
シェフラーと同じグリップ矯正器具を使う大西魁斗
「PGAツアーで3カ月戦ってきて調子が上がらないと上位にいけないので、内藤さん(内藤雄士コーチ)に会ってスウィングの調整をしたいと思っていたし、全英オープンに出られるチャンスをつかみたいというのもあり、多少スケジュールがハードになってもこのタイミングで帰国しようと思いました」
今季はこれまでPGAツアーで12試合に出場して予選通過が2試合と苦戦しているが、本人に焦りはない。
「PGAツアーのハードなコースセッティングに対応する技術を身につけていかないと、と実感しています。もし全英に行けることになっても、もっとボールコントロールができるようにならないといけないし、スウィング的にも課題がたくさんあって、やることが多くて大変です(笑)」

内藤コーチがネットで買ったというグリップは使い込んで亀裂が入っている
内藤コーチの指導のもと、いろいろな練習器具を屈指してスウィングを調整しているが、そのなかのひとつがシェフラーも使っているグリップ矯正器具だ。初心者が握り方を覚えるための練習用グリップとして20年以上前から流通しているものだが、これをトッププロたちが使っているという事実が興味深い。
「ずっと試合でプレーしているとちょっとずつ握り方がズレてしまったり、日によってグリップの感触が変わったりしてしまうんです。僕の場合はグリップが少しズレることで左わきが開いたりすることがあって、でもそれに気付かずに無理にわきを閉めようとしちゃうとスウィングが崩れる原因になってしまいます。グリップはクラブと体の唯一の接点なので、ここは感覚に頼らずに常にニュートラルな状態にしていかないといけないんですよね。だから毎日最初にこのグリップで10球くらい打つようにしています」

「頭が大きく動きすぎるのは良くない」と内藤コーチが押さえて打つと、インパクトの感触が良くなった
プロでさえグリップがズレることがあり、それが不調の要因になりかねないというのなら、我々アマチュアは尚更グリップにもっと注意を払うべきではないだろうか。さらに内藤コーチによると日々のグリップのズレだけではなく、大型ヘッドによるグリップの変化にも注意が必要らしい。
「大型ヘッドが普及してからストロンググリップのシャットフェースが流行ったりしましたけど、そのせいで右手を下から持ちすぎてしまう人が増えてしまったんです。その握りでは腕の使い方が不自然になってしまいます。それを矯正する意味でもこの器具はいいと思います」(内藤コーチ)

グリップ、両腕、左わき、右足と合計4つの道具を使ってスウィングを矯正している
グリップ矯正器具だけでなく、腕にはボールを挟み右足はプロテクターを踏み、左わきにはカバーを挟み、“大リーグ養成ギブス”ならぬ“メジャー養成ギブス”状態で練習に励む大西の今週の活躍に期待したい。
なお、初日は10番から8時00分に、ディフェンディングチャンピオンの木下稜介、石川遼と同組でスタートした大西。最終9番でボギーとするも、ホールアウトした時点で4アンダーの暫定5位タイと好調な滑り出し。全英オープン行きを決められるか注目だ!
文/重富由美子
写真/姉崎正