JGTOの下部ツアー・ACNAツアーは第4戦「太平洋クラブチャレンジ」を迎える。5月28日(水)から30日(金)までの3日間の日程で、茨城県・太平洋クラブ江南コースで開催。太平洋クラブ江南コースは2015年に国内メジャーである「日本プロ」を開催した実績を持つ。昨年までACNツアーを実況や現地リポーターとして7年間観てきた萩原菜乃花が、この試合の注目選手を紹介。
画像: 昨年まで下部ツアーなどの実況や現地リポーターを担当していた萩原(撮影/岡沢裕行)

昨年まで下部ツアーなどの実況や現地リポーターを担当していた萩原(撮影/岡沢裕行)

はぎわら・なのか。名門日本大学ゴルフ部に所属して腕を磨き、ベストスコアは75。学生時代から週刊ゴルフダイジェストなどに登場。大学卒業後はライムライト所属のフリーアナウンサーとして活動中。

太平洋クラブ江南コースでの開催は今年で9回目!

前述のとおり、国内メジャー「日本プロ」の開催実績を持つ太平洋クラブ江南コースは、2016年から本大会の開催コースとなり、コロナ禍の20年大会を除けば、今年で連続9回目。ちなみに、この「太平洋チャレンジトーナメント」は下部ツアー随一の人気大会で知られ、23年は初日から2006人、2292人、2390人のギャラリーが入り、昨年は元メジャーリーガーの松坂大輔氏が出場したこともあり、初日から2055人、2638人。松坂氏が予選落ちし、天候も悪かった最終日でも1205人が来場している。

昨年からのコース改修も終わり、生まれ変わった江南コース。なお、優勝者には来週、同じ茨城県で開催される国内メジャー第2戦「BMW 日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ」の出場権が与えられるため、ポイントや賞金以外でも、この大会へのモチベーションが高い選手が多い。

タイガー・ウッズと同じ12月30日生まれの小さな巨人 丸尾怜央

画像: 近年の男子ゴルフ界では珍しい高卒ルーキーの丸尾怜央(撮影/岡沢裕行)

近年の男子ゴルフ界では珍しい高卒ルーキーの丸尾怜央(撮影/岡沢裕行)

まず紹介したいのは、宮崎県・日章学園高校出身の丸尾怜央選手。松山英樹選手の好例からか、男子ゴルフ界では大学に進学し、そこである程度の実力を磨いてからプロ入りという流れが多くみられるが、この丸尾選手は高校卒業後にプロ転向した珍しいタイプだ。ちなみに、高卒プロといえば、下部ツアーで圧倒的な実力をみせた久常涼選手が記憶に新しい。

そんな彼も高校1~2年時には大学進学も考えていたそうだが、「3年で出場したレギュラーツアー3試合のすべてで予選通過(編集部注:そのすべてでローアマを獲得)したことが自信になりプロ転向を決めました」と話す。

彼の強みを聞くと「得意なクラブやシチュエーションはない代わりに、苦手なクラブやシチュエーションもない。いまの実力では(プロのなかでは全部が)60~70点くらいなので、それが逆に丁寧なゴルフができていると思います」と分析している。丸尾選手の出身高校である日章学園は、ゴルフ部の菊池美幸監督の教えで、在学中はゴルフノートをつけるのが日課。そのルーティンのおかげで自己分析がしっかりできているのではないかと推察する。なお、彼の日章学園の同級生には、女子プロの福田萌維、一学年上には菅楓華・荒木優奈がおり、彼女たちの活躍が刺激になっているという。

プロ1年目ながら堂々としている丸尾選手。前述のようにアマチュア時代でもレギュラーツアーでしっかり実績を残してきたからか、「プロになった実感はない」という。以前取材したときには、夏休み中は大会や合宿で日本全国を父である高範さんと一緒に転々としていたというから、長距離移動も慣れているのだろう。ちなみに、ACNツアーでは基本的に高範さんがキャディの予定。出身が宮崎なので、高範さんが車で、丸尾選手は飛行機で移動というから、そこはアマチュア時代とは変わった点かもしれない。

画像: ポイントランク20位以内に入り、裏シードが目標と話す丸尾(撮影/岡沢裕行)

ポイントランク20位以内に入り、裏シードが目標と話す丸尾(撮影/岡沢裕行)

QTランクは71位と高順位ではないので、ACNツアーに専念できる。そして、これまでACNツアー3戦に出場し、14位タイ、7位タイ、17位タイと安定して好成績を残し、今年から始まったポイントランキングでは18位。目標としている「まずは年間で20位以内に入り裏シードに入る」には絶好のスタートを切っている。初めて獲得した賞金も「使うところもないし、遠征費に充てています」としっかりゴルフに集中している様子。

