すっかり春の風物詩になった“ゴル川”の大選考会レポート。今回も林家正蔵とGD担当者が「ああだこうだ」言いながら大賞を選んでまいります。週刊ゴルフダイジェスト5月27日号ではその白熱の様子を、お伝えしています。「みんゴル」では二回に分けてご紹介。入選作の発表は後編で!【2回中2回目】
 
▶第8回ゴルフ川柳コンクール【前編】はこちら

GD 川柳における1文字の大切さ。私は卒業文集の手書きアンケートの「将来像」の欄に「楽しく生きる」と書いたら、入力係により「楽して生きる」とされてしまいました。
正蔵 ラクして生きる! あはははは。

◆ ラフ(rough)よりも ラフ(laugh)中心で 回りたい(東京都 Kazu 31歳)

GD そうそう。laugh=笑い中心で。ラクして生きたい。
正蔵 やっぱりラクしたいんじゃないですか!
GD roughとlaughか。前者は「r」だから巻き舌で、後者は「l」だから舌を前歯につけなきゃいけない。日本人は苦手ですよね。
正蔵 しかし、うますぎてひっかかりがない気がする。きれい過ぎる感じ。
GD 私の発音の話でしょうか。
正蔵 Kazuさんの川柳の話です。

◆ 風呂はパス 履いてるタイツ 嫁の物(北海道 くりりん 64歳)

GD こりゃ、脱げない。
正蔵 いえいえ、わざと見せてlaughを取りにいかなきゃ。
GD  laughは世界を救う。

◆ 反抗期 娘の次は ドライバー(三重県 ニンニン丸 65歳)

画像: 娘の“高反発”わかりますよ(笑)

娘の“高反発”わかりますよ(笑)

GD 娘さんもかなりの高反発だったようですね。
正蔵 あら、うまいこと言う。
GD ペンネームが「高反発」だったら良かったのに。
正蔵 ペンネームで落とす技もありますからね。
GD 「ニンニン丸」も面白いですけどね(笑)。あっ、三重の方だから忍者なのか。ニンニン。

◆ 恥ずかしい 穴があっても 入らない(愛知県 ワタリガニ 69歳)
◆ ボールない 一応カップを 確認し(神奈川県 Tosh 74歳)
◆ ボールなく もしやと覗く 空の穴(兵庫県 ひでじい 53歳)

GD えー、穴にまつわる3句でした。
正蔵 穴にまつわる……って(笑)。でも、面白いですね。恥ずかしくて穴に入りたいという川柳はよく見ますが、穴があるのに入らないから恥ずかしいという、新しい恥の視点(笑)。
GD 2、3句目は「ボールない」と「ボールなく」で始まります。
正蔵 グリーンに乗ったはずなのにボールが見当たらないから「カップインしる?」と思っちゃうやつ。気持ちわかります。
GD で、おそるおそるカップをのぞいたら……ない(笑)。
正蔵 奥のラフに……あった(笑)。
GD いやー、恥ずかしい。
正蔵 両方とても面白いですが、2つの句を比べてみると「もしやと覗く」のほうがいいと思います。「もしや」という言葉の持つ面白みがある。一方「一応カップを」の「一応」は「もしや」よりちょっとチープな感じがするんです。
GD なるほど言葉の重みがここでも……。川柳を作るとき、言葉の重みはもちろんですけど、鮮度も大事ですよね。

◆ 景品に 備蓄米とは 新しい(京都府 ひねた猫 80歳)

正蔵 ああ、備蓄米というワードはいいですね。
GD しかも幻の備蓄米。

◆ 女子プロに 外貨稼げと 送り出す(北海道 岡部隆義さん 87歳)

正蔵 円安ですからねえ。
GD 「外貨」というワードが◎。

◆ 気になるよ 天気トランプ 先読めず(福島県 眠り猫 75歳)
◆ 芝の目も 為替思えば 読み易い(新潟県 岡崎佐紅 60歳)

正蔵 確かに読めない時代ですね。
GD ほんと大変ですよ。「為替」ってなんて読むんでしょうね?
正蔵 え、そこが読めないの?(笑)
GD こちらも時事的要素がある2つ。

◆ また十で 心も折れて べらぼうめ(鹿児島県 ようよう 70歳)
◆ 蔦重だ 十三叩いた べらぼうめ(神奈川県 Tosh 74歳)

正蔵 大河ドラマ「べらぼう」ですね。主人公・蔦屋重三郎のニックネームが「つたじゅう」。
GD 重(十)三郎が「13」を想起させる。これまでは、13叩いたときは「俺、伊丹十三」と言うのが定番でしたのに。これからは「俺、べらぼう」でいいのかな。
正蔵 いや、そこは「伊丹十三」でいいと思うんですよ。ゴルフダジャレの伝統は大切に。
GD わかりました。これからもずっと「伊丹十三」を使い続けます。
正蔵 ええ、なるべく使わないようにしてください(笑)。
           
