藤田寛之が今季から参戦している「PGAツアーチャンピオンズ」。アメリカのシニアツアーとして1980年に発足したツアーは果たしてどんなツアーなのか。50歳以上のシニアプレーヤーが戦う舞台だが、ただのシニアツアーではない。ツアー“チャンピオンズ”という名の通り、かつての勝者たちのための舞台なのだ。そんな選ばれた者たちのためのフィールドは最高の環境が整っていると藤田寛之は話す。

藤田寛之プロ
「食事面では、朝食と昼食は会場のレストランで無料で食べられます。そのほかにもドリンク、フルーツ、スナックなどが練習場、練習グリーン、アプローチグリーン、コース内など至る所に用意されているんです。移動に関しては、大会側が送迎車をほぼ毎試合出してくれます。行きは空港まで迎えに来て、帰りは空港で乗り捨てです。ホスピタリティは充実していて、本当に選手ファーストです。
さらにプレー環境については、気候も含めベストシーズンで開催しているから、本当にいいコンディションです。今の時期は南のほうが多いですが、夏になれば気温も30度を超えてくるでしょうから、ここから北に上がったり、内陸の試合になります。いい時期にいい場所を選んでいる感じがします」(藤田)
そんな恵まれた環境で戦われるPGAツアーチャンピオンズだが、そこで活躍する選手は、必ずしもかつての勝者たちばかりではない。シニアになってから頭角を現した選手もいる。そのひとりが50歳の誕生日を迎えるまで、米国下部ツアーの「コーンフェリーツアー」を主戦場にしてきたスティーブン・アルカーだ。
マンデー予選を突破して、出場権を得た2021年の「ボーイングクラシック」で7位となり、同年のプレーオフシリーズ第2戦の「ティンバーテック選手権」では見事優勝。シード権を得た。昨季は賞金王と年間王者に輝き、シニアツアーのトップ選手として活躍している。PGAツアーチャンピオンズはシニアになってから旬を迎える“シンデレラマン”が誕生する夢のツアーでもあるのだ。
今季トップはM・A・ヒメネス。藤田寛之は現在50位!
全28試合中11試合が終了した現時点で、1位のM・A・ヒメネスの賞金額がすでに昨季の竹田麗央の賞金額(2億6573万16円)に迫る勢いだ。また50位ながら藤田も2000万円を突破。
1 | ミゲル・アンヘル・ヒメネス | 2億 2387万 7158円 |
---|---|---|
2 | アンヘル・カブレラ | 2億 1271万 1831円 |
3 | スティーブン・アルカー | 1億 8027万 5986円 |
4 | スチュワート・シンク | 1億 5956万 9120円 |
5 | アーニー・エルス | 1億 5542万 3989円 |
6 | レティーフ・グーセン | 1億 1430万 959円 |
7 | ジェリー・ケリー | 1億 935万 8727円 |
8 | チェ・キョンジュ | 9698万 4434円 |
9 | トーマス・ビヨーン | 8805万 8178円 |
10 | パドレイク・ハリントン | 8018万 8510円 |
50 | 藤田寛之 | 2099万 5645円 |
PGAツアーチャンピオンズについて
ツアー規模
日米レギュラー&シニアツアー賞金額比較(2025)
レギュラーツアーの8分の1とはいえビッグな賞金総額を誇るPGAツアーチャンピオンズ。賞金額と試合数の充実はツアーが人気である証し。レギュラーツアーの緊迫感とは違う魅力が多くのファンを引き付ける。
ツアー | 賞金額 | 試合数 |
---|---|---|
米国男子ツアー | 約840億円 | 39 |
米国シニアツアー | 約102億円 | 28 |
国内男子ツアー | 約32億円 | 24 |
国内シニアツアー | 約7億円 | 16 |
ツアー歴史
ツアー創設のきっかけはアーノルド・パーマー⁉
ツアー創設は1980年、A・パーマーが50歳を迎えた翌年だった。依然人気があったパーマーのプレー見たさにシニアツアー創設の機運が高まり、多くのファンを集めたことは間違いない。ちなみにパーマーは80年にシニアツアーで初優勝を挙げたのち、81年には全米シニアオープンで優勝し、黎明期のツアーを盛り上げた。

アーノルド・パーマー
ツアーのコンセプト
往年の“名手たち”が戦うエンターテインメントツアー
M・A・ヒメネスが「ホーグクラシック」での優勝後、アストンマーティンでビクトリーラップするなどまさにエンタメ感満載。基本的に3日間競技で予選落ちはなく、出場者全員が賞金を手にでき、選手たちはただ働きの心配なしにプレーを楽しめる。また、プロアマの需要も高く、1試合に2回開催されることもある。

アストンマーティンでビクトリーラップするなどまさにエンタメ感満載
PGAツアーチャンピオンズの出場資格は?
PGAツアー1勝、日本ツアーの「ABCカップ・日米ゴルフ対抗戦」でも優勝したボビー・クランペットはツアー出場資格の複雑さを指摘し、「完全に理解している選手は1人もいない」と語る。
● 前年の賞金ランク上位54人
● PGAツアーポイントが5P以上の選手(PGAツアー1勝=1P/メジャー&ザ・プレーヤーズ選手権1勝=3P)
● PGAツアーチャンピオンズポイントが5P以上の選手(PGAツアーチャンピオンズ1勝=1P /シニアメジャー1勝=3P)
● 生涯獲得賞金ランクでトップ10の選手
● PGAツアー4勝以上で50歳から51歳までのメンバー最大2名
● PGAツアーチャンピオンズのQT上位5名
● マンデー予選上位4名
● スポンサー推薦
● 通算70勝以上の選手&歴代賞金ランク上位70位以内でメジャー1勝(シニアも含む)を含む通算30勝以上で世界ゴルフ殿堂入りしているメンバー
● 世界ゴルフ殿堂入りしているメンバー
● 過去12カ月間のPGAツアーチャンピオンズ優勝者
● メディカルエクステンション
● 直前の大会で10位以内かつ、ツアー出場資格を持っていない選手
● 前年のチャールズ・シュワブカップポイントリスト上位54位以内で、出場資格を持たない選手
● 生涯獲得賞金ランクでトップ30の選手
● PGAツアー2勝以上で50歳から52歳までのメンバー最大4名
● 前年の賞金ランク55位から72位まで
● PGAツアーまたはPGAツアーチャンピオンズで優勝したことがあるメンバー
● PGAツアーで予選通過を通算150回、またはPGAツアーチャンピオン
PHOTO/ Hiroaki Arihara、Blue Sky Photos、BKコーポレーション、Getty Images
※週刊ゴルフダイジェスト6月3日号「PGAツアーチャンピオンズ大研究」より一部加筆して掲載