堅実なゴルフが持ち味の丸尾選手の今大会の初日は7時43分から1番スタートで竹内大プロ、上野陸プロ、玉城海伍プロと同組。

昨年アマチュアで出場し3位タイ 福住修

画像: 昨年はアマチュアで出場し3位タイの好成績を残した福住修(撮影/岡沢裕行)

昨年はアマチュアで出場し3位タイの好成績を残した福住修(撮影/岡沢裕行)

続いて紹介するのは昨年の今大会にアマチュアで出場し、3位タイの好成績を残した福住修選手。簡単にプロフィールを紹介すると、出身は神奈川県ながら、双子の兄である福住将選手(今大会では主催者推薦で出場)とともに、中学・高校とゴルフの名門・明徳義塾高校に進学。その後、専修大学では2年次に「日本学生ゴルフ王座決定戦」で優勝するなど、学生ゴルファーでは知られた存在に。そして、今年の3月に同大学を卒業したルーキー。

富岡倶楽部で実施したファーストQTでは2位タイ、ゴルフ5カントリー サニーフィールドで実施したセカンドQTでは8位タイ、静ヒルズカントリークラブでのサードQTも4位タイと危なげなく突破。ファイナルQTでは初日に「73」で69位タイと出遅れるも、最終的にQTランク41位まで順位を上げた。この順位であれば、今シーズンのACNツアーには全試合出場可能となる。

アマチュア時代から300ヤードを超すドライバーショットが魅力で、攻めるプレーが持ち味の選手だったが、プロになってもプレースタイルの本質は変わっていない。「ドライバーで飛ばして短いクラブでピンに絡め、パターをしっかり入れるのが僕の身上です」。

ただ、「攻めるところは攻めて、我慢するところはしっかり我慢するようになりました」といい、この心境の変化を「アマチュア時代は賞金ランキングやシード権を考えることなく、攻めていけた。プロになると1打でも大きく変わってしまうので、考えながら調整していきたい」と話す。福住選手だけでなく、今までACNツアーやレギュラーで活躍してきたアマチュアプレーヤーはボギーを恐れずガツガツバーディを奪ってきた印象。ここがプロとアマチュアのトーナメントにおける違いなのかもしれない。この殻を破ることで一歩先に進めるのではないかと個人的には思う。

画像: 167cm、67kgと細身だが300ヤードを超すドライバーショットが魅力(撮影/岡沢裕行)

167cm、67kgと細身だが300ヤードを超すドライバーショットが魅力(撮影/岡沢裕行)

さて、今年の目標を聞くとはっきりと「ACNツアーでの賞金王」と答える。「レギュラーツアーに推薦いただける場合は別ですが、レギュラーツアーとACNツアーが同一週にある場合で、ランキング的にレギュラーツアーに出場できたとしても、極力ACNツアーを優先したいと思っています。まずは長くレギュラーツアーで戦えるだけの実力を身に付けることが大事。そのためにACNツアーでしっかりとプロの戦いに慣れたいと思っています」という。アマチュア時代にも話を聞いたことがあるが、その時はフレッシュで「怖いものは何もない!」という話し方だったが、今回はプロになったためか、冷静に自己分析をし、しっかり将来を考えている印象に。

ちなみに、明徳義塾中学・高校の1学年先輩で今季シード選手としてレギュラーツアーに参戦している岡田晃平選手とは仲がいいようで、「晃平さんが東北福祉大学に進学したので、同じ道を歩んでも追い越せないと思ったので、自分は専修大学へ進学しました。晃平さんの活躍は刺激を受けますし、早く同じ舞台で戦って、追い抜きたい」とある種のライバル視をしているようだ。

昨年優勝争いをした試合で今年も飛躍できるか!?

今大会の初日は9時33分から1番スタートで香川友プロ、久米朗文プロ、杉本エリックプロと同組。

福住修の双子の兄・福住将も主催者推薦で出場!

弟・修選手と同じく富岡倶楽部で実施したファーストQTに参戦するも、突破にはあと1打足りず、無念の敗退。それでもプロ宣言をし、今回は第5回の予選会を2位で突破して、初のツアー参戦を獲得した。米LPGAツアーで活躍中の岩井明愛・千怜が双子のゴルファーとして有名だが、2002年生まれと同い年の福住将・修の双子にも注目だ!

今大会の初日は10時06分から1番スタートで加藤龍太郎プロ、長谷川祥平プロ、山本太郎プロと同組。

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