「週刊ゴルフダイジェスト」や「みんなのゴルフダイジェスト」で、障害者ゴルフの取材記事を執筆したベテラン編集者が、日本だけでなく世界にアンテナを巡らせて、障害者ゴルフのさまざまな情報を紹介する本連載。障害者ゴルフの世界大会「THE G4D オープン」の会場であるウォーバーンGCで唯一の日本人メンバーが大会観戦記を寄稿してくれた。

5月15~17日、イギリスのウォーバーンGCで開催された「THE G4Dオープン」。初日、クラブ唯一の日本人メンバーが観戦にいらしていました。その方は吉倉隆治さん。山口県下関生まれ、福岡の修猷館高、慶應大学を卒業され商社へ。2度のイギリス勤務を経て独立、現在も現役でお仕事をされており、在英福岡県人会ゴルフのキャプテンもされているそうです。

「25年前、日本人メンバーは13人いましたが、皆コーポレートメンバー。私だけプライベートメンバーで今に至ります。今日は日本人選手4人を応援に来ました。コースを知り尽くしているのでアドバイスできたらいいですね」と優しいまなざしで吉田隼人選手に付いて行きました。

画像: 初日のラウンド後、ツーショットをパチリ。クラブハウス内を案内して、歴史などを説明していました

初日のラウンド後、ツーショットをパチリ。クラブハウス内を案内して、歴史などを説明していました

さて、吉倉さんから観戦記が届きましたので、ご紹介したいと思います。吉倉さんによると、「英国の各町には車で10分以内に数カ所のカントリークラブのゴルフ場が存在し、老若男女が気軽にプレーしています。ウォーバーンGCの土地所有者は貴族のベッドフォード侯爵(英国最高位のデューク)。ちなみにエリザベス女王の夫君、フィリップ殿下はエディンバラ侯爵です」。

改めて、イギリスの歴史や生活には「ゴルフ」というものが深く根づいていることを感じます。

「吉田隼人選手が初日に80名の参加選手を代表してオープニング・ショットをされると聞き、早朝ながらウォーバーンGCに駆け付け18ホールに随行しました。ティーショットは300ヤードを飛ばすと言われ、各番手で豪快なショットを各要所で披露され、バーディ2個を取られ、8オーバーパーのまずまずのスタート。他の2コースに比してフェアウェイが極端に狭いダッチェスコース(6361Y・パー72)では、ウォーバーンのメンバーたちはドライバーは封印し、距離よりも精度を狙う。このポイントをお伝えするも、残る2日間で結構、林に入れられたようで残念でした。この結果を糧に、まだまだお若い吉田選手は間違いなくさらなる躍進をされることでしょう」

画像: 吉田隼人選手のショット

吉田隼人選手のショット

日本の障害者ゴルフを引っ張る吉田隼人選手は今回の結果(総合27位タイ)を猛省していましたが、こういったあたたかい声援こそが今後のゴルフや活動の“糧”になるのだと思います。

「英国はパラリンピック擁護のリーダー国で、身障者アスリートへの支援組織が充実しており、各種機器(義手、義足、車椅子など)の大きな市場が存在します。テニスのウィンブルドン選手権、車椅子部門で連勝を重ねた国枝慎吾選手は英国で有名です。ゴルフも車椅子使用が可能である起伏が激しくないコースの選定に難度がありますが、ウォーバーン GCの協力・支援でG4Dはこれから国際大会として発展していくことでしょう」

画像: ウォーバーンGCで開催された「ザ・ウィメンズ・オープン」の優勝者ボードには、一番下の2019年に渋野日向子の名前があるが、一番上の1984年に岡本綾子の名前が。当時はまだLPGAツアーに組み込まれておらず、メジャー大会でもなかったのです。また、「THE G4D オープン」の優勝ボードを作るところにクラブの“想い”が見て取れます

ウォーバーンGCで開催された「ザ・ウィメンズ・オープン」の優勝者ボードには、一番下の2019年に渋野日向子の名前があるが、一番上の1984年に岡本綾子の名前が。当時はまだLPGAツアーに組み込まれておらず、メジャー大会でもなかったのです。また、「THE G4D オープン」の優勝ボードを作るところにクラブの“想い”が見て取れます

障害者ゴルフの発展には、コースの協力は不可欠。改めて、日本でもゴルフ界に呼びかけていきたいと感じました。

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