今大会の舞台はテキサス州にある「コロニアルカントリークラブ」。1946年の第1回大会から変わらず、同一会場での開催記録を誇る名門コースである。そのため、観客もコース特性を知っていることが多いため、より深く楽しめる大会といえるだろう。
「コロニアルカントリークラブは、距離が短く、フェアウェイが狭く、グリーンが小さく、木々に囲まれたコースとして知られています。また、コース全体が硬く、ボールがフェアウェイからこぼれてラフに行くことも多いです。そしてドッグレッグといわれる曲がったホールも多いため正確なショットが求められます。実際、近年の大会を振り返るとパッティングの数値が良い選手が優勝する傾向にあります。パーオン率が高く、パッティング勝負に持ち込める選手が有利といえます」(以下、杉澤)
全米プロの舞台となったクウェイルホロー・クラブに引き続き、本コースにも難ホールが存在する。

画像右にあるのが3番、4番、5番ホールの「ホリブル・ホーシュー」だ(コロニアルカントリークラブのHPより)
「全米プロのコースには『グリーンマイル』と呼ばれる上がり3ホールが難ホールでしたが、今回のコースにも『ホリブル・ホーシュー』と呼ばれる難ホールが存在します。コースマップを実際に見るとU字型になっていて、そこから“恐怖の馬の蹄鉄”という意味で『ホリブル・ホーシュ』と呼ばれるそうです。
その『ホリブル・ホーシュ』は3番、4番、5番ホール。特に5番ホールは距離が長く、右ドッグレッグで右側にOBとなるため、フェアウェイの狭さをより感じさせる難ホールになっています」
コロニアルカントリークラブは、5度の優勝を誇る伝説的ゴルファー、ベン・ホーガンと深い繋がりがある。
「ベン・ホーガンと聞くと、日本のファンにとっては『モダンゴルフ(原題:Five Lessons: The Modern Fundamentals of Golf)』というゴルフスウィングの教則本で知っている人も多いかと思います。彼はゴルフ史上最も偉大なスウィングの持ち主とも評されていました。そんなベン・ホーガンは今大会唯一の連覇を果たした選手です。第1回大会と、翌年に行われた第2回大会、さらに1949年に瀕死の交通事故に遭った後、わずか11カ月で奇跡の復活を遂げ、1952年と53年にも連勝を飾り、59年にも大会史上最多となる5勝目を挙げています。そして実は、このコロニアルカントリークラブのクラブハウスの前にはベン・ホーガンの銅像が建てられているんですよ」
注目選手はやはり世界ランク1位のあの選手!
全米プロを制覇した世界ランク1位スコッティ・シェフラーが今週も出場。

全米プロでメジャー3勝目を挙げたスコッティ・シェフラー(撮影/Blue Sky Photos)
「優勝候補の筆頭は、やはりテキサス州出身の世界ランク1位スコッティ・シェフラーです。全米プロでも5打差独走で圧勝という結果だったので、今大会でも期待が高まりますし、昨年大会では2位とコースとの相性もいい。とはいえ、チャールズ・シュワブ・チャレンジは連覇した選手が先程のベン・ホーガンしかおらず、過去大会を振り返るとマイナーな選手が優勝を飾ることも少なくありませんので、すんなりシェフラーが優勝するとも思えません」
スコッティ・シェフラーはキャリア2度目のホールインワンを23年の今大会で達成
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x.com日本からは、全米プロからの連戦となる松山英樹プロに加え、久常涼プロ、金谷拓実プロの3名が出場する。

日本からは久常涼(左)、松山英樹(中)、金谷拓実(右)が参戦
「日本勢は3人とも午前スタートの予定です。午前スタートだとグリーンが軟らかく、風も少ない時間帯にプレーできるので良いスタートを切ることができると思います。
特に松山選手は、全米プロで予選落ちを喫した直後に急遽エントリーを決めたんです。おそらく出場する予定は直前まで未定だったのかなと。予選落ちしてしまった日も彼は全米プロの会場で練習を重ねていました。彼の中で何かを掴みかけたのではないかと私は予測しています。来週にはメモリアル・トーナメントが開催されます。その大会は松山選手がPGAツアー初優勝を飾った思い出の大会。だから特に来週の大会に照準を合わせて、十分に準備してきていると思います。勝負をかける松山のプレーに注目です。
久常選手と金谷選手も今大会の結果次第では、メモリアル・トーナメントへの出場権を獲得できる可能性が十分にあります。ぜひ良い流れを今大会でも持っていけると期待しています」
様々なタイプの選手にチャンスがあるチャールズ・シュワブ・チャレンジ。
今年はどんなドラマが生まれるのか、熱い戦いをお見逃しなく。
U-NEXT 木村真希