早速、動画で試打内容を確認する
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youtu.be『エリート ♦♦♦』シリーズは、ツアー向けの特別な仕様であることを示す「♦♦♦」を冠したドライバーで、今回試打する3機種のほかにオーソドックスな『エリート ♦♦♦』を含めた4タイプのヘッドを展開。
『エリート ♦♦♦ TD』は、Tour Draw(ツアードロー)の略で、フェースプログレッションが少なめでボールがつかまりやすく、スピンも入るため、より扱いやすく幅広いプレーヤーに対応するモデル。『エリート ♦♦♦ MAX』はヘッド体積が460ccで、ほかの3機種が450ccのため、比べて構えたときの見た目が大きく、ボールのつかまりやすさも持ち合わせたタイプ。スピンも入る特性となっているため、難しさのハードルはかなり低く抑えられている。『エリート ♦♦♦ T』は『エリート ♦♦♦』同様の洋ナシ型のヘッドで、360度カーボンシャーシは採用されておらずソールはチタン製。『エリート ♦♦♦ MAX』以上にスピンが入るため、コンパクトではありながら、扱いやすくなっている。
キーワードは、ツアー向けの特別な仕様の『♦♦♦』でありながら、つかまりやすく、スピンが入りやすく、扱いやすいということ。つまり、アマチュアでも使えそうなプロ仕様という期待感が漂うモデルなのだ。今回の試打では、この辺りを重点的にチェックしていく。

左から『エリート ♦♦♦ TD』『エリート ♦♦♦ MAX』『エリート ♦♦♦ T』のアドレスカット。やはり真ん中の『MAX』が一番大きく見える
癸生川: やっぱり『MAX』は他の2つに比べて大きいよね。
小島: 他の2つは450cc、『MAX』は460ccですからね。それに『MAX』はヘッドがちょっとシャローになっている?
癸生川: シャローだね。ヘッドの横幅が広いから、それで大きく見えるのかもしれない。
小島: 『MAX』だけど、そんなにフェースは左向いてない?
癸生川: 向いてないね。綺麗な顔している。右も左も向いていない。『T』のほうが右を向いている印象がある。
小島: 『TD』と『T』を比べるとフェースアングル的に『TD』のほうがちょっとつかまりそうな顔をしています。『T』が一番逃げ顔ですね。ただ極端な違いは無いというか、僕らプロが見て「ちょっと違うな」っていう程度です。
3機種ともロフトは9度と10.5度のタイプがあるが、今回は9度を試打する。シャフトは『ツアーAD VF-5』 のFlex S。使用ボールはタイトリスト『プロV1』。
では試打開始!
■『エリート ♦♦♦ TD』をHS45m/s前後で試打

『エリート ♦♦♦ TD』をHS45m/s前後で試打したときのGCクワッドデータ
【トラックマン4のデータ】
クラブスピード●44.8m/s
ボール初速●67.2m/s
打ち出し角●10.8度
スピン量●1804rpm
降下角●27.8度
キャリー●218.5Y
飛距離●256.8Y
打ち出し方向●1.7度右
スピンアクシス●3.3度左
SIDE●1.5Y左
【GCクワッドのデータ】
Hインパクト●7ミリトウ
Vインパクト●5ミリ高
癸生川: スピン量が少なく感じる。球がつかまる感じはする。
小島: スピンは少ない。今ので1800rpmだもん。
癸生川: やっぱりツアー仕様のトリプルダイヤだよね。
小島: あとロフト角が9度だしね。シャフトも純正と違って、『ツアーAD VF 5S』は先端もしっかりしてくるので、それでスピン量が減るというのもあるでしょうね。でもこのスピード帯で1800rpmだと、スピンがちょっと足りない感じはします。
『エリート ♦♦♦ TD』はメーカー触れ込みでは、「ボールがつかまりやすく、スピンも入る」ということだったが、クラブスピード45m/s前後で1800rpmとは、そこはツアー向けの特別仕様の『エリート ♦♦♦』シリーズということか。では、さらにスピンが入る特性という触れ込みの『エリート ♦♦♦
MAX』はどうだろう。
■『エリート ♦♦♦ MAX』をHS45m/s前後で試打

『エリート ♦♦♦ MAX』をHS45m/s前後で試打したときのGCクワッドデータ
【トラックマン4のデータ】
クラブスピード●44.6m/s
ボール初速●67.4m/s
打ち出し角●9.5度
スピン量●2229rpm
降下角●27.5度
キャリー●224.0Y
飛距離●260.8Y
打ち出し方向●1.2度右
スピンアクシス●6.3度左
SIDE●1.1Y右
【GCクワッドのデータ】
Hインパクト●6ミリトウ
Vインパクト●3ミリ低
小島: 低いねぇ!
癸生川: 球は逃げないんだけど、スピン量が少ないというか、低い。
小島: 『TD』との違いはどうなんですか。
癸生川: 『MAX』のほうが左右の曲がりが少なくなりそうな気がする。
小島: 僕もそう思った。直進性が高い球が出そうな雰囲気は『MAX』 のほうがありますね。
癸生川: 『TD』のほうが曲げやすいけどね。
小島: そこは『TD』が450ccで『MAX』が460ccというヘッドの大きさの違いでしょうね。
■『エリート ♦♦♦ T』をHS45m/s前後で試打
小島: 『TD』と『MAX』の違いは分かるんですよ。これに『T』が加わってくる。
癸生川: 『T』が一番スピンは入るんだよね?
小島: メーカーのうたい文句ではそうですね。では、検証をお願いします!

