

みんゴル取材班(以下、み):コブラのドライバー「DS-ADAPT」は弾道を33通りに調整できるのがウリです。これなら自分にバッチリ合うポジションを見つけられると思うのですが。

宮城:自分でやっていると訳が分からなくなるでしょうね。出始めの頃にプロもみんな面白がって一日中カチャカチャやったりしていましたが、結局訳が分からなくなって元に戻す選手がほとんどでした。そもそも真っすぐ行かないのはスウィングのせいです。8通りであろうが、33通りであろうが真っすぐ飛ぶようになる保証はありません。

み:メーカーのWebサイトやカタログでは、カチャカチャを使えばストレート、ドロー、フェードも自由自在に打てるように読めますが。

宮城:メーカーの説明をあまり鵜呑みにしないほうがいいでしょう。カチャカチャは万能ではありません。なぜかといえばカチャカチャはシャフトが動いているだけ。ソールとフェース面の角度は固定されているので、ロフト角やフェース角そのものが変わるわけではないからです。

み:確かにそうですね。カチャカチャを正しい使い方を教えてください。

宮城:たとえば球が左に行くからロフトを立てフェースを開く方向に調整する人がいますが。それだと球の高さやつかまりも変わってしまいます。

み:確かに。球が真っすぐ行くようになっても飛ばなくなったり、顔の見え方が気になったりします。何かいい方法はありませんか?

宮城:左右の球筋を調整したいならライ角だけ動かすのがおすすめです。右に行くならアップライト、左に行く人はフラットにするだけ。これならロフト角もフェース向きも変わりません。本当はシンプルにライ角だけ調整できるカチャカチャがあれば最高なのですが。ロフトはヘッドで選べますから。

み:それだけだと売れないのでしょうね。

宮城:アマチュアでありがちなのは、球が右に行くからフックフェースにする、最初は真っすぐ行くけれど、打っているうちに今度は左に行き始めてどうしていいのか分からなくなるパターンです。

み:自分はめったに動かさない派なのですが、しょっちゅうカチャカチャをいじって球筋がまったく定まらない知人がいます。なぜ泥沼にはまってしまうのでしょう。

宮城:とくにクラブをソールしてからアドレスを決めるアマチュアは、カチャカチャをいじるとその状態に合わせてかまえてしまうので、自分のアドレスが分からなくなってしまいがちです。本来は自分の手の位置に戻さなくてはいけません。また、ドライバー1本だけいじることで、他の13本のクラブをどうかまえていいかわからなくなるケースもよくあります。

み:プロや上級者はカチャカチャでどんな調整をしていますか?

宮城:ウチに来るプロとは、カチャカチャは球筋というより顔の見え方を微調整したり、シャフトをクイックに交換してその場で試すためのものだよね、とよく話しています。

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