◆ 爺ゴルフ 回らぬ体 老いるショック(茨城県 錆サビ男オ80歳)

正蔵 これ、うまいし面白い。
GD それがペンネームの文字がつぶれていて読めなくて……。
正蔵 選考会中に確認の電話!
GD 詐欺電話じゃないかと、ちょっと疑われてしまったみたい……。あと、ご自身が何のペンネームで応募したか忘れちゃったと明るく言って、電話口で新しいペンネームを考えてくださった。それが“錆びる男”で錆男(サビオ)。即興なのに面白すぎる。
正蔵 これ何だか、ラジオ番組のリスナーに電話してみるコーナーみたいじゃない。楽しいねえ。来年は選考会で動画を回しましょう。アシスタントにパンキー太朗さん呼ぼう(笑)。

◆ マキロンの 大ファンという うちの妻?(香川県 カクちゃん 67歳)

GD あら、かわいい。
正蔵 マキロイのことをマキロンと言っている奥さん。
GD マキロンは消毒薬だぞい。
正蔵 奥さんには指摘しないことをおすすめ。
GD 「あげ足取らないで!」と言われそう。
正蔵 夫婦関係がそんな感じになったら……。

◆ ラウンド日 伝える前に 風呂掃除(埼玉県 いつでもフルスイング 49歳)

正蔵 トイレ掃除も高ポイントですけど、語呂が悪いんですよね。
GD 「ごみを出し」では、家事としてのポイントが低いですからね。そしてトイレつながりをもうひとつ。

◆ トイレでも なぜかアドレス 決まらない(広島県 そばダブル肉玉 51歳)

正蔵 あーははは。これ、わかる。トイレでは「一歩前へ」とよく書いてあります。
GD 「一歩後ろへ」はないんですか?
正蔵 ないですね。年齢を重ねてくるとみんな飛距離が足りなくなってくる(笑)。
GD 私はトイレの飛距離は大丈夫です。
正蔵 聞いていませんよ(笑)。
GD ゴルフはアドレスとウェアで決まります。
正蔵 突然どうしました?

◆ カタチから 入って今は カタチだけ(埼玉県 たまさん 49歳)

GD 「俺、形から入るタイプだから」と、プロも真っ青のウェアを揃えて早30年。いろんな技術を磨いたり忘れたりで、残ったのはウェアの山。いいじゃないですか、衣装持ち。
正蔵 GOGO、たまさん!

◆ 入ってる? ありえないよと のぞいてる(鹿児島県 大野究さん 69歳)

画像: 応募総数3102点!林家正蔵が選ぶ、第8回ゴルフ川柳コンクール。『入選作大発表!』【後編】

GD 殿堂入り大野さんは絵もお上手で、絵とセットで見ると面白さが倍増するんです。
正蔵 次もそうですね。

◆ 家のこと 出来ないくせに ゴルフ出来(鹿児島県 大野究さん 69歳)

正蔵 いるいる、こういう人。
GD なんかイラっとする顔してますね(笑)。

◆ 空振りを 素(す)振りに見せる その素(そ )振り(岩手県 新沼伸一さん 69歳)

正蔵 おお、これは大変けっこうですね。
GD 新沼さんはほかにも。

◆ 新クラブ スコア買えたか いや投資
◆ 砲台の 土俵に上れず 取り直し(岩手県 新沼伸さん 65歳)

正蔵 またまたいいですね。特に「砲台の」が好きですね。砲台グリーンに乗らなかったから再アプローチするのを「取り直し」と表現した。砲台グリーン、土俵に似ていますよね。
GD ボールがコロコロと落ちてくる様子が目に浮かぶ。しかも同伴者も乗らなかったんだ(笑)。
正蔵 ゴルフ川柳って本当に面白いですね。
GD でももうページが尽きてしまいました。
正蔵 退職代行の話が長かった気がします。あと、浜松町みち子の話も……。
GD 迷いに迷った各賞を発表。そして、今週ご紹介できなかった良作は来週ご紹介します。

入賞作品の発表!

画像: 今回も各入賞作を厳正な選考を経て決めました(キリッ)

今回も各入賞作を厳正な選考を経て決めました(キリッ)

最優秀賞
ドライバー ショートホールで持つ勇気(大阪府 あさり 67歳)

優秀賞
砲台の 土俵に上れず 取り直し(岩手県 新沼伸一さん 65歳)

佳作
寝室に 5番アイアン 護身用(滋賀県 べんてんさま 62歳)
カタチから 入って今は カタチだけ(埼玉県 たまさん 49歳)

ゴールデンシルバー賞
爺ゴルフ 回らぬ体 老いるショック(茨城県 錆男 80歳)

殿堂入り
大藪秀髙さん、大野究さん(永世名人)、パンキー太朗

PHOTO/Akira Kato
※週刊ゴルフダイジェスト5月27日号「第8回川柳コンクール」より一部抜粋

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