『エリート ♦♦♦ T』をHS45m/s前後で試打したときのGCクワッドデータ
【トラックマン4のデータ】
クラブスピード●44.8m/s
ボール初速●67.3m/s
打ち出し角●10.5度
スピン量●2106rpm
降下角●27.8度
キャリー●228.7Y
飛距離●265.3Y
打ち出し方向●0.2度右
スピンアクシス●0.1度右
SIDE●2.7Y右
【GCクワッドのデータ】
Hインパクト●3ミリヒール
Vインパクト●2ミリ低
癸生川: (弾道を見て)スピン、入っている気がするね。
小島: でも、数値は増えてないです。打った感想は?
癸生川: 3つに共通して言えるのは、右に逃げない。歴代の『♦♦♦』に比べて、つかまえやすくなって、簡単になっているような気がする。
小島: つかまる=簡単と感じるかはプレーヤーによるけどね。
癸生川: じゃあ、扱いやすいということかな。これまでの『♦♦♦』はヘッドスピードが速くないと使えないというイメージがあったけど、この3つは幅広いプレーヤーが使えると思う。
小島: ノーマルの『エリート ♦♦♦ 』以外に3つのタイプを出したのは、ノーマルよりもちょっと操作性がありながら、スピンをちょっと抑えめにして、ツアーのフォルムになっているというところですかね。試打の結果を見ると、この3つの機種は僕は違いが少ないんじゃないかと思うんですが、打ってみてどうですか?
癸生川: そうだね、そこまで(違いが出るほど)両極端にあるヘッドではないよね。
小島: その辺りをデータで見てみましょう。
■小島プロによる『エリート ♦♦♦』シリーズの『TD』 、『MAX』 、『T』のデータ分析

追加された『エリート ♦♦♦』3機種『エリート ♦♦♦ TD』『エリート ♦♦♦ MAX』『エリート ♦♦♦T』のトラックマンデータ一覧
●ボールスピードもスピン量も違いは少ない
3機種のクラブスピードもボールスピードも数値的にはあまり変わらない。打ち出しの角度も、やはり変わらない。『TD』と『MAX』で比べるときに、打点を考慮すると200rpmくらい『MAX』のほうが入る程度の違いです。その『MAX』よりも『T』のほうがスピン量は入るということなんですけど、今回の検証の中では打点を加味しても変わらないですね。
●飛距離は『TD』が一番飛んでいないが……
45m/sくらいのスピード帯で打った時に、『TD』はちょっと球が低くなり過ぎるので、一番飛んでいない。ただこれは、打点が唯一低かったことが影響している。そしてロフト10.5度で検証したら結果は恐らく変わりますから、距離に関してもこの3機種は、ほとんど変わらないと言っていい。
●方向性も違いなし。3機種共にブレは少ない
方向性を表すSIDEは、『TD』が左に1.5ヤード左、『MAX』が右に1.1ヤード、『T』が右に2.7ヤードで、『T』がちょっとつかまらないかなという印象ですが、でも3つとも左右のブレは3ヤード以内ですから、数値的には方向性に差は無いと言っていい。
■結論
今回試打をした、キャロウェイ『エリート ♦♦♦ TD』、『エリート ♦♦♦ MAX』『エリート ♦♦♦ T』のクラブ特性の違いに関してどういう印象をもったのか、二人の結論を聞いてみよう。
癸生川: 3機種の違いは少なかった。ただ、見た目というか『顔』、この差が上級者になればなるほどこだわりが出てくるので、その中で選ぶのも一つの選択肢かなと思いましたね。
小島: 僕もこの3つのモデルは近いという印象です。そんな狭い選択肢を与えてくれるキャロウェイは凄いなと思いますね。この『エリート ♦♦♦』シリーズの外側に、通常の『エリート』や『エリート X』 などもあって、さらに微妙な違いをチョイス出来るので、皆さんもぜひ打ち比べて見てください。
みんなのゴルフダイジェストYouTube「みんゴル試打班ガチギアトラック」では、『エリート ♦♦♦ TD』、『エリート ♦♦♦ MAX』、『エリート ♦♦♦ T』の違いに関して細かな考察を行っているので、より詳しく知りたいという人は、そちらもぜひご視聴を。